6月です。サマータイムのない日本では、ちょっと想像しにくいかと思いますが、フランスでは6月は、1年を通じて最も日の長い月です。6月21日夏至の日などは、夜の11時を過ぎても、ほんのりとまだ明るさを感じるほど。パリ中のカフェテラスが、パリジャンたちであふれて、夜遅くまで賑わうのもこの季節です。
さて、今日の話題は、「6対1?サミットG7」、「フランスでもユニフォーム?」、「スイスからの贈り物:ゴミ」、「Japon express 日本を巡る写真集」の4本です。
6対1?カナダ・サミットG7
6月8日から、2日間に渡ってカナダ・ケベック州シャルルボワで開催された、先進7ヵ国首脳会談は、開催直前のトランプ大統領の鉄鋼・アルミ追加関税適用発言を機に、他の6ヵ国はアメリカを無視しようとする動きが出ていました。
G7ではなくG6で
この動きは、とにもかくにもまず、マクロン仏大統領の強気の発言:「G7がG6となっても構わない。6か国の市場を合わせればアメリカ市場よりも大きい」から発端。カナダのジャスティン・トルドー首相と共に、対アメリカ姿勢を真っ向から打ち出したのです。因みに、カナダ・ケベック州は、フランス語圏です。この関係からか、G7に臨む仏・カナダ間の連帯意識が、より一層強く出た可能性があります。
今後の日本の立場が問われるとき
マクロン大統領はまた、トランプ大統領のアメリカ優先主義は、アメリカ孤立主義につながるとし、これを力で推し進めようとするトランプ政権を非難しています。これに対して、日本の立場が問われるときでもあります。日本は、アメリカの鉄鋼・アルミ追加関税は、幸い現在のところ直接的な経済影響はないものの、6月12日にシンガポールで予定されている米・北朝鮮との非核協議には、無関心ではいられません。少しでも、日本に有利な協議が進められるよう期待するところです。欧州派でも米派でもない日本の中立的な立場は、どこまで保たれられるでしょうか?今後の政治の動きが見ものです
フランスでもユニフォーム?
日本では、高校まではどの学校も、制服があるのはごく当たり前ですよね。しかし、個性を重んじるフランスでは、私服が当たり前です。しかしここ最近、特にフランスの私立校では、ユニフォームを導入する学校が増えています。
PTAでは制服賛成派が大多数
フランスのセーヌ・エ・マルヌ県プロヴァン(Provins)市市長が、今年の9月の始業日(フランスでは9月が学校始業月)からユニフォームを導入すると発表しました。
これは、子供の親たちへユニフォーム賛成・反対のアンケート結果から決定されたものです。数年前までのフランスでは、ほとんど想像できない画期的な出来事です。
仏教育省自ら推薦
この背景には、教育省自らがユニフォームを推薦しているという事情もありますが、年々、高価な私服を巡る虐めや差別、盗みが増えているところにも起因しているようです。ユニフォームには、フランスの象徴的課題「自由・平等・博愛」の文字が記されるとのことです。
スイスからの贈り物:ゴミ
海で囲まれた日本では、絶対にあり得ない事件。次に紹介します話題は、国境が陸続きのフランスならではのニュースです。
毎年10トンのゴミの贈り物
スイスというと、皆さんはどのようなイメージがあるでしょうか?マッターホルンを臨む広大な美しい草原、ゴミひとつ落ちていない清潔は街並み。スイス人は皆、真面目で規律を重んじる尊敬に値する国民、等々、ともかくスイスに対する一般的なイメージは、どれも素晴らしいものばかり。ところが、スイス国境沿いのフランスの町では、スイス人のゴミ廃棄問題で大変なことになっているのです。
スイスのすぐ隣り、国境沿いのフランシュ=コンテ地方では、毎年約10トン余りのゴミがスイスから持ち捨てられるということです。つまり、我が家のゴミを隣の庭に捨てにやって来るようなことを、スイス人は平気でやってのけるというわけです。
スイスのゴミ袋は、フランスの10倍以上の値段
スイスと隣接したフランスの国境沿いの町では、スイスからゴミを捨てるためにやって来るスイスプレートの車両が増大。何故なら、スイスでは、新しいゴミ処理制度のため、ゴミ袋がフランスの10倍以上もする高級品と化したからです。そこで、少しでも安くゴミを処理しようと、わざわざ国境を越えてゴミをフランスまで捨てに来るスイス人が増大したとのこと。フランス側では、ゴミ収集場に監視カメラを備え付けるなどして対応しています。今のところ、政治的問題にまでは発展していませんが、スイス人のイメージダウンになる話題ですよね。
Japon express 日本を巡る写真集
レイモンド・ドュパルドン氏 (Raymond Depardon)は、有名な写真家かつドキュメンタリー作家です。この度同氏は、2016年・17年に日本を訪れた時の様子を100枚余りの写真に納め「ジャポン・エクスプレス Japon Express」と題して写真集を出版しました。
この写真集は、主に東京と京都の2都市が中心ですが、同氏は計9回も日本を訪れたとのことです。それだけ、「日本の旅はいつも新鮮な体験」とのこと。では、同氏の日本への想いを紹介しましょう。
他の国とどこか違うのか?
でも、どうして日本は他の国と違う体験ができるのか、という疑問が生まれます。以下は同氏の感想です。
「日本は、私にとって本当にその違いを感じさせる国です。まるで、「火星」にいるようです。ヨーロッパの国々やアメリカなどとは比較するに及びません。一度日本を訪れると、全く違う世界に迷い込んだようになります。まるで、2050年の未来の時を旅するような感覚です。若い世代にとって、日本は今や最も関心の的にある国です。それは、70年~80年代のアメリカのイメージが、若者たちの夢の的だったのに似ています。
私のような世代の写真家にとって、日本は神秘的で神聖な国でした。日本を旅し続けてわかったことは、日本という国は、とても簡単に写真になる国だということでした。他の国々ではシャッターを向けると、人々はどことなく落ち着かない感じですが、都会の日本人は全く反応がないことに気がつきました。写真家にとって、これはまたとないチャンスです。例えば、地中海沿岸諸国やアフリカの人々は、写真を撮ろうとすると、まるで機関銃のように厳しい視線を感じますが、日本人は誰もが優しい態度で受け入れてくれます。」
(6/6付ラジオ・フランスのインタビューからの抜粋)
参考:https://www.amazon.fr/Japon-express-Raymond-Depardon/dp/2757873199
コメントを残す