かつて、海外での日本食と言えば「日本人は生の魚を食べる」などと思われていたこともあります。しかし近年では、寿司を初め、多くの日本食が海外でも食べられるようになりました。私は今、中国の北京に住んでいますが、ここではこの中国北京で見かけた日本食についてお話しします。
おにぎりの謎
「日式」おにぎり
中国にも日本で馴染みのあるセブンイレブンやローソンがありますが、このような場所ではおにぎりを購入することができます。おにぎりと言えば言うまでもなく日本食の1つですよね。このようなコンビニや日本系のスーパーでは、日本ならではおにぎりが「日式」として売られています。「日式」おにぎりの具材は主にシャケと高菜で、味も日本のそれとほとんど変わりません。残念ながら昆布や梅は見たことがありませんが、どうやらシャケと高菜は中国国内でも需要があるようです。中国で妊娠し、つわりで苦しかった時、特にシャケのおにぎりが恋しくて仕方がなかったことがあります。
日本にない具材のおにぎり
その一方で、日本にない具材のおにぎりもあります。ウナギや照り焼きチキンは日本人好みの味とは違いますし、私が一番驚いたものはエビマヨです。日本にもエビマヨのおにぎりは存在するかもしれませんが、あまりメジャーではないかと思います。ツナは野菜と和えられており、私にとっては美味しいとは思えない味です。ちなみに、例えばシャケやエビは漢字がありますから、中国でも分かるだろうと思うかもしれません。しかし、これらは「鮭」「海老」ではないのです。鮭は「三文魚」、エビは「虾」と書きますから、もしも中国でおにぎりを購入する時は注意して下さい。ちなみにツナは「金枪鱼」と書きます。
スーパーで売られている日本食
調味料
日本の調味料は世界でも人気があります。例えば、ワサビやからし、カレールー、カレー粉、味噌などは中国でも使われていますし、輸入品のコーナーに行けばみりんや料理酒、カゴメのトマトソースやキッコーマンの醤油なども売られています。中国で売っているマヨネーズは今までキューピーマヨネーズ以外見たことがありません。また、スパゲティ用のソースやコンソメ、焼肉のたれなども売られています。
お寿司
今やどこの国でも愛されるお寿司ももちろんスーパーで購入することができます。一体何の具が使われているのかさっぱり分からないような中国流のお寿司もありますが、マグロやシャケがふんだんに使われた日本流のお寿司も売られており、これも「日式」としてシールが貼られています。もちろん「日式」お寿司はお米もコシヒカリなどが使われていることが多いようで、値段が上がります。
レストラン
ラーメン
今まで見たことがある日本食のレストランで、私も美味しかったと思えるレストランは味千ラーメンという、台湾の人が日本の熊本で始めたラーメン屋さんです。これは北京のあちこちにも進出しており、日本の伝統の味を守っているレストランと言えます。熊本で始めたラーメンというだけあり、豚骨ラーメンが主流です。日本の居酒屋で食べるようなから揚げやフライドポテトなどもあり、少々値が上がりますが日本食が食べたいと思った時にはぴったりのレストランです。私はつわりが酷い時には日本食がとにかく恋しかったため、この味千ラーメンにはお世話になりました。
徳川家
名前だけ見ると日本から進出したようなレストランに感じますが、中国発祥のビュッフェ形式の日本食レストランです。メニューから好きなものを選び、ウェイターさんに持って来てもらうというスタイルですが、ここのメニューも極めて日本人が満足できるメニューになっています。例えばバナナを巻いたお寿司など、「ん?」と思ってしまうものもありますし、そもそも何かよく分からないものもあります。しかし、お寿司やお刺身を初め、牛丼やうな重、鍋やチャーハンなどもあり、どれも日本人にとっては嬉しい味付けになっています。
中国でも守られる日本の味
実は、私は日本と中国以外の国で日本食レストランに入ったことは一度しかありません。アメリカで友人がお寿司屋さんに連れて行ってくれたことがありますが、ここは日本人が経営しており、お米も日本米でしたから、本当に日本のお寿司と同じ味のお寿司を楽しめました。日本で食べても高いだろうなと思ったお寿司はとても高い値段で、自分では来ないな、と思った記憶があります。
それ以外の国でも特にお寿司屋さんはあちこちにありますが、値段が高い一方で満足できる味ではない、と言う話も聞きますし、あるいは中国人など、日本食レストランでありながら違う国の人が経営しており、そもそも味付けが違う、ということもあるようです。
しかし、ここ中国で生活して3年目を迎え、どうしても日本食が恋しいこともあり、最近は、日本食レストランは「必要とあれば行かなければいけない場所」になりつつあります。日本の食材には中国から来たものもあり、例えば餃子やマーボー豆腐など、同じものを食べることもできます。しかし、それでもここ中国で「日本食の味」が守られているということを嬉しく思います。
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