インドネシアでの出産と育児(育児編)

インドネシア在住です。第一子はインドネシアで、第二子と第三子は日本で生まれました。インドネシアと日本での出産は大きく異なり、とても驚くことが多かったのですが、育児にも大きな違いがあります。ここでは、インドネシアの子育てについてお話しします。

健診と予防接種

 すべて自費で受ける

インドネシアでは、健診や予防接種にかかる費用は全て自費になります。したがって、予防接種率や健診受診率は日本よりもかなり低くなっています。一般的にインドネシアでは地域保健センターで乳幼児健診とワクチン接種が行われていますが、日本と異なり、先天性代謝性疾患のスクリーニングは実施されていません。

 地域保健ポスト

住民が設立、運営し、妊産婦及び5歳児以下の乳幼児を対象とした診療所である、ポシアンドゥと呼ばれる地域保健ポストというものがあります。

私も以前、山奥に住んでいたときにポシアンドゥの乳児健診に行ったことがありますが、野外にある学校の保健室のような雰囲気で、バネばかりとハンモックが一体になった体重計で体重を測って終わり、「え、これだけ?」「この体重計って正確なの?」と拍子抜けしたことを覚えています。設備がどう休暇しており、充実していないことが多いようです。

 目指せ「健康インドネシア」

現在、インドネシア保健省は「健康インドネシア」の実現を目指し、地域医療のレベルアップと業務拡大に乗り出しているそうですが、今のところ、中間層以上や外国人は私立の医療機関にかかりつけの小児科医を見つけ、そこで乳児健診や予防接種を受けることが多いです。

 

母子手帳と抱っこ紐

 こども手帳

インドネシアには、日本のように自治体から配布される手厚い内容の母子手帳はありません。赤ちゃんが生まれた病院、またはかかりつけの小児科でもらうシンプルなこども手帳を使い、乳児健診や予防接種のスケジュール管理をしたり、記録を残したりすることになります。

日本の母子健康手帳は、日本語とインドネシア語併記のもの、日本語と英語併記のものなどを日本の母子保健事業団から購入できるそうですから、使用したい場合は問い合わせてみてはいかがでしょうか。

 抱っこ紐

育児では必需品の抱っこ紐は、日本だとお母さんが赤ちゃんと対面する姿勢で装着するスタイルが一般的です。今こそインドネシアでもそのような抱っこ紐が増えてきていますが、私が第一子を出産した10年前はまだ少数派でした。このタイプだと赤ちゃんはがばっと足を開いて抱っこされるのですが、その様子を見たインドネシア人から「赤ちゃんの足がO脚になるよ」と本気で心配されたものです。

インドネシアでは、スレンダンと呼ばれる細長い布を使って赤ちゃんを横抱きにするのが伝統的です。日本ではスリングと呼ばれているものに近いです。赤ちゃんがかなり大きくなるまでこの方法で抱っこし、そのままご飯を食べさせている光景もよく見かけます。

インドネシアではおんぶはほとんど見かけません。私がおんぶで買い物に行くと、知らない人からびっくりしたように見られたり、映画「おしん」の影響で「オシン!」と言われたりすることもたくさんありました。
(「おしん」は昔インドネシアでも放送されていたので、大変な有名人なのです。)

 

食事と入浴

 食事

インドネシアでは、子供への食事の与え方も独特です。離乳食の時期は先ほど話したように、抱っこしながら食事を与え、日本のようにベビー椅子に座ってご飯を食べるという事はまずありません。ここでは、幼児期になっても親やベビーシッターが公園や道路で遊んでいる子供追いかけ回し、スプーンで食事を口に入れる、という光景をよく見かけます。スーパーマーケットでカートに座らせて、店内を回りながらご飯を食べさせるという人もいます。

市民プールなどでは、プールで遊んでいる子供たちにプールサイドから親が食事を与えるということも当たり前のようで、プールの排水溝等には食べ物のカスがいっぱい溜まっているというショッキングな光景も良く目にします。プールの場合は体を冷やしすぎないようにということで、なぜかカップラーメンを子供に与えている人が多いです。

「椅子に座って落ち着いて食べさせる」ということが一般的な日本人には、このインドネシア人の「遊ばせたり気を紛らわしたりしながらさっさと満腹にして済ませてしまう」という食事の概念に違和感を覚え、受け入れられないという人もたくさんいるのです。

 入浴

暑いインドネシアでは、赤ちゃんを朝と晩の2回、お風呂に入れる必要があります。お風呂の後にはミニャックテロンという、フトモモ科の木の葉から抽出されるオイルとココナツオイルをブレンドしたオイルを全身に塗りたくります。様々なメーカーからこのオイルが販売されていますが、赤ちゃんの体を温めたり、蚊を避けたりする効果があるそうです。お店では、大手ブランドのベビーオイルなどもよく見かけますが、インドネシアで赤ちゃんに使われるオイルはほぼミニャックテロンで、どの赤ちゃんからもこのオイルの独特な香りがします。

また、ベビーパウダーをこれでもかと全身にまぶすことも普通です。日本ではおむつかぶれをしたお尻などに少しまぶす程度ですが、インドネシアでは子供がいる家庭には必ずと言って良いほど、500ミリリットルのペットボトルほどのサイズのベビーパウダーが常備されており、赤ちゃんに限らず、幼児でも顔をパウダーで真っ白にしている子供がたくさんいます。大人でいうお化粧のような、身だしなみのような意味合いがあるらしく、真っ白な顔で幼稚園に来る子供がとても多いのです。最初に見たときは少し怖かったです。

また、インドネシアでは赤ちゃんも良い香りがしなければならないという考えが強く、赤ちゃん用のコロンなども売っています。無香料のベビー用品より、香りのついたものを好む人も多く、おしりふきでさえもきつい香りがついていて驚きます。マミーポコから無香料のおしりふきも販売されていますが、香り付きの方がよく売れているようです。

赤ちゃんの肌には極力何もつけず、つけるとしても肌に優しい無香料を、という考え方が日本では一般的ですよね。その一方で、インドネシアではオイルもパウダーもたくさんつけ、赤ちゃんは良い香りがするほうがいい、という考え方が一般的です。

 

最近は子育てしやすい設備が増加

インドネシアでの子育ては、最初は驚くことの連続でした。道もガタガタしていたり、歩道がなかったり、ほとんどエレベータも存在せず、ベビーカーを使うのも大変でした。しかし最近では公共の場所に授乳室が整備されたり、禁煙の場所ができたりと、少しずつ子育てしやすい環境になってきていると思います。

また、インドネシア人は子供好きな人が多く、気軽に子供に声をかけてくれたり、遊んでくれたりすることもあります。子供の泣き声や騒ぐ声にも非常に寛容であり、周囲にあまり気を使いすぎず、おおらかな気持ちで子育てすることができます。

もしも今後、インドネシアで子育てをする人がいるならば、少しでも参考になったら良いなと思います。