中東での会社設立は簡単ではない!ラマダンなど文化が全然違う!

私は現在中東に駐在しています。その経験を通じた中東での会社設立の状況に関して紹介したいと思います。

中東でのビジネス拠点

中東内で多くの日本企業が進出しているのがアラブ首長国連邦(以下UAE)のドバイです。実に300社以上が進出をしています。進出数が多いということは、それだけ外資規制が少ないということになります。ドバイの場合は、外資出資比率100%で会社を設立できるエリアがあります。そこは「フリーゾーン」と呼ばれています。

 GCCとは

海外では、簡単に会社設立ができる国とそうでない国があり、中でもGCC(UAE、カタール、バーレーン、オマーン、サウジアラビア、クウェートからなる湾岸協力会議)に属する湾岸諸国は資源豊かで、特にUAEやカタールは資源力によって富を成し、裕福な国へと変貌を遂げています。

 外資企業の進出は簡単ではない

では、UAEやカタールでも会社設立が容易であるかというとそうではありません。前述の通りUAEでは、フリーゾーンが存在してそこには100%外資で会社設立ができますが、フリーゾーン以外では合弁でないと会社設立ができません。また、フリーゾーン内に入る企業は、「フリーゾーン内だけでビジネス可能」という規約もあります。その為、現地マーケットなどを商売にしている企業等は、フリーゾーンではなく、地場のエリアで合弁会社として会社設立が必要になってきます。
カタールでもフリーゾーンは一部ありますが、金融関係のみ可能でして、大半の企業は合弁で会社設立を行います。

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外資企業の多い中東諸国

GCCの中でも外資企業の進出が多いのが、UAE、カタール、バーレーン、サウジアラビアです。バーレーンは小国でありながら、外資規制が比較的ゆるく、会社設立も湾岸諸国内では容易です。しかし、人口(マーケット)は小さく、さらに日本からも直行便が就航していないことを加味すると、特別な理由がない限りは、バーレーンを中東の中心オフィスに構える企業は少ないでしょう。

 サウジアラビアの状況

サウジアラビアは国土が広く、資源もあることから、商社、プラント、建設、インフラ関係の企業らが多く進出しています。
サウジアラビアは他のGCCと比べても物価や人件費が安く、UAEやカタールと比べても3分の1程度とも言われます。一方、治安はあまりよくないです。さらにサウジアラビアで会社設立は容易ではなく、賄賂!?が必要かもしれないといわれるほど難しいようです。

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カタールでの会社設立

前述でカタールの会社登記は容易ではないと答えましたが、サウジアラビアと比べると容易ではあります。しかし、合弁会社となるとパートナー探し、交渉、締結まで多大な労力がかかります。

 現地パートナー選び

合弁会社の場合、出資比率は外資は49%まで、現地側が51%まで出資比率があります。しかし、カタール人(おそらくUAEでも)はお金を出さず、名義貸し(ノミニー)を行います。つまり「名前は貸すけど、金は出さない」ということです。
会社設立だけそういう手間がかかるだけで、その後は大丈夫かというとそうではなく、さらに毎月パートナーへスポンサー代として、お金を支払います。相場は10万円〜50万円まで幅広いです。さらにパートナーと一度組んでしまうと、そのパートナー解消も簡単には出来ません。

 面倒な登記手続き

中東でビジネスをする為に、まず直面するのがこの会社登記です。会社を建てるのも、潰すのもどちらも難しいのです。
カタールを例に出しますと、役所などは朝7時〜13時までです。その後 16時ごろから業務のある役所もあるようですが、大抵手続きの窓口などは、午前中で終わってしまいます。

 ラマダン!?

また、会社登記を行なっていく上で、もう一つ問題があります。それはイスラム関係者なら誰もが知っているラマダン(断食)です。日の出から日没までの間 食事を一切行いません。ヒジュラ暦(イスラム暦で数える1年)でイスラム圏の生活はまわっているため、ラマダンの時期は毎年ずれていきます。2010年は特に長かったです…(午前4時前から午後8時半ごろまで 断食)

こうした状況では役所をはじめ、たいていのアラブ人は仕事をしません。また外国企業の中には、この時期には中東から外に出る人も多いです。さすがに1ヶ月国を出たら仕事になりませんので、駐在員などは、すぐに戻ってきますが…

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文化の違いはビジネスの違いに通ずる!?

多くの外資企業が進出をしている中国や、コストが安く日系企業も工場などを持つタイを見ていたので、海外での会社設立であってもスムーズできるだろうと思っていました。しかし、中東地域においては、現地パートナーとの交渉、関係構築に多大な時間を費やす必要があると感じています。

 こんな指摘を受けることも

何度も湾岸の資源豊かな国へ足を運ぶたび、彼らの桁違いの生活風景を日常的に目にします。先日、ドーハ市内のスーパーをカタール人と歩いていた時に、注意されました。「あまり速く歩かない方がいいですよ。速く歩くと何か緊急事態かと誤解されてしまいますから」アラブの世界では、日本人のせかせかした生き方は、合わないのかもしれません。

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