フランス生活20年!パリ通信⑰フランスの教育事情

距離的にも文化的にもかけ離れた日本とフランス。同じように教育制度においてもかなりの違いがあります。教育は、子供たちの今後の人生においてとても大切です。そのためにどの国でも教育制度が重要な位置を占めています。しかし、国が変われば具体的な教育の方法がかなり違ってきます。
今回は、フランスの教育事情に絞って紹介します。

入学式 ・卒業式がない

日本では、毎年4月に入学式、3月に卒業式というのがごく当たり前。桜の花が咲くみだれる道を、不安と期待に胸を膨らませながら登校していく児童の姿は、日本では年間行事の典型的な絵となっていますよね。

 簡素な新学期

さて、フランスでは新学期は9月です。フランス語で「ラ・ロントレLa Rentrée」といい、別に「帰還」を意味します。学校に再び帰ってくるという感があるのかもしれません。ところで、ここで日本との大きな違いが、「式典」の有無です。日本だと、入学式には真新しい制服にピカピカのランドセルを背負った児童が、校庭に集まって国歌と校歌を合唱し、校長先生が新学期の挨拶をするのがごく普通の習わしですが、フランスではそんなことは全くしません。担当教員が簡単な挨拶をして、第1日目の授業が始まります。国旗を掲げたり、国歌を歌ったりすることは決してありません。いとも簡単簡潔な新学期です。日本人には初心の緊張感に欠けたどことなく味気ない?入学です。

 あっさりとした学期の終了

同様に、フランスでは卒業式もありません。毎年6月がフランスでは教育期間最終月ですが、各クラスの担当教員が学期終了の旨を伝えて、「ハイ、皆さん良い休暇を!」でおしまいです。その後2ケ月近い長い夏期休暇に入ります。日本のように、同窓生や担任の先生との別れを惜しみ、涙を流すような厳粛な卒業式というものがありません。またしても日本人には素っ気ない感じの卒業です。

運動場とプールがない

日本の学校ではどこでも広い運動場があり、生徒たちの野外活動が非常に活発ですが、フランスでは小さな中庭のようなスペースが運動場です。しかもセメント張りでどことなく活気に欠けた寂しい感じの運動場です。レクレーションの時間には、当然子供たちは外に出て遊びますが、日本の子供たちのような野球やバレーボール、サッカーなどというある程度の広さを要するスポーツはもちろん不可能です。

 市営のプールで水泳の授業

運動場がこんな具合ですから、もちろんプールなんて問題外です。それでは、フランスでは体育の時間がどうしているのかというと、徒歩圏内にある近くの市営プールや体育館を利用しています。ですので、体育の時間は1週間に1回、しかも30分という所さえあります。
ちょっと日本では考えられないですよね?

 制服もないフランス

フランスの学校(公立のみ)では、制服がないのはごく自然で当たり前です。さて、その理由は次の通り。

1. 子供たちの個性を尊重。さすがに個人主義のフランスです。
2. 各家庭でのユニフォームの清潔保全に違いが起こる?? 少々理解に苦しむ理由ですが、要するにユニフォームそのものは無料でも、洗濯やクリーニング代に掛かる費用は各家庭の責任です。不幸にして貧乏な家庭ではそれさえ補えない家庭の子供たちの間に差別が生まれるためとのことです。
3. 教育予算の不足。私の意見では、どうやらこれこそ本当の理由なような気がするのですが・・・・。

しかしここ最近、フランスでも制服を復活させようという動きも出てきています。フランスでは1968年までは、公立の学校でも制服(といってもブルーズ(blouse)といって、簡素な上っ張り服)が義務づけられていましたが、1968年以降、ブルーズ着用は義務ではなくなりました。しかし、最近はスポーツ用品などのブランドものを競い合う習慣が出てきたり、それを盗もうとするゆすり行為が多発するようになったため、制服着用を希望する親が増えてきました。因みに、フランスでも私立校では制服着用が義務づけられている学校があります。

授業料がない

日本に比べてフランスでは、圧倒的に教育費の自己負担が少ないのが特徴です。フランスの公立校は小学校から大学まですべて授業料がありません。しかも義務教育ではない6歳以前の保育園や幼稚園でさえも国からの援助があり、全く無料です。

 予算が不足

これは逆にみれば、教育機関に対する仏政府からの援助予算が過大であるということが言えます。財政難の近年、フランスでは何とかこのシステムを維持するため、教員削減政策を立てつつあります。これまでにすでに5万2000人ものポストが削減されました。それに伴い、例えば、小学校1クラス当たりの生徒の数が20人に達し、教員1人当たりの負担が増え、教育の質が下がる懸念と不安があり、私立校への転校現象が増えています。

 塾もない

フランスでは、勉強は学校で行うものであり、学校の後に熟へ通ったり、家庭教師に習ったりすることはほとんどありません。その分、宿題を補助するのは親の役目となっていて、ほぼ親の義務という感があります。しかしながら、フランスでも両親共働きの家が多く、家に帰っても親がいない子供や、フランス語力に乏しい外国人国籍の両親をもつ子供のために、新政府は、放課後宿題などを補助するクラスを設ける制度を提案しました。

発言力を重視

いかがでしたか?フランスのないないづくしの教育事情でした。
フランスでは、ある程度のレベルに至らない子供は、容赦なく留年させるられますが、反対に勉強の良くできる子供はどんどん進級させます。ないないづくしとはいっても、日本とは違い、子供の個性と発言力を重視する点は、日本よりはるかに上回っているような気がします。どちらにしても、学校でも家庭でもフランスの子供たちはしっかり勉強をしています。

   

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