フランス生活20年!パリ通信⑭仏大統領エマニュエル・マクロン

昨年5月、39歳という歴代仏大統領の中で最も若くして大統領に就任したエマニュエル・マクロン氏ですが、日本では意外にその素顔を知られていないのではないでしょうか?ほんの1年前までは、ここフランスでさえあまり知られていなかったマクロン氏。今回は、彗星のように突如フランス政界に現れた若きプリンス、マクロン仏大統領について現地より紹介します。

簡単な生い立ち

彼は、1977年12月21日にフランス・ソム県(フランス北部)の主要都市アミアン(Amiens)で生まれました。両親共々医師という家庭の長男として育ち、彼の弟も妹も両親と同じ医師となりましたが、彼だけが別の政界の道を選びました 。彼の文学への関心と左派寄りな考え方は、質素な家庭で育った彼の祖母から譲り受けたものと、彼自身は確信しています。

 宗教の選択

12歳の時に初めて彼はクリスチャンとしての洗礼を受けました。これは、フランスでは非常に稀な例です。というのも、普通フランスでは生誕と同時に洗礼を受けるのが一般的だからです。彼自身はこれを「個人的な選択」としています。(ウィキペディア抜粋)

マクロン政治路線

エマニュエル・マクロン氏の政治的路線は、「社会自由主義」または「社会民主主義」と理解されています。彼自身も「中道派」としての政治的立場を隠していません。むしろ、私は元英国主相トニー・ブレア氏や元独主相ゲアハルト・シュレイダー氏が打ち立てようとした「第3の道」路線とういのが、最もマクロン大統領の政治路線に近いと判断します。

 左派でも右派でもない

「第3の道」とは、今まで政治路線の基本とされてきた資本主義と社会主義の両方のいい面だけを摂って、第3の政治路線を打ち立てようとした動きで、社会平等を唱えつつ、資本主義のもつリベラル性を保持するというものです。ですので、今年の仏大統領選でのマクロン氏の一貫したスローガンは、「左派でもなく右派でもない新しい中道派としての確立」でした。
この背景には、90年代より入れ替わり立ち替わりしたクラシックな保革二大政党(社会党と保守・共和党)による生ぬるい政治改革に嫌気をさした仏国民の訴えを、敏感に察知した彼の有能な政治的判断があるのかもしれません。

 著書で言葉

一昨年11月に出版された彼の著書「レボリューション Révolution」の中で、彼は以下のように自身のことを説明しています。「自由主義が人間のもつ本来の姿を信じることのできる道ならば、私は、万一自由主義により人が人間を信じることができる限り「社会主義者」でもあり「自由主義者」でもあります。」

マクロン氏を推す国民層

今年2月、まさしく大統領選キャンペーン真っ只中の時期にフランス人の中で、彼に投票すると答えた国民層は以下の通りでした。
35歳以下:22% 35~49歳:19% 50~64歳:19% 65歳以上:22%
この数字から判断しても、ただ単に若い世代がマクロン氏に魅了されたわけではなかったことがいえるでしょう。しかしながら、次の職種別の結果をみると如実に彼を支援する国民層の具体的な顔が見えてきます。

 都会の知性派が支持

会社代表取締役層:18% 会社指導部または上層知的階級:26% 自由業:26% 一般雇用者:17% 労働者層:9%
こうしてみると、マクロン氏に期待したフランス人は、主に中流階級以上のどちらかといえば知的階層ということが明確です。
これに加えて、これは私の意見ですが、地方に住んでいるフランス人よりも、むしろ都会に住んでいるフランス人の方がより多く、マクロン氏を支援しているような気がします。

私生活  ブリジット夫人との出会い

彼が15歳のとき、同級生の母親ブリジット・トロニューと運命的な出会いをします。当時、国語(フランス語)の教師に携わっていたブリジット夫人は、同時に演劇活動も手掛けていました。そこでエマニュエル・マクロン氏と出会います。当時39歳だったブリジット夫人はすでに結婚しており、3児の母でした。教師と生徒という「禁じられた恋愛関係」に加えて、24歳もの年齢差は、当然お互いの家庭に大きな波紋を生み出します。しかし、彼らの関係は、マクロン氏がバカロレアの準備過程のために名門校アンリ4世高等学校へ編入してからも密かにパリで続けられました。そして2007年、2人は晴れて正式に結婚します。マクロン氏30歳、ブリジット夫人54歳でした。

 陰で支えた夫人

基本的には、フランス人はあまり政治家の私生活には無関心なところがありますが、さすがにこのマクロン氏夫妻の関係には特異な関心が集まりました。特に、マクロン氏の大統領選にマイナスに働くのではないかという懸念も広がり、当時フランス中のマスコミを騒がせたのは事実です。しかしながら、ここでおもしろいのは、時にはブリジット夫人の方がマクロン氏本人よりも高く評価されたことがあることでした。彼女の控えめな性格と、誰に対しても平等で気さくな態度がメディアに好印象を与えたからかもしれません。マクロン氏大統領当選の裏には、陰ながらブリジット夫人からのメリットがあったという人もいます。

フランスの挑戦

いかがでしたか?フランスの新しい大統領マクロン氏の現地での姿を少しでも理解していただければ幸いです。この若き新しいフランス大統領は、政治的に新しい時代に移りつつある、過度期のフランスの将来の姿と重なり合うのかもしれません。