パリ・ニュース!マクロン大統領の強い決意

今週に入ってから、フランスは春を通りこして真夏の暑さが続いています。7月でも、摂氏25℃以上になることは稀なフランス。4月中旬、桜の花さえまだ咲き切っていないこの時期に、何とも気持ち悪いお天気です。
さて、今日の話題は「マクロン大統領、路上会議」、「NLLDの行方」、「オペラ座のセクハラ事件」、「私営スピード違反取締り」の4本です!

マクロン大統領、路上会議

先週の日曜日、マクロン大統領は、度重なる改革に対して高まる国民の不満に応えるため、辛辣さで有名なベテラン記者2人を相手に、生放送のテレビインタビューに応じたばかりでした。2時間半もの長時間の激論インタビューでしたが、マクロン大統領は、最後まで今回の改革の必要性と正当性を主張し続けたのです。ちょうどその2日後、ストラスブールの欧州共同体での会議で演説を終えた大統領は、予定されていたある市役所へ訪問した際、そこで待ち構えていた 一連の仏国鉄SNCFデモ隊に路上で囲まれてしまいます。

 確固たる態度にあっぱれ

その時の様子がテレビで報道されましたが、見ていて興味深かったのは、マクロン大統領の態度でした。公共の路上で、しかもたくさんの新聞記者やテレビカメラマンがいる中、抗議デモに囲まれた場合、日本の総理大臣だったらどうするでしょう?簡単に対応するか、全く無視して通り過ぎるか?でもマクロン大統領は、ヤジや罵倒の飛び交うデモ隊へ自ら近づいて行き、その場で延々と道端会議を繰り広げたのです。激論好き大統領として有名ですが、ここまでくると思わずあっぱれ・・・・。

 国民と真っ向から向き合う

当然、大統領訪問に当たり、周辺は事前に警官で保護されていましたが、その保護範囲を無視して、大臣自ら積極的に路上のデモ隊に真っ向から向き合って話し合おうとする態度は、なかなか勇敢なイメージがありました。
「フランスは今、改革を必要としている。私は議論を避けるつもりは全くない。しかし、ヤジや罵倒、暴力だけでは何の解決にもならない。」とデモ隊の1人に直接話しかけている姿が、その日のニュースで大々的に報道されました。この若い大統領の確固たる態度に対して、ますますストライキの気運が上がる一方、議論を避けることなく、真っ向から議論に立ち向かう大統領を応援するムードも盛り上がっています。

NDDLの行方

NDDLとは、Notre-Dame-des-Landes の略名です。今年の「週間パリ・ニュース」1月22日付で取り上げた話題「フランス版成田空港建設反対運動」のパート2です。NDDLは、ナント市近郊にある新空港建設予定地でした。しかし、半世紀近くも建設反対闘争運動が続いた結果、結局、反対派が勝利、政府はこの地の空港建設をあきらめたのでした。が、・・・・問題はこれで解決したわけではなかったのです・・・・!

 ZAD共同体の根強いレジスタンス

フランスは略語の好きな国です。先のNDDLの例にあるように、ZADもLa Zone à Défendre の略です。訳して「防衛ゾーン」という意味ですが、新空港建設計画の敷地のことです。さて、この「防衛ゾーン」ですが、50年も続いた闘争だったので、ここを占拠し、そこに住み着いた人たちの共同体が次第にできあがっていたのです。当初は主に、環境自然保護者で構成されていたのですが、次第に反政府主義者たちもここに参加するようになりました。

 政府の提案と要請

政府は、ナント新空港建設計画が完全に中止されたのを機に、ZAD占拠者(Zadistes) へ次のような提案をしました。この地で、事実上農耕または酪農を営み、合法的に 住み続けるという条件ならば、居住を許可する、というものです。早い話、借地料と税金を払えば許可するというのです。そうではない者には、直ちに退去命令が出される、というものでした。

 無政府主義と自然保護を混同してはいけない

フランス人のレジスタンス精神は、知る人ぞ知る、なかなか手強い相手ですが、今回のNDDLの問題は、この典型的なフランスの社会現象かもしれません。どちらにしても、政府は速やかで、かつ安全な解決策を望んでいます。今回のZAD占拠者に対して、環境大臣、ニコラ・ユロ氏は次のように伝えました。「暴力のない合法的な解決策を強く望んでいる。無政府主義と自然保護運動を混同してはいけない・・・」
確かにZAD占拠者の中には、純粋な自然保護者もいますが、中には反政府主義を唱えるアナーキストも混じっています。しかしながら、あまりにも長い間放置されたこの問題、ZAD共同体の中では、その境目が曖昧になってしまっているのかもしれません。

オペラ座のセクハラ事件

パリ・オペラ座とういと、歴代の有名ダンサーの発祥地として、バレエの世界ではとても有名です。
さて、その名門バレエ団でつい最近、セクハラやイジメ事件があることが発覚しました。

 アンケート調査で浮き彫りに

オペラ座バレエ団の内的調査で、100人余りの団員を対象にアンケート調査をしたところ、なんと約26%がセクハラに遭った、または同僚がセクハラに受けているのを目撃したというものです。いじめに至っては、約77%の団員がその犠牲あるいは犠牲者を知っているという回答。

 バレエ団の運営機能不全と不信感

この背景には、オペラ座バレエ団の運営上の取り締まり不全や、団長のオレリー・デュポン氏への不満・不信があるとし、オペラ座総支配人リスネール氏は、今後この問題を話し合いで解決する方針を固めました。

私営スピード違反取締り

今後、フランスではスピード違反の取り締まりは、パトカーではなく私営会社が取り締まることになるということで、すでに、「私営会社に、道路安全の取り締まりを任せても大丈夫か?」という不信と不安を呼び起こしています。またしても、ケンケンガクガクの論争が飛び交いそうです。

 ノルマンディー地方がまずその実験地に

というわけで、差し当たってノルマンディー地方の道路が、この新しい政策の実験地として選ばれました。私事で恐縮ですが、私はパリとノルマンディーの両地に住んでいるので、毎月1~2回は車で往復します。これはそう簡単に鵜呑みにできません。

 覆面車による取り締まり

私営のスピード違反取締は、覆面車を使用するらしく、ますます用心しなければなりません。2車線道路なら、フランスでは今のところ、時速90kmが制限スピードです。(今年7月からこれが時速80kmとなる)常時、時速メーターをにらみつつ運転しなければならないので、かえって危険なのでは?

   

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