駐在員が見た最後のフロンティア、ミャンマーの実情

「最後のフロンティア」と称されるミャンマー。日系企業の駐在員として赴任した約5年間の経験から、ミャンマー人とどのように向きあっていくかについて紹介します。

ミャンマーってどんなところ?

国の人口は約5,400万人とされ、インド、中国の二大消費地に国境を面しており、それ以外にもタイ、ラオス、バングラディッシュという5つの国と国境を面しているという点、人口も多く、消費地として非常に魅力的な国です。

 勤勉な民族性

頻繁な停電、劣悪な衛生面などがあり、まだまだ改善の余地は多様にある国ですが、旧首都のヤンゴン郊外に日本政府主導で開発されたティラワ経済特区(通称ティラワSEZ)が稼働をはじめ、貿易の拠点としても今後期待されています。
ミャンマー人の宗教の7割以上が仏教徒とされており、勤勉な性格というイメージが定着しています。

 中心はヤンゴン

ミャンマーの現在の首都はネピドーといって、ミャンマーの中部にあります。ヤンゴンは旧首都ですが、現在もミャンマー経済の拠点となっています。ちなみに、ミャンマーの駐在員は推定で3,000人前後いるのではとされていますが、そのうちの8割以上がヤンゴン(ヤンゴン郊外含む)に在住しているとされています。

ミャンマー人と良好な関係を築いていくために

私が駐在をして最初に直面した問題を紹介します。私や弊社だけでなく、多くの駐在員らがミャンマー人との価値観の違いに悩まされることがあります。

 叱るときは別室で

ミャンマー人は真面目という見方がある一方で「本当のことは最後まで言わない」とも捉えられます。そのため何かあると翌日から会社に来なくなり、そのまま辞めてしまう人もいます。
これは東南アジアでは似たような教育方法かもしれませんが、我々日本人は人前で怒ることがありますが、これはミャンマーではタブーのようさえあります。
「怒るときは別室に呼ぶ」これは鉄則でもあります。

 ミャンマー人を知るには時間がかかる

繊細なな心を持つ一方、かつて秘密警察がはびこっていた暗黒の時代があったミャンマー(旧ビルマ)ですから、お互いが信用しないで仕事をしている、という状態が実は今でも存在します。
ミャンマーという国を理解するのは、非常に時間がかかります。私の場合4年半の駐在生活で、ミャンマー人の友達も多かったのですが、ミャンマーという国をまだまだ理解できたわけではありませんでした。
ミャンマー人を理解するには、彼ら彼女らのバックグラウンドを知る必要があります。

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ミャンマー人の生活

駐在時には「ミャンマー人は目先しか考えない」と嘆く声を耳にしました。それでも多くの駐在員の場合、日本人との価値観の違いに四苦八苦しながら職務を全うしています。
これは日本企業でよくありがちなやり方なのですが、「日本式」「ジャパンブランド」「日本流」など、日本のやり方を無理やり押し付けるやり方ではミャンマー人はなかなか順応できません。

 中国の影響は大きい

まずミャンマー人はどこの国の影響を多分に受けているかを知る必要があります。国境を面している国の一つに中国があります。
ミャンマーの中国との貿易比率は輸出が約25%(2位)、輸入が約30%(1位)という数字です。
中部にマンダレーという都市がありますが、ここは中国まで車で6時間の距離にあり、ヤンゴンと比べても中国色が強いです。
その為、思考などが中国の影響を受けているといっても過言ではありません。
所得が低く、月の給与が300ドル以下(一般事務員など)な為、日本製の高価な商品に手が出ないということもあります。購買意欲が高いですが、彼らが購入するほとんどの商品が「メイド・イン・チャイナ」なのです。

 意外に高いミャンマーの物価

ミャンマー国内には産業がほとんどない状態であり、あっても成長していない産業のため、大半を輸入に頼っています。
タイと比べても物価は高いのです。
新規参入を予定している企業が視察の段階で、進出は難しいと判断を下してしまう理由は、インフラ面が未発達の場所が非常に多く、物価も「アジア最貧国」という印象からか、非常に安いと思いがちですが、サービスアパートなどは30万円近くします。ミャンマーの労働環境のメリットとして紹介される「安い人件費」ですが、実際のところハード面(オフィス、インフラ、住居、生活補助)なども含めると非常にコストがかかります。

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日本企業と他国のミャンマー戦略の違い

韓国企業のミャンマーへの進出も顕著で、日系企業よりも早く中国、韓国の企業は進出しています。

 駐在期間が長い韓国企業

特に韓国人と日本人の違いは、「駐在が3年から5年の日系企業に対し、韓国企業は骨を埋めるという覚悟で進出してきている」ということです。
その為、語学力の違いがまずはそこに現れます。
ミャンマー語を覚えなくても、日本語や英語でなんとかまかり通ってしまっていましたが、韓国企業などはミャンマー語も達者な方が多く、在住どれぐらいかと聞いた所、縫製関係などは10年以上の方が多かった記憶があります。

 現地の言葉をマスターすることは成功の鍵

まず海外で外国人と業務をする際には、最低限の母国語をマスターしていくことが大事だと感じました。最初は挨拶、御礼程度でいいのですが、徐々に「〜できますか?」「〜はどこですか?」「○○の件はどうなっていますか?」など業務で頻繁に使う言葉を徐々に知っていくといいでしょう。

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日本人になくてミャンマー人が持っているもの

日本は先進国で、ミャンマーは途上国。この構図ははっきりとしていますが、私はミャンマー人が我々日本人より特筆したスキルを持っていると感じることがあります。それは語学力です。

 ミャンマー人は言語能力が高い

私の友人の中華系ミャンマー人の子はミャンマー語、英語以外に中国語、タイ語を話すことができます。特に彼女は留学経験があったわけでも、ミャンマー社会でも富裕層でもありません。中流階級でごく普通のミャンマー人です。
しかし、彼女の地元がチャイトンという場所でそこはタイの国境付近、さらには中国にも近い場所なのです。ミャンマー人は中華系ミャンマー人(チャイニーズミャンマー)、インド系ミャンマー人、ビルマ族など、合計で100以上の民族が存在します。
そのため、使用言語が多少違うのです。
我々がミャンマー語で「こんにちは」を「ミンガラバー」と言いますが、タイ国境付近では「サワディー」と言います。 タイ語で「こんにちは」を「サワディーカ」と言いますので、国境に面している民族はミャンマー以外の国などから言葉、文化の影響などを受けています。

 民族が違えば言語が異なる

以前、噂で「ミャンマー人の一部はミャンマー出身ということにコンプレックスを持っているから、ミャンマー人でもミャンマー語を使いたがらない人がいる」と聞いたことがありました。
その真意はわかりませんが、ミャンマー人同士で英語の会話をしていることがあります。
私はその時なぜ英語で会話をしているのか聞いてみました。すると
「僕はミャンマー中部で、彼はヤンゴン(南部)出身だ。お互い言葉が違うから英語で喋っているんだ」
私はそこで改めて民族の多さを目の当たりにしたのでした。

ミャンマーへの見方は人それぞれ

約5年間ミャンマーで過ごし、「変わった」という意見を持つ駐在員と「3年ぶりに来たが何も変わってないな」と言った旅行者がいたように、国の変化の評価は人それぞれです。

 急激すぎる発展

特に鎖国状態にあった国で、民主化がはじまったばかりの国ですから、日本のやり方がうまく受け入れられないのは 当たり前かもしれません。
例えば日本が20年かけてやってきた国の発展を、今のミャンマーは5年かそれよりも短いスパンでやろうとしているのですから、明らかなオーバーペースです。
いろいろと問題点はあるのですが、今後どうなっていくのが楽しみな国、それがミャンマーです!

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