海外で外国人は病院に行くの?健康保険はどうなっているんだろう?

日本は保険大国だと言われています。日本はもともと医療費が安く、その上で健康保険というものがしっかりしているため、何かあっても簡単に病院に行くことができますし、比較的安く治療を受けることができるのです。例えば、健康保険にさえ入っていれば12歳以下の子供は小児科での治療が無料になり、予防接種なども無料で受けることができますよね。しかし、海外での子育てはそうもいきません。ここでは、世界的にも医療費が高いことで有名なアメリカの子育てと健康保険についてお話ししたいと思います。

出産後のお母さんと生まれたばかりの赤ちゃん

 産後のママたち

日本の場合、赤ちゃんが生まれた後は1週間ほど入院しますよね。海外では日本以上に無痛分娩が一般的ですが、それでも2泊か3泊はするものです。私は中国の北京で無痛分娩にて出産しましたが、私が入院した病院では3泊4日の入院でした。もっとも、息子が生まれる前日の夜から入院したため、息子が生まれた2日後には退院したのですが…
しかしアメリカではそこまでの入院さえしません。基本的には日帰り、あるいは翌日には退院します。無痛分娩で体が辛くないから退院する、などという人もいますが、私は無痛分娩でもそれなりに体は辛かったので、アメリカでの退院が早いのは医療費があまりに高すぎるからではないのかと思っています。だってアメリカって、盲腸で手術をしても1泊で退院しますもんね。

 赤ちゃんはいつから外出するのか

日本では、基本的に赤ちゃんの1ヵ月検診が過ぎるとやっと外出ができる、といったイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。とは言え、生まれたばかりの赤ちゃんには免疫がありませんから、1ヵ月で外出できるとは言ってもそれはあくまでも近所に5分か10分程度、というものであり、多くの人が集まるショッピングモールなどに行くのは2ヶ月か3ヶ月まで待つように、と考える人もいるでしょう。
しかしこれもアメリカでは大きく異なります。そもそも病院で医師の診察を受けるなるという概念があまりないからのか、生まれたばかりの赤ちゃんを連れて外出してしまうということも珍しくありません。カリフォルニアに住む私の友人は、赤ちゃんが生まれた5日後、旦那さんと5歳の息子とその赤ちゃんと遊園地に出かけていました。また、Facebookで赤ちゃんが生まれた友人の投稿を見ていると、確かに生まれて数日、数週間の赤ちゃんを連れて普通に出かけてしまうことが多いような気がします。

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医師の診察が優先…?

全てが「救急」

アメリカで赤ちゃんを持つ友人達と話をしていると、赤ちゃんに何かあった場合はやったら「救急」で病院に行く人が多いような感じがしました。日本だと、救急と言うのは救急車を呼ばなければいけないような本当に選択肢がない場合、あるいは夜間や週末など、病院がやっていない場合に利用するものですよね。そのため、最初は漠然と「救急で病院に行かなければならなくなるまで何をしているんだろう」と思ったものです。
しかし、これはそういうわけではなく、基本的に予約をしてから病院にいかなければいけないアメリカでは、予約なしで病院に行くと救急だそうです。また、何せ健康保険や病院に行くと言うことが一般的ではないため、どうしても病院に行くと言う表現がオーバーになることもあるそうです。つまり、言い方が悪いですが、ファッション的な要素もあるのです。
確かに、私にも経験があります。高校生の時に私はアメリカに留学していたのですが、当時、ドイツの留学生の友人が私のホストファミリーの家に遊びに来ていました。外出先で彼女は足首を捻挫してしまい、焦ったホストマザーが彼女を「救急」に連れて行ったのです。彼女は「ただの捻挫なのに!骨でも折れているのかしら!?」と焦っていましたが、今思えば、ただ予約なしで病院に行ったから、なのですね。

 頼る先が医者ではない

そんなアメリカのママたちを見ていると、面白いことに気づきます。子供に何かあったとき、すぐにFacebookで「何を食べても吐いてしまうんだけれど、何を食べさせたら良いのか」「この薬を飲みたがらないんだけれど、他に似たような薬はあるか」などと聞くのです。それは先程の「救急」に行ったばかりの人であっても同様です。
日本でそんなことを言えば、「そんなことは医者に聞け」と言われてしまうのではないでしょうか。ましてや病院で処方された可能性のある薬を子供が飲まないからといって、素人が軽々しく「じゃぁ、この薬にしたらいいよ」なんて言いませんよね。そもそも病院で処方される薬の方が強いですから、それが効かない場合、素人が何かできるというものでもないのです。
しかし、アメリカの友人たちがそのような質問をすれば、必ず誰かが答えます。その背景には、薬を処方してもらえばそれだけで高額になってしまう現実、そして医者と数分話しただけで数万円請求されるような現実があるのです。ニューヨークに住んでいた友人は、先日、医師と5分話しただけで80,000円の請求が来たと言っていました。

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「アメリカは先進国の先端」という神話

 アメリカの死亡率

かつて、新型インフルエンザが世界を震撼させたことがあります。アメリカから始まったこの新型インフルエンザは世界各地で猛威をふるい、アメリカでも多くの人が亡くなりました。そして、なんとなく「アメリカは先進国の先端を行く」と捉えている日本のメディアは、「アメリカでもこんなに多くの人が亡くなっているんですね」「日本も気をつけなければ」と言っていたものです。
しかし、実はこの時、日本の死亡率はアメリカの比ではありませんでした。というのは、アメリカは上記のような理由により、簡単には病院に行かない国です。ですからどうしても処置が遅くなってしまうということがあり得るのです。その一方で、日本人は39度の熱が出たらおそらく誰もが病院に行くのではないでしょうか。ですから処置が早く、回復が見込めるのです。そのため、アメリカの死亡率を日本のそれと簡単に比較することができません。

 予防接種を受けていない人もいる

先ほど、生まれたばかりの赤ちゃんを外に連れ出してしまうお母さんたちの話をしました。予防接種を受ける前に赤ちゃんを連れ出してしまう、そもそも予防接種を受けない、ということから、大人でも予防接種を受けたことがない人がそれなりにいる、ということが想像できます。
つまり、アメリカ人は日本人よりも病気にかかりやすい可能性があるということです。それなりに予防接種を受けていればかかるはずのない病気にもかかりやすく、だからこそ、アメリカで何らかの病気が流行ったとしても、だからといってそれが日本でも流行るとは言い切れないのです。

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海外に行くときは必ず健康保険を!

そんなこんなのアメリカでの保険事情を考えると、アメリカに旅行する際には、健康保険がいかに大事かということがお分かり頂けるでしょうか。たとえ「今まで旅行に行った時、1度も病院に行ったことがないから大丈夫」と思ったとしても、人間は盲腸になる可能性もあれば、階段から落ちる可能性もあるのです。
私は、海外旅行保険は傘のようなものだと思っています。雨が降ると思って傘を持っていけば雨が降らない、でも傘を持っていかなかったら雨が降る、と言うのと同じです。健康保険に入っていれば深刻なことは起こらない可能性が高い気がします。しかし何も起こらないからと入っていなかったら、その入っていない数日の間に病気になってしまう可能性もあるのです。
日本は保険に入らなかったとしても、一般的な病気や怪我であれば、医療費がそんなに高くなる事はありません。しかし海外の医療費を考えたとき、保険がなかったら大変なことになってしまいます。海外旅行に行く時はたとえ数日であったとしても健康保険を購入してください。

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