中国での妊娠生活と出産!②トラブル

中国、北京在住です。2017年末、北京で妊娠・出産を経験しました。妊娠している間は日本に1度も帰る事はなく、出産後は母が数日間北京に来てくれましたが、基本的には夫婦で乗り切るつもりです。中国語が分からない中での妊娠と出産は不安もありましたが、日本ではできないような経験をすることもでき、それなりに視野が広がったと思っています。ここでは、私が妊婦健診の時に経験したトラブルについてお話しします。

24週から他の病院に転院

 最初は近い病院の予定だったのに…?

私が妊娠8週から通っていた産婦人科は、出産は扱っていませんでした。もちろん24週から近くの病院に転院するという前提で通っていたので、そのことは承知の上でした。

最初に「出産のために転院する」と言われていた病院は、8週の時から通っていた病院から極めて近く、特に不安はありませんでした。最初に通っていた病院がとても良かったので、むしろその病院と提携している病院ならば安心だろうと感じていたのです。

 転院先の病院がいきなり変わった?

しかし、20週の検診を受けたとき、いきなり主治医から違う病院に転院することになると言われたのです。その病院は遠く、地図を見ただけでも家からタクシーで40分から50分はかかるようなところにありました。

そんな話は聞いていない、いきなりそんなことを言われても困る、と詳しく話を聞いてみると、最近提携先の病院を変えたと言われました。中国では、このようなことがよくあります。その時点では何も言われなかったのに、いきなり「契約が変わったから」「事情が変わったから」などと、話が大幅に変わっていく、ということがよくあるのです。この時も同じような感じでした。

私たちは車を持っていない為、いざ陣痛が起こったときには友人に送ってもらうか、タクシーを捕まえるか、のどちらかになります。陣痛が起こっている最中に40分近くタクシーに乗っていられるか、とても不安になりました。

 主治医が一緒についてきてくれた

24週で新しい病院に転院したときは、主治医も一緒についてきてくれました。転院先の病院はインターナショナルと名の付く病院で、NICUをも完備しており、施設としては申し分ないということだけは安心だった覚えがあります。

その日は検査が長引いたため、主治医は先に帰っていきました。私は主治医がとても好きだったので、主治医から「あなたは、次の検診からここの病院に来るのよ」と言われた時はとても寂しくなったことを覚えています。別れ際、主治医は私を抱きしめてくれて「大丈夫、何かあったらいつでもうちの病院か私に連絡しなさい」と言ってくれました。不安が大きかったため、主治医の言葉はとても心強かったです。

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2018.01.06

英語が通じる?

 「中国人医師と外国人医師、どちらが良いですか?」

初めてその病院に行った日、受付の人から「中国人医師と外国人医師、どちらが良いですか?」と聞かれました。英語が通じるならばどちらでも良いと答えたところ、中国人医師の方が時間的には都合が良いと言われました。その医師は英語が話せるかと聞いたところ、英語が話せると言われたため、特に不安を感じることなく中国人医師を選んだのです。

しかし、診察室で話したその中国人医師は英語がほとんど話せませんでした。いきなりの転院でもともと不安と苛立ちがあったため、診察室で私の不安はピークに達しました。質問を投げかけたところわかってもらえず、一生懸命漢字を書いて質問したところ、中国語で答えられてしまい、絶望的な気持ちになった覚えがあります。この医者は英語が話せないではないかと、受付の人に対しても怒りを感じました。

 検査結果が伝えられない

実は、その日の午前中は妊娠糖尿病の検査がありました。OGTTと言われるもので、75グラムのブドウ糖を溶かした水を飲み、その1時間後と2時間後に血糖値を測定するという検査を受けたのです。検査結果が出るまでは時間がかかったため、結果が出たら電話をすると言われていました。その結果、私には妊娠糖尿病の傾向があるということが分かったのです。

しかし、私にその検査結果を伝えてきたのは今まで通っていた病院の主治医でした。その主治医の英語も検査結果を英語で伝えられるレベルではなかったため、念のためにと新しい病院で診察を受けた中国人医師に電話をしたところ、その医師からは「私は検査結果を英語で言えないから、明日、外国人医師の診断を受けるように」と言われてしまいました。

 余計な出費

実は、中国の妊婦検診や出産の費用はパッケージになっています。10週から40週(出産まで)の妊婦検診がすべてパッケージ料金になっており、最初に支払いをしているため、毎回の妊婦検診では+αの検査をしない限りお金はかかりません。しかし、24週の検診は前日に受けており、再度外国人医師の診察を受けるとなると、別料金がかかるのです。

まだ見ぬ我が子のための出費ならば仕方がないと思いながら、「中国人医師が英語を話せないと知っていたら、最初から外国人医師を選んだのに」「結局は商売されただけなのかも」と感じ、一気に病院に対して不信感を覚えました。最初から外国人医師を選んでいれば、きちんと英語で説明してもらえたであろうものを、「英語が話せる」と英語が話せない医師を紹介されてしまったが故に、余計な出費が生じたのです。確かに、問題視するような額ではないのですが、防げたであろう出費と、そのために遠くの病院までまた行かなければいけないと言うストレスは、妊娠中期の私には相当なものでした。

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2017.12.12

病院内で連携が取れていない

 「また明日来て」

中国人医師から「外国人医師の診察を受けるように」と言われてすぐ、その外国人医師の診察の予約を取り、私と夫は翌日、朝からその病院に向かいました。そしてその外国人医師の診察室に入った時、また思いもよらぬことがありました。

その外国人医師はフランス人で、その医師も英語があまり得意ではない様子でした。インターナショナル病院と言いながら、まともに英語が話せる医者がいないのかと腹が立ちましたが、少なからず夫がフランス語を話せるので、夫に通訳してもらいながら会話をすることになったのです。

そして、その外国人医師から「妊娠糖尿病の場合、自分の管轄じゃないから、栄養士と話をしなければいけない」と言われたのです。しかも、「今日は栄養士がいないから、また明日来て」と言われました。

 イスラエル人の栄養士

3日続けてその病院に行かなければいけないという事はかなりのストレスでしたが、行くしかないですので、3日目、再度その病院に向かいました。その時はイスラエル人の栄養士と話ができ、彼女は英語も上手だったため、私としては安心した覚えがあります。

しかし、問題は彼女も妊娠中であり、しかも出産間際であると言うことでした。1週間後にもう一度診察を受けることになりましたが、彼女から「もしも私が出産等になって診察できなかったら産婦人科のフランス人の医師に診察してもらえるように伝えておくから、フランス人の先生と話をしてね」と言われたのです。そのフランス人の先生とは、前日に「自分の管轄じゃないから」と言った外国人医師でした。

 話が伝わっていなかった

1週間後、そのイスラエル人の先生が急遽出産になったとのことで、私はフランス人の医師と診察をすることになっていました。しかし、いざそのフランス人医師の診察室に行くと、その医師には何の情報も伝わっていなかったのです。どうやら、そのイスラエルの先生はフランスの先生に事情を伝える前に出産となってしまったようで、話を伝えることなく産休に入ってしまったようでした。

私の怒りは頂点に達し、おそらくフランス人医師には通じていないだろうと思いながらも、かなりの剣幕でこれまでの事情を説明したと思います。夫はフランス語で医師に事情を説明してくれました。

 中国人の栄養士と日本人の医師

そこで、今度は外国人を対象としたカスタマーサービスで仕事をしているフィンランドの女性がやってきて、私たちの話を聞き、イスラエル人の先生とも連絡を取り合い、「話が通じていなかった」「申し訳なかった」と、他の栄養士との予約を入れてくれました。内科に中国人の栄養士と日本人の医師がいたため、日本人の医師が通訳として同席してくれることになったのです。

今回の件はかなりのストレスでしたが、ちょうど日本人の医師とも話せたことで、妊娠糖尿病に関しては不安をだいぶ解消することができました。特に妊娠糖尿病と言うと、どうしても「食べてばかりいるから」「全然運動していないから」「もともと太っているから」「急に体重が増えすぎたから」などと思われやすい側面があります。私は極めて標準体型ですし、その時点で体重も3キロしか増えてはいませんでした。1日2時間は歩いていましたし、30代になったばかりですし、一般的に「妊娠糖尿病になりやすい人」には当てはまらなかったのです。そのためとてもショックだったのですが、この日本人医師から妊娠糖尿病について話を聞くことができ、安心した覚えがあります。

なお、このフランス人医師は、この後私の主治医となり、出産まで本当にお世話になりました。言語の問題もあり最初は大丈夫かと思ったものですが、必要なところは夫に通訳してもらいながら、きちんと意思疎通ができたと思います。

 連携が取れていない

今回のトラブルはとても大きなストレスとなり、実際、妊娠中の私の中ではしばらく不信感を拭うことができませんでした。しかし、実際はスタッフに問題があるわけではなく、一人ひとりはとても良い人なのですが、全体に連携が取れていないことが問題だったと思っています。

また、これも連携の1つですが、女性が出産ギリギリまで産休に入らずに働けると言う事は素晴らしい一方で、やはり人間相手の仕事の場合、仕事に支障のないように余裕を持って産休に入ると言うことも大切なのではないかと感じました。私も同じ女として、妊娠しても働ける環境の大切さはよくわかるつもりですが、こちらも自分の命とまだ見ぬ我が子の命がかかっているわけですから、「すみません、赤ちゃんが生まれちゃったので連絡ができませんでした」では済まないものがあります。中途半端に引き受けるのではなく、自分の仕事を責任持って終わらせてから産休に入ると言うことも大切だと思うのです。

自分で選んだこととは言え、言葉が通じない環境での妊娠や出産は妊婦にとって大きなストレスとなります。自分のことだけならばなんとでもなりますが、お腹の子供の命がかかっているわけですから、いつも以上に気が立ってしまうこともたくさんあります。確かに「インターナショナル」の病院ですから様々な考え方があるとは言え、「インターナショナル」の病院だからこそ、柔軟に対応できるようにするべきなのではないか、と感じたものです。

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