バイリンガル、トリリンガル、マルチリンガルって何?それ以上は何て言うの?

英語教育が注目を浴びるようになり、最近では2か国語が話せる人のことをバイリンガルと呼ぶ、という事は誰もが知る時代になりつつあります。それならば、トリリンガルやマルチリンガルというのは一体なんなのでしょうか。

トリリンガルやマルチリンガルとは

 3か国語、4か国語…を話す人々

一般的には、2か国語を話す人をバイリンガル、3か国語を話す人をトリリンガル、多言語を話す人をマルチリンガルといいます。バイリンガルは”Bilingual”と書きますが、このBiとはラテン語で2という意味を持っており、そこに言葉という意味のlingualをくっつけて”Bilingual”という言葉が出来上がりました。
そのため、トリリンガル”Trilingual”は3か国語になります。3人組のことをトリオと呼びますね。4か国語を話す人はクァドリンガル”Quadrilingual”になります。4重唱のことをカルテットと呼んだりするものです。5か国語を話す人の事はペンタリンガル”Pentalingual”といいます。アメリカの国防総省は五角形になっているため、一般的にペンタゴンと呼ばれています。

 マルチリンガルとは

その一方で、マルチというのはたくさんという意味です。そのため、マルチリンガルというのは多言語を話す人のことを指し、一般的には5か国語以上話す人をマルチリンガルと呼びます。しかし、何か国語も話す人がやたらいるわけではないという現状から、3か国語話せたらマルチリンガル、という考え方もあります。

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世界ではバイリンガルは当たり前!?

 日本人は英語が通じない?

日本は政治的にも経済的にも世界に影響力を持つ国であり、地理的には小さい国でありながら世界的には信頼される国です。しかしその一方で、日本は極めて高度な英語教育を推進しているにもかかわらず、英語が通じない国として知られています。
確かに、日本人で「英語が話せる」と言われている人はたくさんいますが、周りを見回してみると実際に「英語が話せる」人は滅多にないと感じる人も多いのではないでしょうか。日本国内において外国人から道を聞かれ、なんと言っていいのかわからず、「アイ キャント スピーク イングリッシュ!」を連発してしまった、という経験を持つ人もいるかもしれませんね。

 英語は話せて当然の言語?

その一方で、海外に行くとむしろ英語は話せて当然の言語であるということがわかります。英語は世界の公用語と言われていますが、実は世界的には英語を母国語として使う人はそこまで多くはないと言われています。実際に英語を主な言語として使用している国はアメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、イギリスだけですよね。母国語として話す人が最も多い言語は中国語だとも言われています。英語主な言語として使用している国の人口を全て足しても中国人の人数には達しないからです。
しかし、英語が世界の公用語と言われる理由は「英語を用いる人が多いから」と言えるでしょう。世界のどこに行っても、まず英語が話せれば何とかなるとも言われています(ちなみに中国など、国によってはやっぱり英語が通じなさすぎて何ともならない場合もあります!)。例えば、ヨーロッパの人は様々な言語を使いこなすというイメージを持っている人もいるかもしれません。しかし考えてみてください。ヨーロッパで英語を母国語とする国はイギリスだけです。しかし、イギリス以外の人も英語を使いこなすのです。

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ヨーロッパ人は有利?

 ヨーロッパには似た言語が多い!

その一方で、「ヨーロッパにはそもそも似通った言語が多いんだから、マルチリンガルで当たり前なんじゃないの?」という考え方もあるかもしれませんね。もちろん、だから日本人は英語が話せなくても良いというわけではありません。しかし、あまりにも「ヨーロッパの人はたくさんの言語が話せてすごいよね!」「自分はヨーロッパ出身だからいろいろな言語が話せるんだ!」などと言われると、日本人としては面白くないところもあります。
かつて、中国の大学でスペイン人の先生の修士課程の授業に参加した時、「博士課程に進学するならば4か国語は話せなければいけない」と言われたことがあります。彼はスペイン人ですのでスペイン語を使いこなしますが、イタリアの大学に通っていたということでイタリア語も(どの程度話せるのかは 全く知りませんが)使えるらしく、フランス語も(全く聞いたことはありませんが)話せる(と思っている)ようです。そして英語も(何を言っているのかさっぱりわからないことも多いですが)とりあえず話します。どうやら、彼自身が4か国語を話すから、このような発言が出たようでした。
当然ながら、この後彼は中国人の学生から集中放火を受けました。「だってヨーロッパには似たような言語が多い」「中国語には似たような言語は存在しない」「ヨーロッパの人にとっての英語と中国人にとっての英語は違う」「一緒にしないで」などという主張が中国人から上がったのです。私は当時、4か国語が話せなければいけないらしい博士課程の学生でしたが(4か国語も話しませんが)、私もやはりそれはいかがなものかとその先生に疑問を投げかけた記憶があります。確かに大学で博士課程まで行くなら英語くらいは話せた方が良いだろうと思いますが、だからと言って「4か国語を話せなければいけない」ということはないと思います。

 日本人にとっての英語習得はハードルが高い

外国の人と話していると、「日本人の英語は母音がはっきりとしすぎていてわかりにくい」と言われることがあります。日本語は「あいうえお」がはっきりとした言語であり、英語はそうでもないですよね。日本語と英語は発音が違うため、日本語に慣れている日本人には英語の発音がしにくいのです。また、英語には日本語にない子音がたくさんあります。例えば日本語にはrやthの音は存在しないですよね。このような発音が日本人にとっての英語が難しくなってしまう理由となります。そして、同じアジア人であっても、より多くの子音を有する言語を話す中国人や韓国人の方が英語の発音がきれい、という傾向が生じてしまうのです。
そのため、そもそも日本人がバイリンガルを目指すというのはなかなか簡単なことではありません。むしろ日本語は英語や中国語など、世界で有数の言語とは文法も異なりますし(日本語に近い文法持つ言語はハングル語だと言われています)、英語の習得はハードルが高いといえます。ですから、日本人としては外国人から「日本人は英語が話せない」と言われると、「大した苦労もせずに英語が話せるようになった君に何がわかる」と思ってしまうこともないわけではありません!
しかし、そのような考えを表に出してしまえば日本は世界でも遅れをとってしまいます。やはり海外で対等にやり会うためには「日本にはひらがな、カタカナ、アルファベットが存在し、日本人はこれら3つの文字を使いこなす有能な国民」と誇りを持つのではなく(小学生の時にそのように習いませんでしたか?)、やはりそれなりに英語が話せるようになっていかなければいけないと思う今日この頃です。

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1か国語しか話せない国民とは?

そんな日本人に朗報です。政治や外交において、こんな言い回しがあります。「2か国語が話せる人はバイリンガル、3か国語か話せる人はトリリンガル、1か国語しか話せない人はアメリカ人」…!!
今や海外旅行なども当たり前の時代となりましたが、実はアメリカから出たことがないアメリカ人は少なくありません。そしてアメリカに住んでいるからこそ、英語以外は話せない、アメリカ人は世間知らず、と考える人も少なくないのです。だからこそ、それを皮肉ってこんな言い回しが存在するのです。日本人はこのようには言われたくないものです。

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