私は中国に住み始めてもうすぐ2年になります。外国人として海外に住むためにはビザが必要になります。多くの場合、ビザを取得すればそれで終わりですが、中国の場合はビザを取って訪中した後にさらなる手続きをし、中国入国から30日以内に「居留許可証」と言うものを申請しなければなりません。そのための手続きについて今回は紹介します。
「外国人体格検査」を受ける
中国で暮らすためには、入国してから30日以内に居留許可証を申請しなければなりませんが、この居留許可証を申請するためには健康診断が必要になります(ビザを取るためには必要ありません)。
日本でも受診可能
この健康診断は訪中後に受けることもできますが、書式が決まっているため、もしも中国の事情に詳しくないならば、日本で受けて行ったほうが無難です。インターネットで「外国人体格検査」と検索すると、診断書をダウンロードすることができます。日本国内で中国の健康診断である外国人体格検査を受けることができる場所は国立病院・日中友好病院と決められています。
まず、県内の国立病院に電話して、「中国に行くために外国人体格検査を受けたい」と話をしてみましょう。今は日本から中国に行く人も増えましたので、多くの国立病院はこの外国人体格検査の経験があるはずです。もしも経験がない病院だった場合、「それ、なんですか?」と言われるような病院であった場合は、可能ならば経験のある病院を探した方が無難です。理解がある病院の方が信用できます。
検査を受けるときの注意事項
検査を受ける際には、1つだけ注意事項があります。私が調べたときには、「日本で外国人体格検査を受けても中国に行ったらもう一度受けなければならない」と言う経験談を多く耳にしました。どういう意味だろうと調べたところ、確かにインターネット上で中国の国家が指定した外国人体格検査の診断書はダウンロードができるのですが、実は中国は都市によってその診断書に書かれていない検査項目を受けなければならないのです。つまり、診断書に書かれた項目だけを検査しても足りないものがあるために、中国に行ってからもう一度受けさせられる可能性が出てきてしまうようです。
日中友好病院からの助言
私は北京に行く予定だったので、北京ではどの診断項目が必要なのか調べ始めました。しかし大使館に質問をしても、「北京滞在に必要な検査項目は、北京当局に確認しろ」と言われるばかりで、何のヒントも得られません。そこで、東京都渋谷区にある医療法人社団、日中友好病院に電話をしたのです。日中友好病院は中国大使館指定医院でもあり、外国人体格検査なども積極的に行っている病院です。この病院に電話をして「北京に行くんだけども、書かれている検査項目以外に必要なものは何か」と聞いたところ、「北京は腹部超音波が必要」と教えてくれました。
病院の印鑑は必須
そこで、県内の国立病院に外国人体格検査の予約を入れながら「腹部超音波もしてほしい」とお願いしました。外国人体格検査には慣れているようでしたが、診断用紙に書かれた検査項目以外の検査をお願いした人は私が初めてだったようです。最初は「体調に不安があるのか」などと理由を聞かれましたが、事情を説明したら快く受け入れてもらえました。
診断結果が出る前は、病院にもよりますが数週間かかります。病院が外国人体格検査に慣れていればまず問題はないはずですが、受け取るときにはすべての検査用紙に病院の印鑑がきちんとされていることを確認し、レントゲン写真も受け取りましょう。
中国に行った後の手続き(その1)
中国に行った外国人は、24時間以内に最寄りの公安で臨時宿泊登記をする必要があります。ホテルに滞在する場合はホテルが滞在客の情報を公安に届け出ますので、何も心配する必要はありません。もし友人の家などに泊まる場合は、自分のパスポートだけではなく友人の身分証明書なども持参し、最寄りの公安に届けます。中国に長期滞在するための手続きをこれから行う人は、臨時宿泊登記の証明書をもらっておきましょう。
私たちが最初に中国に来た時は、最初の数日間ホテルに滞在しましたので、臨時宿泊登記の手続きはホテルで行いました。その後、アパートに引っ越した後は再度手続きを行いました。
外国人体格検査の証明書を受け取る
次に、日本で受けてきた外国人体格検査の証明書を受け取ります。最寄りの「国際旅行衛生保健センター(国际旅行卫生保健中心)」と呼ばれるところに日本から持ってきた診断書とレントゲン写真を全て提出して、証明書を貰います。証明書だけならば、大抵翌日には完成します。もし、日本で外国人体格検査を受けてこなかった場合は、ここで検査を受けます。
日本で診断を受ければ30,000円ほどかかる外国人体格検査ですが、中国ならばその3分の1以下で受けることができます。金銭的なことを考えると中国での受診の方が魅力的ですが、中国で診断を受ければ、診断書と証明書が出るまでに1週間近くかかります。まだまだしなければいけない手続きがあることを考えると、よほど中国の事情に詳しい、慣れている、といった状態でない限りは日本で受けて行った方が安心でしょう。
やっぱり多い項目漏れ
ちなみに私たちが証明書を取りに行った時、案の定、腹部超音波を受けていないために健康診断の証明書が取れないという外国人をたくさん見かけました。場合によっては未受診の項目だけを受ければ良いですが、スタッフの力量によっては再度全項目受けさせられる可能性があります。もちろん、中国で外国人体格検査を受ける場合は確実に必要な項目を全て受けることができるために安心ですが…
労働許可証(外国专家证など)
さらにもう一つ、労働許可証の取得が必要になります。私たちの場合、主人は就業ビザ、私は家族ビザを取得しましたが、そのビザのもとで中国に滞在するためには主人の労働許可証が必要になります。主人は大学の専門職に就いたため、「専門職の証明書(外国专家证)」が必要でした。
私たちが中国に行った前年までは、外国专家证は申請してから2、3日で完成したそうです。しかし、私たちが中国に行った年からはシステムが変わり、申請してから受け取れるまで10日(土日祝日除く)かかると言われ、焦った覚えがあります。
中国に行った後の手続き(その2)
手続き(その1)で述べた書類が全て揃ったら、これでやっと居留許可証の申請ができます。この許可証の取得ができれば手続きは全て終わりです。
入国30日以内に申請を!
ここまでの道のりが長いだけで、居留許可証の申請そのものは決して難しくはありません。上記の書類とパスポート、顔写真を持って申請するだけです。顔写真の大きさには決まりがありますが、許可証を申請する場所で写真を撮ることもできますから、心配する必要はありません。
注意しなければいけない事は、中国に入国してから30日以内に申請しなければいけないことです。30日以内に申請できなければ、パスポートに貼られているビザは無効となり、不法滞在をしていることになってしまいます。
居留許可証を受け取る
居留許可証を申請してから受け取るまでは、都市にもよりますが10日(土日祝日除く)ほどかかります。値段は、新規申請の場合は就業ビザを持つ主人が800元(約13,400円)、家族ビザを持つ私が400元(約6,700円)で、更新の場合は2人とも400元でした。居留許可証はパスポートに貼られてきます。
ちなみに受け取るときには、引換券を渡すだけでパスポートを返され、本人確認はありません。日本人の感覚だと少し怖い気がしますが、考えてみれば身分証明書であるパスポートを渡しているため、本人確認の仕様がないようです。
中国はセキュリティが厳しい
居留許可証を申請してから受け取るまでは、手元にパスポートがないという状態になります。中国はセキュリティチェックが厳しく、電車の駅の構内でも身分証のチェックを受けることがあるため、パスポートがない間は引換券(パスポートを預けていると言う証明)を持ち歩くようにしなければなりません。パスポートが手元に帰ってきたら、常にパスポートを持ち歩くようにしましょう。
最新情報にアンテナをはろう
このように中国は手続きが非常に多く、さらに言語の問題もあり、私たちが中国に来たばかりの頃は不安なこともたくさんありました。もしもこのような手続きを踏まなければいけない場合は、会社や同僚、友人の助けを借りる方がよいでしょう。中国語が分からない状態で、1人で対応する事はまず不可能です。
法律がころころ変わる
中国では法律やシステムは年々変わります。中国に来てもうすぐ2年経ちますが、「去年まではこうだったのに」「3ヶ月前はこうじゃなかった?」ということも頻繁に起こるので、人の経験談はあくまで参考にしかなりません。自分が何かをするときには、その時点での情報を収集する方が賢いといえます。言語の問題で自分1人ではどうしようもないという場合は、周りの人の助けを借りて対応しましょう。大切なことなので2度繰り返しますが、法律は徐々に変化するため、人の体験談を鵜呑みにしてはいけません。
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