ホームステイでの「食事」に関するカルチャーショック

今は海外旅行や海外留学が一般的となり、短期のホームステイ等を経験する人も増えました。特にホームステイをすると本物の異文化が体験できます。私は以前にアメリカ、カナダ、オーストラリアでホームステイの経験があり、また、海外ホームステイのコーディネーターをしていたこともあります。コーディネーターの仕事とは9歳から14歳までの30人程度の子供を、もう1人のコーディネーターと一緒に添乗し、海外のホームステイを経験させるというものでした。子供たちはホームステイを経験しながら、午前中はスタディーセンターと呼ばれる場所で英語の勉強し、午後は街中でフィールドワークを行います。今回は、そんな子供たちの多くが受けるホームステイでの「食」に関するカルチャーショックを紹介します。

お弁当が日本とは違う

 日本のお弁当

日本でお弁当と聞くと、お母さんが遠足の時に作ってくれるような色とりどりのお弁当を思い浮かべる人が多いと思います。唐揚げやウインナーなどのおかずが入り、トマトやブロッコリーなどの野菜が入り、また、子供が大好きな卵焼きが入り…と、お母さんが作ってくれたお弁当を楽しみにした経験を持つ人も多いのではないでしょうか。

 サンドウィッチが主流

それに対し、海外のお弁当はサンドイッチが主流です。…と聞けば、コンビニで買えるような、卵やツナ、レタスにトマトが入ったサンドイッチを思い浮かべる人が多いでしょう。海外のサンドイッチの場合は、ピーナツバターが塗ってあるだけだったり、せいぜいハムとチーズが挟んであるだけだったり、具材が日本とは全然違うのです。そのため、このようなサンドイッチを見た子供たちの多くが予想していたお弁当とのあまりの違いに驚きます。

 デザートも違う

日本のお弁当でデザートと聞けば、1口サイズに斬られた果物、或いはウサギのように剥かれたりんごなどを思い浮かべる人もいるかもしれません。しかし、実は海外ではりんごや桃は丸かじりが多いです。オレンジ(みかんではなく!)なども子供が自分で剥いて食べます。そのため、お弁当に入ってきた果物に驚く子供もたくさんいます。

 りんごは丸かじり

私もカナダでホームステイをした時、ホストシスターに「りんご食べる?」聞かれ、「うん」と答えた時に「はい」とりんごをまるまる1つ渡され、どうやって食べたら良いんだろうと悩んだ覚えがあります。最終的に、りんごは丸かじりするものだと理解しましたが、日本では「歯に良くないから丸かじりをしてはいけない」と教えられてきました。そのため、怖くてなかなかりんごを丸かじりすることができませんでした。(そういえば白雪姫はりんごを丸かじりしますね!?)

 スナックがデザート!?

また、海外のお弁当にはスナック菓子が入れられている場合もあります。日本ならば、遠足の時ならスナック菓子も問題ないかもしれませんが、普段学校に持っていくお弁当にスナック菓子を入れるお母さんはいないでしょう。子供たちはスナック菓子を見たら喜びそうなものですが、やはりお母さんたちが「スナック菓子は体に良くない」と言っているんでしょうね、お弁当の中のスナック菓子を見て、「ホストマザーは自分のことを大切にしてくれていない」「こんなお弁当で、自分は歓迎されていないんだ」とショックを受けてしまう子供がたくさんいます。

 お母さんのお弁当

もちろんホストファミリーは、子供たちを大歓迎してくれているのです。ただ文化が違うためにお弁当が異なり、子供たちがショックを受けてしまうのです。このような場合、私たちコーディネーターは子供たちに海外のお弁当の特徴を話して聞かせながら、同時に「日本のお母さんのお弁当はお母さんの気持ちがこもっているんだよ」と教えるように心がけていました。日本とは全く違うお弁当を食べ、日本のお母さんたちが作ってくれるお弁当がいかにありがたいものなのか、実感する子供たちもたくさんいます。

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料理の品数と頻度

 1品料理が多い

これは私も経験したことがあります。カナダでホームステイをした初日、ホストファミリーが「今日はあなたを歓迎してステーキにするからね」と言ってくれました。カナダのステーキなんて凄そうだと思い、楽しみにしていたのですが、出てきた夕食は本当に大きなステーキとマッシュポテトだけ、という状態でした。日本ならばここにトマトなど野菜をプラスするところですが、見事な1品料理でした。ファミリーレストランでもライスがついてくるぞ!と思ったものです。
このような1品料理は海外では普通のようです。そのため、万が一嫌いなものが出てきてしまった場合、子供たちは食べるものがありません。子供たちに対しては、嫌いなものが出てきたら1口は食べるように、それでもダメだと思ったら「食べられない」と伝えるように教えていました。あまりにも子供がはっきり言えなかったり、嫌いなものが毎日出てきてしまったりというときには、私たちコーディネーターがホストファミリーと話をすることもありました。

 毎晩同じ料理が出てくる

ホストファミリーが日本からやってきた子供を気遣い、好きなものは何かと聞いてくることがあります。そこで、例えば子供が「ミートソースパスタが好き」と言うものならば、毎晩ミートソースパスタが出てくる、という家庭も複数ありました。
きっと、アジアという西洋から見たらよくわからない地域から来た子供のために、その子が好きなものを提供してくれようとしているんだろうという気持ちは理解ができます。しかし、いくら好きなものであったとしてもせっかくホームステイをしているのに、毎晩同じものが出てきたら、せっかくの海外の家庭料理を100%楽しむことができません。

これに関しても、子供が喜んでいるならば良いのですが、いい加減に飽きてしまっている場合、嫌になっている場合は、コーディネーターからホストファミリーに話をする必要がありました。

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食べる量が多く、甘い~

 日本のサイズと異なる

外国人の食べる量は半端な量ではない時があります。特にアメリカなどの場合、ファーストフード店に行くと日本のSサイズが存在しないという事は周知の事実です。また、日本のMサイズはやっとアメリカのSサイズですし、日本のLサイズはアメリカのMサイズです。アメリカのLサイズはそもそも日本には存在しません。

 胃袋も慣れてしまう

そんな状態ですから、子供たちはホストファミリーの食べる量に驚いてしまうことも多々あります。私も、オーストラリアでホームステイをしたときに同じ経験をしました。朝ご飯でトーストが出てきて、一人当たりトーストを2枚以上食べていました。それでお腹がいっぱいだと思った頃、第二弾としてシリアル(コーンフレーク)が出てきたのです。当然最初は食べることができず、お腹がいっぱいだとホストファミリーに話しました。しかし、恐ろしいことにホームステイをしている2週間の間に、シリアル(コーンフレーク)まで食べられるようになってしまったのです。つまり、2週間の間にそこまで胃袋が大きくなってしまったと言うことです。

 傍から見ると心配

このように、現地の人の食べる量に驚いてしまう子供もたくさんいます。こればかりは各自の判断ですから、子供たちの胃袋に任せるようにしていました。まだあまり体重増加を気にするような年齢でもないので、毎晩フライドチキンや甘いドーナツを食べ、むしろ喜んでいる子供もたくさんいました。

 デザートが甘すぎる

アメリカやカナダでは、ケーキなどを食べると砂糖の食感を楽しむことができます。生クリームを食べるとシャリシャリするのです。どれだけ砂糖を使っているのか、どれだけカロリーが高いのかということがわかります。
私自身も、カナダでホストマザーがチョコレートケーキを作ってくれた時、1口食べただけで吐き出しそうになった経験があります。チョコレートの味と言うよりも砂糖の味しかしないような、シャリシャリした食感のケーキでした。
このようなデザートに驚く子供は少なくありません。また、甘すぎるデザートが楽しめないという子供もたくさんいます。ヨーグルトでさえも甘く、そもそも甘くない食べ物を探すことがなかなかできないのです。ジュースなども日本のそれとは味が違い、なかなか飲めない子供もいます。炭酸飲料水は日本のそれよりも種類が多いですが、砂糖や着色料がたっぷりで、慣れることができない子供もたくさんいます。

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 一生の忘れられない思い出

ホームステイでのカルチャーショックは人にもよりますので、他にも様々なものがあります。上に挙げた3つはその中でも多くの子供が経験することだと言えるでしょう。
そうとは言え、やはり幼い頃から海外の文化を学ぶことができると言うことには大きな価値があると思います。まだ9歳や10歳だとホームシックにかかってしまい、家族が恋しくて仕方がないと言うこともあります。しかし、中学生にもなるとホームシックにかかる事はなくなり、より前向きにホームステイを楽しむ子供が増えます。

 多くの子供達に経験して欲しい!

ホームステイを始めた最初の3日間は、毎日泣きべそをかいて「どうしよう」「ホストファミリーになんて言っていいのかわからない」などと悩みを打ち明けてくる子供たちが、2週間も経つ頃には堂々とホームステイを楽しむようになり、ホストファミリーの元を離れるときには多くの子供が別れを惜しみます。最初はなかなか異文化を受け入れられなかった子供たちが少しずつ勇気を出し、間違えながらも英語でホストファミリーと話をし、驚くような異文化を「楽しい」と言うようになるのです。親御さんが見たらどれだけ喜ばれるだろうと思います。
これからも多くの子供たちに、ホームステイを経験してほしいと思います。もちろん楽しいことばかりではありません。しかし、そこで得た経験は一生の宝になると思っています。

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