パリ・ニュース!女性たちの68年5月革命

5月です。5月のパリの空の下を歩いていると、相当ひどく滅入っていても、何故か心が軽やかになるから不思議です。
さて、今日の話題は「女性たちの68年5月革命」、「AIR FRANCEストライキ、会長辞任」、「アンドレ・ジャピ―と日本」、「カンヌ国際映画祭開幕」の4本です。

女性たちの68年5月革命

何を隠そう、今年は68年パリの学生運動からちょうど50年目に当たります。今から、まさしくちょうど50年前の5月、パリ中の学生たちが反権威主義、特にド・ゴール大統領の権威に抗議して立ち上がったのです。スローガンは、「禁止することを禁止する!(Il est Interdit d’interdire) 」でした。

 学生運動の影の女性たち

1968年のパリの学生運動でバリケードを張り、デモ行進し、何日間もソルボンヌ大学構内に立てこもったのは、男子学生たちだけではありませんでした。女子学生たちも同様に立ち上がったのです。彼女たちは、ビラを配ったり、反権威主義の新聞を売ったり、スローガンポスターを街角に張ったりと、数々の貢献をしました。が、主要演説などはすべて男性たちが独占していました。かつての学生運動指導者の1人だったある男性は、当時を振り返って次のように語りました。「僕たちは、おぞましい男性優先主義者だった・・・。」

 女性解放運動誕生

その前年、67年にパリでミニスカートが大流行。次第に女性たちの個性と独立性が頻繁化していきます。奇しくも、同じ年、避妊薬ピルが合法化されます。女性たちの革命的な独立の年だったといえるでしょう。しかしながら、68年の学生運動では、女性たちの中心的役割はなく、常に男性たちの影の存在でしかありませんでした。しかし、68年5月の学生運動は、自由精神尊重の下、女性たちの解放へのきっかけを作ります。そしてそれは、MLF (le mouvement de la libération des femmes) 、訳して「女性解放 運動(フェミニズム運動)」の誕生へとつながったのです。
こうしてみると、68年にパリで起こった学生運動は、女性革命の年だったともいえるかもしれません。

AIR FRANCEストライキ、会長辞任

以前、4/8付の「パリ・ニュース」で、仏国鉄(SNCF)が4月から3ケ月間の飛び石長期ストライキに入ったことをお知らせしましたが、実はほぼ同時進行で、フランス航空 (AIR France )もストライキを続行しています。

 6%の給与アップを要求

フランス航空のストライキは、パイロットの組合によるもので、要求は即時6%の給与アップです。これに対し、エアー・フランスのジャン=マルク・ジャネイヤク会長は、組合との交渉で、6%の給与アップを今後5年間に分けて実行するとの提案を出し、これに対する賛成・反対有無の社内投票を実施。万一 、反対派が半数以上の結果が出た場合は、会長を辞任するとまで言い切ったのです。

 反対派55.44%

参加投票率80%以上の結果は、反対派55%を上回り、ジャネイヤク会長は辞任しました。しかしながら、会長が辞任したことにより、益々フランス航空の経済状況は悪化するばかり。会長辞任直後、エアー・フランスの株価は7.5%近くも超下落。フランス航空の将来を、同様に昨年ストライキの影響で、大幅に経済悪化に陥ったイタリア航空(Alitalia)と重ねる不安の色が出始めています。

アンドレ・ジャピーと日本

アンドレ・ジャピ―(André Japy)は、フランス人冒険飛行家でした。1936年、パリと東京間12000kmを懸賞飛行中、大嵐に遭遇、佐賀県の脊振山中に墜落しました。その時、数百人もの脊振村の村民が、険しい山間をかき分け、数時間以上もかけて冒険家を救助します。この時の様子を約5年間の調査をかけて、絵本作家こんどう・ちあき氏が、一冊の絵本「飛べ!赤い翼」にしました。(参照抜粋仏ウィキペディア)

 こんどう・ちあき氏、念願の来仏

先週、92歳になる同氏が、アンドレ・ジャピ―氏の故郷の市に招待され、ジャピ―氏の後継家族と会見したり、また同市の小学校を参観して講演、児童に折り紙などを披露するなどの光景が、仏国営テレビ(France 3) で紹介されました。こんどう・ちあき氏の念願の夢が叶ったのです。フランス3は、「飛べ!赤い翼」が日本ではベストセラーであると紹介し、改めて、フランスの小学校で日仏友好の歴史の参照教材として興味深く検討されるだろうとも伝えました。

 日本のおもてなし精神のすばらしさ

この心温まるニュースの背景には、日本の伝統的なおもてなし精神のすばらしさを強調するものがあります。薄れつつあるフランス社会でのおもてなし精神を目覚めさせる目的があったのかもしれません。最近、ストライキ続きなどでギシギシしているフランス人の心が和む話題でした。
参考サイト:「せふりの風」http://sefuri-life.com/?p=107

カンヌ国際映画祭開幕

毎年5月は、カンヌ国際映画祭の開幕の月でもあります。今年は5月8日~19日まで開催されます。

 審査委員長にケイト・ブランシェット

今年の審査委員長は、映画「ブルー・ジャスミン」でアカデミー賞主演女優賞を獲得したオーストラリアの女優、ケイト・ブランシェットです。71年目を飾る今年のカンヌ国際映画祭は、女性の立場を強調した「シネマ産業における女性」がテーマだとか。だからこそ、映画界における女性に対するセクハラ行為をを真っ向から攻撃。このような同氏が審査委員長に選ばれたのは、なるほどです。

 希薄な日本の女性映画監督

今年は、日本からは是枝裕和監督の最新作「万引き家族」が正式出品されます。同監督は、素直にその嬉しさを隠せないようですが、ただ、少し残念なのは、今年のカンヌ国際映画祭のテーマが「女性」なのに、日本の女性映画監督の盛り上がりがもう少し足りない?ことです。
どちらにしても、日本人女性に限らず、女性映画監督の国際的な活躍を期待します。

   

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