フランスで10年以上仕事をして感じる文化や考え方の違い!~フランスは異文化が混じりあう複雑な社会

フランスという国は、様々な文化や多国籍の人たちと交じり合いながら、仕事をする機会の多い国です。一般に、フランス人は個人主義で、中にはエゴイストな感じを受ける印象があるようですが、これは大まちがいです。私が10年以上ここフランスに住んで感じているのは、彼らの個人主義は、異文化の交じり合った複雑な社会で、自分を守り主張する上でのひとつの手段にすぎないのです。さて、今回はこの国でどうすればスムーズに問題なく(楽しく?)仕事ができるのか、私自身の意見とエピソードを交えてご紹介します。

カルチャーショック

さあ、仕事の第1日目。勤務開始時間は9時30分から。決して朝の早い時間ではないはずですが、たいていのフランス人は遅刻してきます。私は生真面目な日本人で、開始時間の少なくとも10分前には席についていないとソワソワして落ち着きませんが、フランス人は10分、20分の遅刻なんて平気、ボンジュール!と笑顔でオフィスに入ってきます。しかし、たいていの遅刻者は、少なくも遅刻時間分の残業をしていました。要するにこれは、フランスではフレックスタイム制が一般化しているからでしょうが、個人主義の一旦として、自分の行動には自分で最後まで責任をとるという態度があるわけです。

 ストライキと連帯感

フランスはストライキの多い国です。日頃はあまり目立たない同僚、ピエールが、「君はどこに住んでいるの?パリの何区?」と尋ねてきました。「どうして?」と聞き返すと、明日からRATP(パリ公共交通機関)のストライキがあるから、メトロもバスも不通だというのです。ええ?!どうしようと思っていると、笑顔でピエールが「パ・ド・プロブレム (問題なし)」と言いました。どうやら、ストライキがあるたびに、彼が率先してリーダーシップを発揮、マイカーのある社員とそうでない社員の案内役を務めて、ストライキの不都合をカバーしているのです。ここでは、個人主義とは正反対、フランス人の連帯感の強さを感じました。こういう機会があってこそ重要人物となり得るピエール君、ストライキに命をかけてる?と本当に感心しました。

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「働くために生きる」か「生きるために働く」か

フランス人は、おしゃべりが大好きです。学校でも、家でも、道端でも、カフェやレストラン、ときにはトイレの中までも。当然、仕事場は例外ではありません。
ある日、昼食時に社員食堂でいつもの仕事仲間と食事を終えて、そろそろ仕事に戻ろうとしているとき、突然、ナタリー(仮名)が私へ向かって、「どうして日本人って蟻のようによく働くの?」と聞いてきます。そこから始まった会話は、仕事場までも持ち込まれ、最後には日本人は「働くために生きている」がフランス人は「生きるために働く」という結論にまで発展…

 議論が大好き

要するに、フランス人はおしゃべりというよりも議論が好きなのです。自分の意見をもって、それを相手に理論でもってぶつける?ことが好きなのですね。)思わず、デカルトがニヤリ?)ですので、仕事場でも、自分の意見を理論的に主張できる人が昇格していくチャンスに恵まれているような気がします。(もちろん、良い結果があるということが条件ですが)

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仕事と私生活

フランス人は「仕事」と「私生活」の境界線がはっきりと分かれているようで、しかしながら時々曖昧なときがあります。これは、要するに前項の「生きるために働く」の延長線上からくるのかもしれませんが、つまり、「仕事」とは「私生活」を守るためであり、それ以上でもそれ以下でもないという考えのようです。

 こんな休暇ありなの?!

ある朝仕事場に着くと、案の定、コーヒーの自動販売機の前で小さな輪ができて 、数人がなにやら議論しています。さて今回は何だろうと、それとなくその輪の中に入って聞き耳を立ててみると、どうやら、フランソワ(仮名)がサバティカル休暇(Congés Sabbatiques)を申請したというのです。さてサバティカル休暇とは何かというと、日本には存在しない制度なので少々日本人には理解しにくかと思いますが、つまり、通算勤務年数が3年以上の社員に対して、無給の長期休暇を許可するというものです。会社に申請しそれが受け入れられれば、辞職しないで最低6ヶ月から最高11ヶ月間の長期休暇を取得できるという制度です。
休暇中は無給なので自給自足を強いられますが、たいていのフランス人はこの間に、ヨット世界一周旅行するとか、外国生活を経験するとか、全く違う職種に就くための研修を受けるとか様々です。とにかく、かねてから夢に見た人生のプロジェクトを実現するための休暇です。

 彼の夢とは?

さて、話題のフランソワの夢とは、何と将来クレープ屋を営みたいので、プロのクレープ作りの研修のためだったとか。とてもじゃないけど日本人には真似できない、と私はため息をついてしまいました。

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フランス革命の精神

フランス革命があったのは、1789年。私たち日本人は、すでに200年以上前の歴史的事実として理解していますが、何を隠そう、その気質は今でもちゃんとフランス人の中に染み込んでいるのです。これをしっかりと頭の隅においてフランス人と仕事をしないといけません。次のエピソードは、それをうっかり忘れて、というより知らなかった私の失敗談です。

 「権利」の名の下で

毎週月曜日の朝は、社内会議があります。その点は日本でも変わらないと思いますが、議論大好きフランス人が集まる会議では、そう簡単には終わりません。延々とあまり重要とは思われない?課題を議論し続けています。早く自分のオフィスに戻って本来の仕事をしたかった私がそれとなく「そろそろこの辺で…」というと、私の横にいたソフィーが「これは、私たちの権利だから、結論を知りたい!」と断固とした決意、横目で敵対心の視線を私に投げてきます。ああ、そうなんだ、ここはフランスなんだ、「権利」という名の下では、国王でも首をはねられたんだ、と理解したときにはもう遅し。その日の会議は、そのために延々とその日の午後まで持ち越されてしまいました。

 異国籍出身者が集う会議

前項の会議の出席者は35人程度。出席者の国籍を数えてみると…アメリカ、アルジェリア、イギリス、中国、イタリア、そして日本。そうそう、イラン人もいました。もちろん、フランス人は多数派ですが。
しかしここで面白いのは、みんな自分の国籍を超えてフランス人になり切っているのですね。フランス制度の下に就業し、毎日ほとんどフランス語で話し、ボルドーワインを飲んで、カマンベールチーズを口にするような生活が日常茶飯事という生活を営んでいる以上当然なのかもしれませんが、各々の国の持ち味というか、ぬぐい切れない祖国の文化というか、そういうものを背負いながら一緒に仕事をしているような気がします。だから、ときにはとてもユニークでオリジナリティーあふれるアイデアが飛び出したりします。そういえば、近代オリンピックを発案したのはピエール・ド・クーべルタン、フランス人でしたよね。

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がんばれ日本人!

どこの世界でも、自分の国と異なる人たちとともに働くということは、否が応でも理解しがたいことに出くわすものです。その度にいちいち腹を立てたり、落ち込んだりしたって前に進みません。まず、相手に(この場合は、フランス人に)合わせようとしないで、自分らしさを忘れないことです。自己主張が強い反面、個人の個性を重んじるフランスでは、かえってその方がスムーズに仕事が運んだりします。また、あまり相手を詮索しないで、率直な態度で接することです。
最後に、何があっても大らかさを忘れないでください。へえー、フランス人ってこうなんだ、面白い、と感じられるようになれたら、あなたは合格です!

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