ヨーロッパ出身の夫と結婚し、もうすぐ3年になります。今は夫の仕事の都合で中国の首都、北京に住んでいます。先日、夫が学会に出席するため、香港に行くことになりました。私自身も研究者として出席することになり、2人で中国本土から香港に行ったのです。ここでは、旅行者ではなく、仕事で香港に行った者の目線で、香港について紹介したいと思います。
高温多湿、冷房ガンガン
6月末の香港はとにかく暑い
香港と言えば、気温が暑いことで知っている人も多いのではないでしょうか。私たちが香港に行ったのは6月末の事でした。外の気温は日本の真夏を超えるのではないかと思うぐらい暑かったです。
夫は学会で研究発表しなければいけなかったため、学会が始まる前日に発表者たちの打ち合わせに行っていました。その間、私は大学の近くにあるショッピングセンターで時間を潰していたのです。
窓ガラスの外には、北京ではなかなか見られない真っ青な空が広がっており、道端には緑色のヤシの木が!とてもきれいな光景だったので、ちょっと外に出てみようと思い、一歩外に出た瞬間に後悔しました。日中はとても歩けるような気温ではなく、とにかく湿度が高く、暑かったのです!
室内は冷房ガンガン
その一方で、香港の建物の中はとても寒かったです!日本はクールビズと言われ、冷房も28度に設定してあることが多いですよね。香港の冷房は基本的に18度に設定されていました。
ショッピングモールの中は上着を着ても寒く、電車の中はカーディガンではなく、むしろセーターが恋しいくらいでした。ホテルの部屋の冷房も基本的に18度に設定されており、温度を上げても20度より上にはいかない状態でした。
学会を主催している大学も同様で冷房は18度と寒く、外国から来た研究者が「寒い、なんとかならないの?」と学生スタッフに聞いても、冷房の設定温度を上げることはできませんでした。これ以上下げられない、という設定温度があるのは納得できますが、これ以上上がらない、というのもおかしな話だと思ったものです。
洗濯物が乾かない!
ホテルでは「暑いからエアコンの電源を切らなくても良い」と言われたため、私たちは冷房の温度を28度ほどに上げて出かけました。しかし帰ってくると20度で冷房が動いており、部屋に入った瞬間、「寒っ!」となったのです!
私たちは3泊4日で滞在していましたが、荷物をできるだけ減らして飛行機に全て持ち込める状態にしたかったため、洋服なども洗濯して部屋に干しておけば良いと思っていました。ホテルの空気というのは乾燥していると思っていましたから、すぐ乾くと思ったのです。
しかし、この温度が上がらないエアコンは想定外でした。先ほど述べた通り、エアコンをつけたままで出かけてしまうと気温が下がってしまうため、エアコンを切って出かけなければいけなかったのです。しかし、何せ高温多湿の香港ですから、エアコンをつけずに1日外出すると湿度が上がってしまい、洗濯物が乾かないのです。
結局必要なものだけはドライヤーで乾かしましたが、ホテルの部屋で洗濯物が生乾きになるなんて、なんとも情けない経験でした。北京に戻ってから全て洗濯し直しました。
国籍を書かなければいけない
領収書の記載について
香港と言えば広東語ですが、一般的に英語が通じるというイメージを持っている人もいるかと思います。確かに、中国本土に比べれば多くの人が英語を話すことができます。
しかし、だからといって気を抜いてはいけません。今回香港に行ったのはあくまでも夫の仕事の都合でしたから、夫はホテルの宿泊費を支払う際には領収書を受け取る必要があったのです。しかし、大学宛に書いてもらった領収書には1点、おかしなところがありました。
領収書の左上には大学名、その下に大学の住所、その下に夫の国籍、ドイツと書かれていたのです。なんだか夫が働いている北京にある大学がドイツにあるように見えました。
領収書には国籍を
受付のスタッフがいうには、領収書には支払い主の国籍を記載しなければいけないとの事でした。そもそもそのルールさえ意味が分かりません。領収書の宛名に支払いをした本人の国籍を記載することにどのようなメリットがあるのでしょうか。
夫が「ドイツは大学に関係ないから消してほしい」「これでは大学がドイツにあるように見える」と頼みました。すると受付のスタッフは快く「はい、わかりました」と言い、新しく領収書を印刷してくれました。
しかし、今度はなぜかドイツではなく、ザイールと書かれていました。なぜドイツがザイールになったのかはわかりません。しかもザイールと言えば、1971年から1997年までコンゴで使われていた国名であり、今現在は使われていない名前です。「ふざけてんの!?」と腹が立つほどでした。
修正ペンでチョチョっと…
最終的に、受付のスタッフは国籍を消すことができませんでした。彼が一体何をしたのかは分かりませんが、ドイツをザイールと「改ざん」することができるのに、そもそもザイールを消すことができなかったのです。
そこで、彼はザイールの部分を修正ペンで消し、それをコピーし、夫に渡してくれました。そんなのが領収書として役に立つのかと不思議ですが、確かに領収書はあくまでも印刷されたものですから、それのコピーを取ったところで何の違和感もありません。印鑑が押されているわけでもないですから、コピーで問題ないのです。
今思い返しても、なぜ領収書の宛名に支払った本人の国籍を書かなければいけないのか、意味がわかりません。また、違う国名を書くことができるのに、国名を消すことができないということもわかりません。
意外に英語が通じる
道に迷った!
香港のホテルに着いたのは夜のことでした。それから夕食を食べるために夫と2人でホテルを出たのですが、実はどこも同じように見えて、食事をした帰り道、私たちは完全に道に迷ってしまったのです。
携帯や地図があるじゃないか、と思う人もいるかもしれません。しかし、私たちは「ホテルの周りなら何か食べる場所が近くにあるだろう」という考えで地図を持っていなかったこと、そして確かに私たちは中国本土で生活をしていますが、中国本土と香港は扱いが違うため、携帯は通じなかったのです。
WiFiが入りそうなマクドナルドなどにも行ってみたのですが、うまく電波を拾うことができませんでした。先ほど述べたとおり、高温多湿の香港の夜、暑さに疲れを感じながら、さてどうしようかと悩みました。
現地の人はホテルを知らない
そこで、ホテルの名前と住所を見せながら、すれ違う人に聞いてみました。すると何人もの人に「そんなホテルは知らない」と言われたのです。私たちが泊まったホテルは観光客も泊まれるようなちゃんとしたホテルでした。人間は意外と地元の観光地を知らないとも言いますが、そのせいなのでしょうか。
また、方向を教えてくれる人もいるのですが、人によっては指す方向が違うということもあり、なかなかホテルにたどり着くことができませんでした。途方に暮れて様々な人に聞き、雀荘の入り口に立っている黒いスーツ、夜なのに黒いサングラス、という強面のガードマンにも聞きました。
様々な人の好意に助けられ…
そのガードマンの1人が自分の携帯を取り出し、ホテルの場所を検索してくれました。私たちはその地図を写真で撮り、お礼を言って歩き始めました。近くの横断歩道を渡ったところで、そのガードマンが走ってきて、さらに別の近道を教えてくれました。
しかし、やはりホテルに行き着くことができず、さて次は誰に聞こうかと周りを見回していると、後から来たおじさんが「どこに行くんですか?」と英語で聞いてきてくれました。そして、おじいさんは「この角を左に曲がったらすぐホテルだから」という場所まで私たちを案内してくれました。その後、このおじいさんは真逆の方向に歩いていきましたから、本当に私たちを案内するためだけに、一緒に来てくれたのです。
明らかにホテルの場所を知らないのに力になろうと道を教えてくれた人もいたように思いますが、それにしても様々な人に助けられました。本来ならば地図や携帯があれば良かったのですが、そのようなものがなかったおかげで、現地の人々の優しさに触れることができました。
初めての場所を訪れる、ということ
インターネットで様々な情報を入手することができる時代となり、行ったことがない場所であってもまるで行ったことがあるかのような錯覚を覚えるほど、細かな情報が得られる時代となりました。しかし、やはり実際に行ってみて、現地の人と話をしてこそ、旅の醍醐味を得ることができるのかと感じています。
領収書など不思議なこともあり、反応に困ることもたくさんありました。しかし、やはり日本では経験できないようなこともたくさん経験することができ、香港での旅はとても有意義なものとなりました。
ただ、香港を訪れる際は、やはり地図を忘れないようにすることをお勧めします!
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