ネパールの男性と結婚し、今は息子と3人で九州に住んでいます。今でも、夫と結婚した当時のことを思い出すと本当に大変だったとしみじみ思います。結婚を決めて日本での手続きを始めてから実に半年の月日を要し、私たちは結婚することができました。そこには物理的な距離、言葉の影、結婚手続きを甘く見ていたことが挙げられます。ここでは、私が経験したそれらの3つのポイントについてお話しします。
物理的な距離
直行便がない!
とにかく日本とネパールは遠いです。昔は飛行機の直行便があったそうですが、少なくとも今現在は乗り継ぎをしなければ日本からネパールには行けません。つまり、書類等を送る際には郵送だけでも時間がかかってしまうのです。追跡できるシステムを利用すれば郵送物が今どこにあるのか確認することが可能ですが、「今は香港で止まっている」「まだカトマンズだね」などと夫とよく話をしたものです。
向こうがなかなか送ってこない!
そして向こうもなかなか忙しく、郵送に至るまでに時間がかかり郵送だけで時間がかかるのです。しかし、時間がかかっても無事に届けば問題はありません。様々な場所を経由してくるため、ネットでよく見る「郵便物が紛失しました」などという記事を見ては不安になっていました。1回の送料が大体1,000円ほどだったでしょうか。8回ほどやりとりしたので、少し痛い出費となりました。
言葉の距離
ネパール語が分からない!
私はネパール語話すことができません。そして英語もできません。だから私はネパールの役所や親族と会話をすることができません。夫はネパール語はもちろん英語がペラペラです。だから夫が色々と問い合わせて書類について調べてくれるのですが、ネパールが日本からどのような書類を必要としているかなどが全くわからず、ストレスが溜まりました。
夫の言い分もよくわからない!
さらに、当時の夫は日本語がそこまで得意ではありませんでした。そのため私が聞き返しても、途中で説明できなくなってしまって「大丈夫大丈夫」と言ったり、「自分がやるから」などと言ったりして私を不安にさせたのです。
役所と大使館
印鑑は大使館か領事館で
日本における手続きは九州の福岡県の役所で行いました。ネパールから取り寄せた資料を提出したところ、英訳するようにと言われました。ビザの関係がありましたから焦って夫に英訳させ、再度提出をしたら、今度は一部の資料に対して「ネパールの印鑑がない。英訳はネパールの公的機関で認証をもらわなければいけません」と言われました。
印鑑はネパール大使館、あるいは領事館で認証されなければいけません。ネパールから資料を取り寄せ、さらにネパール大使館から領事館に行って印鑑をもらうという必要性が生じたのです。とにかくやるしかありません。書類をなんとか取り寄せ、次は大使館に行こうと場所を調べ始めました。
領事館がなくなっている!?
国によって違ってきますが、大使館のみが設置されていることもあれば、大使館に加えて領事館が設置されているということもあります。大使館というのは通常、接受国の首都に置かれますが、総領事館は首都とは別の主要都市に設置されることがあります。例えばアメリカの場合、在日米国大使館はもちろん東京にありますが、米国領事館は札幌、名古屋、大阪、福岡、沖縄に設置されています。
福岡から東京にあるネパールの大使館に行くのは大変ですから、最寄りの領事館を探そうとしました。総領事館をネットで調べたところ、福岡県の赤坂という地域にあることがわかりました。早速休みを取ってカーナビに目的地を設定し、向かったのですが、同じところをぐるぐる回るばかり… どうやら赤坂の領事館はなくなっていたようです。
大阪の領事館へ
福岡県の次に近い場所は大阪でした。今度は念には念を入れ、電話で確認をしましたが、なかなか電話に出てもらえなかったのです。大使館や領事館の場合、電話の応対はたった1人のスタッフが担当していることもあり、なかなかつながらないことが多いそうです。何度もかけ直し、つながったのは何日か後の事でした。
そして次に、大阪では結婚に関する書類に印鑑を押すことはできないと言われたのです。ここまでくると意外と冷静に対応することができます。そうです、印鑑は東京にある大使館でしか押してもらうことができなかったのです。もちろんその後仕事を休んで東京に行きました。ちなみに東京の大使館も事前の電話にはなかなか出てもらえませんでした。しかし待ってるような余裕はなかったため、電話で質問をすることもなく東京に向かったのです。念のため2泊で計画を立て、不在等ならば延長する覚悟で行きました。そこまでしてやっと印鑑をもらえたときには嬉しくて泣いてしまいました。
結婚したいと思った理由を思い出して!
いかがでしょうか。私は結婚式の準備よりも書類の提出の方が大変だと思いました。もしも外国人と結婚する方がいたら、余裕を持って1年ほど前から準備した方が良いのではないかとさえ思います。しかしこれは私の経験ですから、きちんと下調べや確認をすることでスムーズに手続きが進む場合もあります。
半年かかってもスムーズにいかなくても諦めなかったのは、本当に相手と一緒になりたいという思いが強く、何度も確認しあったからだと思います。入籍できた後は絆が本当に深まりました。手続きがうまくいかなくても、なんで結婚したいのかということを思い出してください。
また、必要な書類は各自治体で違いますし、相手の国籍によっても違ってきます。もちろんシステムが変わる場合もありますから、他の人の経験はあくまでも参考にする程度にとどまり、お住まいの自治体にしっかり確認することをお勧めします。自治体に電話をすれば、どんな書類が必要なのか教えてくれますよ。