インドネシアの保険と医療、そして理想と現実

日本と言えば、世界的にも有名な保健国家です。誰もが保険を持ち、誰もが安心して医療を受けることができます。しかし海外ではそうでもありません。海外に滞在するとなれば、その国の医療制度について気になるという人もいるのではないでしょうか。私はインドネシアに住んで長くなりますが、長くなればなるほど医療制度の重要性に気づかされます。インドネシアでは2014年に新しい健康保険制度ができましたが、まだまだ不明なことが多く、大変なこともたくさんあります。ここでは、インドネシアの医療制度について紹介します。

インドネシアの健康保険制度

 2014年ににBPJSが成立

以前はインドネシア国民の半分が保険に入っていないと言われていました。インドネシアの人口は2億3千万人と言われていますから、ざっと1億1千5百万人が保険に入っていなかったのです。しかし、2014年からBPJS(Badan Penyelenggara Jaminan Sosial)と言われる国民健康保険への加入が義務化されました。
これと同時に、貧困層の人は自治体ごとに設置されている保健センターや病院で、医療を無料で受けることができるようになったのです。2014年当時の大統領は「国民健康保険制度を導入することにより、国民健康保険を持たない労働者や、お金がなくて医療を受けられない貧困層がいなくなる」とその意義をアピールしていたものです。

 外国人も加入しなければならない

6ヵ月以上インドネシアに滞在する外国人にも、この健康保険の加入が付けられています。就労ビザで滞在している場合は会社が手続きや掛け金の支払い等の事務手続きを行ってくれます。留学やリタイアメントビザで滞在をしている場合、滞在許可の手続きを委託しているエージェントで代行してもらえることができます。
また、自分で健康保険の事務所に行き、加入手続きを行うことも可能です。登録申請書に必要事項を記載し、バーチャルアカウントを発行してもらい、銀行で保険料を支払います。その後、支払い証明書を健康保険の事務所に提出することにより、医療サービスを受けることが可能になります。

私の場合は夫がインドネシア人であり、私自身は配偶者ビザでインドネシアに滞在していますから、夫が勤務している国有企業で加入手続きがなされていました。とてもありがたかったです。

 

診断を受ける方法とそれ以外のサービス

 診断を受ける方法

さて、医療保険を手にしても、どうやったらサービスが受けられるのか、どのようなサービスが受けられるのか、という点が重要ですよね。
国民健康保険に加入する際には、初期健康サービスを受ける医療機関を1つ選択し、最初はその登録した医療機関で診断を受けなければいけないのです。もちろん、緊急の場合を除きます。
もしもそれ以上の治療が必要である場合、その医療機関からの紹介で専門医家より大きな病院での診察を受けることができます。また、 国民健康保険のカードを受付で提示すると、診察や薬の処方がキャッシュレスで受けられます。

 それ以外のサービス

もしも保証やそれ以外の治療方法の選択肢を増やしたいと思うならば、民間の医療保険証サービスに加入することもできます。今後、国民が利用しやすいように、国民健康保険と提携した保険会社や医療機関は増えていくと考えられています。

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問題点と課題

 国民への説明義務

なんとなく聞こえが良いインドネシアの医療保障ですが、現状としては、国民への説明が十分になされていないという問題があります。日本のように、健康保険が当たり前の国の人間にはわかりやすいのですが、健康保険に入ったことがない人たちにとってはなかなか理解ができない制度になっています。
そのために様々な問題が発生し、いまだに軌道に乗ったとは言えません。インドネシアの人たちにわかりやすいような説明を考えていかなければいけません。

 それ以外の問題点

課題はまだまだ多いと思います。例えば、最初に指定した医療機関からハイレベルな医療機関で診察を受ける場合、どのような手続きをとらなければいけないのかという点がいまだに確立されていません。
また、加入者のIDカードの発行に時間がかかりすぎますし、実際に診察を受けることができる施設が少ないという問題点も指摘されています。病院での手続きも複雑ですし、病院に行ったからといって必ずしも診察が受けられるとは限らないという問題点も挙げられています。このような課題に関してはホットラインが設けられ、制度運用をしながら改善が行われているのです。

 

保険はまだ発展途上

日本のような誰もが保険を持つ国に住んでいると、保険という制度は当たり前だと感じてしまいますよね。しかし、保険に入っていなかった人たちからしてみれば、保険の制度はなかなか複雑です。しかし、外国人を保険制度に組み込んでくれない国もあることを考えると、外国人をも加入対象とするインドネシアは素敵ですよね。
ただ、いくらありがたい制度であったとしても、しっかりと運用ができていなければ意味がありません。必要な時に必要な医療を受けることができなければ意味がないのです。その点では、極めて確実に保険制度が採用している日本は素晴らしい国だと感じています。
早く様々な課題が解決し、誰もが医療を受けられる国になってほしいと思います。