イギリス在住です。私の娘はロンドンの公立幼稚園に通っており、私自身も様々なことを学びました。ここでは、この公立幼稚園、ナーサリーの日常を紹介したいと思います。
イギリスの幼稚園のスタイル
スタートは慎重に
娘が幼稚園に入園した時、担任の先生から言われたことがあります。それは、「まずは1週間、様子見期間として保護者の方も一緒に、教室の隅で見守ってあげてください」ということです。
日本であれば、毎朝幼稚園に行く時に泣かれ、親も心苦しく子供を幼稚園に見送る、ということが多いのではないでしょうか。子供が泣いても、それは成長過程には必要という考え方があるため、親は後ろ髪を引かれる思いで子供を幼稚園に預けるのです。
その一方で、ロンドンの幼稚園では子供に無理をさせてはならないという考え方が印象的でした。慣れるまでは付き添いもできますし、短縮保育も可能です。そもそも公立幼稚園は週15時間で義務教育では無いですし、子供のペースで良い、という考え方が一般的なのです。
娘は初日だけ短縮保育を行いましたが、幸い全く人見知りもしなかったため、翌日から通常通りに登園することができました。先生の話によれば、なかなかお母さんと離れられず、3週間ずっと付き添いをして必要とするという子供もいるそうです。
クラスは学年が混合
日本の場合、幼稚園は年少、年中、年長とクラスが分かれていますよね。しかし、ロンドンの公立幼稚園は3、4歳が対象で混合クラスでした。3歳になったばかりの子供もいれば、5歳になる直前の子供もおり、体の大きさも全然違います。
私の娘が幼稚園に通い始めた頃、ただでさえ英語力のない娘が一回り大きな子供たちと一緒に生活できるのかどうか不安でした。しかし、学年混合クラスだからこそ、年上の子供たちがしっかりとリーダーシップを発揮してくれていたようで、娘もすぐに周りの子供たちと仲良くなることができました。そして、気付いたら英語もかなり上達していました。
年齢が違う子供たちが集まっているからこそ、年上の子供が年下の子供を助けるという図式が出来上がり、娘にとっては良かったと思います。
教育方針
協調性より個性
さらに娘が通うロンドンの幼稚園で驚いた事は、全員で同じことをするという時間がほとんどなかったことです。協調性を培うことを重視する日本の教育に比べて、ここでは個性や自主性が重視されているようでした。
娘の幼稚園では、30人ほどの子供が1クラスに集まり、5人の先生がいました。手遊び歌を歌っているグループもいれば、お絵かきや工作を楽しんでいる子供たちもいました。外で遊ぶ子供たちもいて、それぞれが好きなエリアで遊んでいたのです。
日本だと、体操の時間はみんなで体操、お遊戯の時間はみんなでお遊戯などと、みんなで何かをするということが重視されます。ロンドンでは運動会もお遊戯会もなく、随時入園することが可能です。そのため、全員で協力して同じ目的に足すという活動がないようでした。
さらに先生たちが、子供が同じ遊びばかりをしないように配慮してくれているため、自然と様々な遊びを体験することができます。ですから、「周りの子はできるのに自分の子だけできない」という心配もいりません。自主性や子供の個性を尊重しながら、子供たちをのびのびと成長させてくれるのです。
読書を大切にする
イギリスの公立幼稚園は、小学校に付属し隣接していることが多いです。そのため、小学校に上がった子供の保護者の寄付などで、学校の図書が幼稚園児用から小学生用まで、非常に充実しているのです。多くの公立幼稚園では、子供たちに本を積極的に貸し出します。娘も週に1回、絵本を1冊持ち帰ってきます。
もちろん、「この本を読みなさい」と言われる事はありません。子供たちは好きな本を選ぶことができるため、本人たちも楽しみながら読書をします。おかげで娘には、毎晩本を読むという習慣がつきました。ありがたいことだと思っています。
ロンドンの通園・通学スタイル
主流なスタイルはスクーター
こちらはスクーターでの通学が可能であり、幼稚園児から小学生を見ていると、スクーターで通園・通学する子供もたくさんいます。スクーターとは、日本でいうキックボードにあたるものでしょうか。
2歳の誕生日プレゼントにスクーターを贈るということが一般的で、3歳にはスクーターを乗りこなす子供が多いそうです。幼稚園や学校で、スクーターが並んだ様子は壮観です。
基本的には親が送迎する
スクーターが多いイギリスですが、基本的には、子供が小学生になるまでは親が子供を学校に送迎します。親子の時間を持てて良いという考え方もあります。
とは言え、最近は本当にスクーターを乗りこなし、自分で通園・通学する子供が増えました。親に頼って幼稚園や学校に行くのではなく、自分の力で通園・通学するという力がつくのは非常に良いことなのかもしれません。
日本とイギリスの違いとは
もちろん、私は娘が通っているロンドンの公立幼稚園しか見ていませんので、例えばスコットランドや北アイルランドの幼稚園では違った様子が見られるのかもしれません。しかし、娘の幼稚園を見ながら、日本とイギリスには大きな違いがあると感じました。
どちらが良いというわけではありませんが、私は娘の個性を重視してくれるロンドンの幼稚園に通わせて良かったと思っています。最初は自由度が高いということで不安もありましたが、周りの子供たちがどんどんリードしてくれたおかげで娘もしっかり成長することができました。
協調性という意味ではまだ心配がありますが、娘はしっかりと自主性を伸ばすことができていると思います。3歳から始まる早期教育にさえ自主性を尊重するスタイルが導入されているなんて、非常に興味深いですよね。
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