フランスは農業国です。ヨーロッパで最も農業生産の高い国です。そのために様々な工夫と努力がなされています。本日紹介する例は、その一部です。フランスらしい個性的な発想に思わず拍手!!さて、そのアイデアとは・・・?先日5月28日、フランスでパンツコンクールが開催されました。えっ?パンツコンクール?何、それ?!とクエスチョン・マークが飛び交っていると人のために説明すると・・・。
パンツコンクールとは
フランス南西部ランド地方のALPAD (Association landaise pour l’agriculture durable)「持続可能な農業のためのランド地方協会」が支援するコンクールで、年に1度のとてもまじめな催しなのです。「パンツコンクール」をフランス語にすると、コンクール・ドュ・スリップ(Concours du Slip)となります。Slipとは下着のパンツのことなのですが、Surveiller L’état bIologique des Parcelles landaises 「ランド地方の土壌状態生体検査」から文字ったものです。
具体的にどうするのかというと…
意外に割と単純で簡単です。100%コットン使用がコンクールの参加条件。下着類、特にパンツなどはほとんどがコットン100%のものなので確実です。今年は18農家によるコンクールへの参加がありました。各農家は、深さ約15~20センチほど自分の畑を掘り、パンツを埋めるのです。そして、8月末から9月半ばにかけて、掘り起こして各々のパンツの状態を比較する、これがコンクールの目的です。(面白い!) こうして、土壌の健康状態を計るわけです。例えば、土壌の窒素や腐食土の質が良ければ良いほど、地中に住んでいるバクテリアや微小有機生体が豊富で、それが土壌の質をより良質にしてくれるのです。コットン100%のパンツはそれを計るのにとても便利、というわけです。つまり、地中に微小有機生物が多い、イコール良質の土壌、イコール100%のパンツは思いっきり食べられているというわけで、3か月後に土から掘り返されたパンツの状態が悪ければ悪いほど、その農家の土壌は良質というわけです。そして、パンツの原型がほとんどなくなっている農家がコンクールに優勝、という結論に至るわけです。
有機野菜万歳!
フランスでは現在、有機栽培による農業生産が年々急上昇しています。かつては、有機栽培の農産物というと、小さな個人店でしか見つけられなかったのですが、今では、大手スーパーのどこも、競って有機栽培農産物コーナーを設置しています。公害や地球温暖化対策と並んで、人々の食生活への配慮となるオーガニック農業がどんどん広がっているのです。消費者である私たちは、やっとこの点に気がつき始めたのかもしれません。
では、フランスでは有機栽培と認定されるためにどのような方法が具体的にとられているのでしょうか?次は、有機栽培認定方法について紹介します。
ABマーク取得法
フランスでは、オーガニックの農作物のことを、 « BIO »と名付けています。各農家で自作の農作物をBIOとして売りたい場合、必ずグリーンのAB (Agriculture Biologique)マークがついていることが必須条件です。このマークを手にするには、認定監査に通過することが必要です。
<上記図:ウィキペディアより抜粋>
ABマークを取得するには、まず何よりも土壌検査から始まります。いくら有機作物を栽培し、それを商品化したくても、土壌の質が有機栽培の基準に合っていなければ、ABマークは夢の話し。以上のようなことから、前項の「パンツコンクール」などという苦肉の策が登場するのかもしれませんね。年に1度、検査官が有機栽培農家を訪れて、土、作物の葉、根、茎、種などを採取し、匿名で試験所に送って検査します。匿名で送るというところに、いかに厳しい調査なのかが想像できます。次に検査官が特に注意を払う点は、有機栽培農家の環境はもちろん、その周辺農家からの影響を確認することです。というのも、隣りの農家では通常の栽培、つまり農薬使用の栽培をしている場合、風や水回りの影響で有機栽培農家へ農薬の悪影響がある可能性を懸念しているからです。有機農家では、もちろん農薬使用は完全禁止ですので、雑草や害虫駆除には、機械操作や手作業または、熱処理などが認められているだけです。最後に、検査官は書類検査も忘れません。有機農家が植えた種はどこから仕入れたものなのか、領収書や配達証明書などを確認するのです。仕入先の種にはABマークがついていることは、当然でしょう。
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このように様々な工夫と努力を重ねながら、一生懸命有機栽培に転換しようとしているフランスの農家に人たち。彼らを応援するためにも、私はいつもABマークのついた食品を買い求めるようにしています。
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