アメリカ人というと、ハリウッドスターのようなイケメンや、金髪美女のイメージが強いですが、実はアメリカ人の平均女性は体重が74kg、身長が164cm(BMI 27.51)だということをご存知ですか?男性はさらに酷く、178cmの87kg、平均BMIが28.6です。
日本人の肥満率(BMI 30以上の割合)が全人口の3%なのに対して、アメリカではなんと31%です。つまり、日本の教室では、30人クラスで一人ぽっちゃりした子がいるのに対して、アメリカではクラスの3分の1がぽっちゃり体型なのです。
そこで今回は、アメリカ人と日本人の「健康」に対する意識の違いについて、筆者の体験を元にご紹介します。
意識の違い
日本「痩せなきゃ=努力家/可愛い」アメリカ「痩せなきゃ=自分に自信がない奴」
日本では基本的に「痩せたい」や「ダイエット中なんだ」という言葉は、努力して綺麗になる/健康になるといういいイメージがあります。
ところがアメリカで「痩せたい」と公言したり、自分の写真を加工してSNSに載せたりすると、「自分に自信がない気の小さい奴なのか?」「ありのままの自分を愛せないなんて不幸な人ね」などと、悪い印象を持たれます。
筆者は大学生の頃の友達カップルが、彼女の方が80kgくらいありそうな非常にぽっちゃり系で、彼氏の方は比較的健康体型でした。彼氏は彼女のことをいつも「君は綺麗だ」「本当に美しい」と褒めていて、二人とも幸せそうで、彼女の方はダイエットをするつもりは全くないようでした。
日本「写真加工アプリ=女子力」アメリカ「写真加工アプリ=愚の骨頂」
日本ではSNSにあげる写真を、アプリで加工して綺麗に見せたりするのは、当然のように受け入れられています。
しかし、ありのままの自分を愛することを素晴らしいと考えるアメリカでは、日本や韓国で大人気の写真加工アプリも全く流行らないのです。
フェイスブックで、アメリカ人向けの写真加工アプリが宣伝されたことがありました。筆者は、珍しいなあと思い、興味本位でコメント欄を読んでみました。
すると、ほとんどすべてのアメリカ人、特に女性が怒りのコメントを寄せていたのです。「広告のモデルの子は、加工なんてしなくたって、十分美しいじゃない!」「自分の顔や体を加工してSNSに載せるなんて、どれだけ自分に自信のない、情けない人向けのアプリなのかしら!」「馬鹿げたアプリだ」などです。
日本「我慢する=偉い」アメリカ「我慢する=悪いこと」
自由の国アメリカでは、我慢することは良いこととされていません。好きなものを食べずに健康でいるくらいなら、早死にしても我慢のない人生をする方が良いと思っているアメリカ人は多いです。
勉強でも習い事でも出産でも、我慢することが美しいとされている日本では、努力して痩せて健康な体を手に入れることがよしとされ、そのようなテレビ番組も多くあります。しかし、アメリカでは、我慢せずに、自由に好きなように生きることが素晴らしいのです。
教育の違い
小学校給食はピザ・ポテト・コーラ
日本では公立校でも必ず栄養士が栄養バランスを考えたおいしい給食を毎日提供しますが、アメリカの学校はそのような制度は整っていません。
公立学校は資金不足の場合も多く、給食にかけるコストを減らすために、安いピザやポテトを支給する学校が非常に多いです。
文化的に、アメリカ人は家でもピザやポテトやハンバーガーをしょっちゅう食べるので、給食で出ても違和感もありません。
ちなみに筆者の通っていた大学のカフェテリアでも、かならずマクドナルドやバーガーキングなどのファーストフードに大行列ができています。
好きなものだけ選んで食べる給食
日本の給食ではメニューが決まっていて、生徒は全員同じものを同じ量だけ食べなければいけませんが、アメリカは「自由の」国なので、生徒はカフェテリアに行き、自分の好きなメニューだけを取って好きなだけ食べることができます。
つまり、サラダを好き好んで選ぶような小学生以外、ほとんどの子はハンバーガーやデザートなど、自分の好きなものだけを選んで毎日食べます。栄養素の指導などはありません。
また、幼稚園のおやつの時間でさえ、以上に甘いチョコレートブラウニーや巨大チョコチップクッキーなどが支給され、3歳や4歳の子が美味しそうに食べているのです。
このような食育を保育園から高校までずっと受けている自由なアメリカ人たちは、大人になっても好きなものを好きなだけ食べ、その結果、人口の3分の1が肥満になるのです。
家庭科の調理実習は必須でない
日本ではほとんどの生徒が調理実習を経験しますが、アメリカではこれもまた「自由の」国なので、受けたくない人は受けなくていいのです。つまり、料理が好きな生徒は調理実習の授業を受け、料理や食育に興味のない生徒は一切学びません。
ですので、好きなものだけ食べたい、自分で料理はしたくない、栄養バランスには興味はない、という人は、そのまま高校まで卒業することも可能なのです。
自由がもたらす弊害
「自由」に非常に重きを置くアメリカでは、ありのままの体型を受け入れる寛大さや、我慢をせずに好きなものを選んで食べる食生活など、日本ではありえない習慣がたくさんあります。
ハリウッドスターやビクトリアズシークレットモデルなど、メディアでは外見の美しいアメリカ人がもてはやされますが、現実は全く逆です。
必要以上に痩せようとする日本人の傾向もよくありませんが、健康に支障をきたすほどの肥満でも「ありのままの自分を愛する」アメリカ人も問題です。
無理をすることもなく、自分を甘やかしすぎることもなく、健康な体を維持できるといいですね。
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