犯罪証明書というものを聞いたことがあるでしょうか。海外で生活をする場合、特に海外で就労ビザを取得する場合には犯罪証明書の提出が求められる場合があります。これは日本国内において犯罪を犯した記録がないということを証明するものであり、市役所などで簡単に取得することができません。ここではこの犯罪証明書について紹介します。
本籍のある警察本部で申請
なぜ犯罪証明書が必要なのか
犯罪証明書は無犯罪証明書、警察証明書、などと呼ばれることもあります。警視庁が調べた結果が犯罪証明書として手渡されるわけですが、これを発行してもらうためにはそれなりの理由が必要になります。
例えば、かつて私は中国で就労ビザを取るために犯罪証明書を取得したことがあります。警視庁や警察本部は犯罪証明書が必要とされるケースを全て把握しており、犯罪証明書の申請理由を聞かれた場合に彼らが把握しているケースに当てはまらないことを言った場合、犯罪証明書が取得できなかったり、時間がかかったりする可能性があります。つまり「興味本位で犯罪証明書を取得してみたい」という事はできません。
本籍がある警察本部へ
犯罪証明書を取得する場合、本籍がある都道府県の警察本部で指紋採取が行われます。岐阜県ならば岐阜県警察本部、東京都ならば警視庁になります。基本的に予約は必要ありませんが、発行理由について尋ねられることもありますので、いちど電話をしておくと良いでしょう。都道府県名と犯罪証明書で検索すれば必要な情報が出てくるはずです。
警察本部に行くときには、パスポートと本籍地が分かる身分証明書を持参しましょう。パスポートだけではいけませんし、本籍地が分かる身分証明書だけでもいけません。もしも海外に行くわけではないけれど外国から犯罪証明書の提出を求められているという場合は事前に電話をして確認をしておく必要があります。また、犯罪証明書にはパスポートの番号が記載されますので、近々パスポートを更新しなければならないなどという事情がある場合は先に更新してから犯罪証明書を申請した方が良いです。
指紋採取が必要になる
10本すべての指の指紋が必要
犯罪証明書を取得するためには、指紋採取が必要になります。警察本部で取得する場合はデジタル式で指紋を採取しますが、すべての指1本ずつの指紋、親指以外の4本、さらに親指、という3種類が必要になります。どのようにやったら良いのか、などという事は全て教えてもらえますので、心配する必要はありません。
大使館等で取得する場合は指にインクをつけ、紙に指紋をつけていくやり方が行われているようです。外国の大使館で犯罪証明書を取得する場合、予約が必要になりますので必ず事前に連絡をしましょう。
取得までは10日ほどかかる
日本国内で犯罪証明書を申請した場合、取得にはおおよそ平日で10日かかると言われています。さらにゴールデンウィークなどを挟むとその分長くなりますので、余裕を持って申請するようにしましょう。
大使館で犯罪証明書を取得する場合、1ヶ月半ほどかかります。必要に応じて取得しなければいけない書類ですが、とにかく時間がかかる可能性があるということを念頭に置いておかなければいけません。
開封厳禁の証明書
犯罪証明書は開封無効
例えば、大学の成績証明書なども開封無効の封筒に入れて送られることがありますが、この犯罪証明書はまさに開封厳禁の証明書になります。封筒には提出先機関の名前や申請者の名前等が記載されており、開封無効と書かれています。もしも開封してしまった場合は中に入っている犯罪証明書が効力を持たなくなってしまいますので、絶対に開けてはいけません。
これは不正を防ぐために必要な処置になります。外国で働くなどという目的があるわけですから、あなたに犯罪の経歴がないことを証明しなければいけません。偽造されてしまっては困りますので、開封厳禁になります。
私が中国の就労ビザを申請したときには、ビザ申請センターにおいて担当者の目の前で開封するように言われました。その時も不安で「本当に開けてもいいんですね?」と何度も聞いた覚えがあります。中には開封無効である、開封しても大丈夫、などと勘違いしている人もおり、上司から「開けて持ってきて」などと言われてしまう人もいるそうですが、大学の成績証明書のような感覚で開けないようにしましょう。この犯罪証明書は封筒に記載された提出先の指示があるまで絶対に開けてはいけません。また、万が一開けてしまった場合は効力がなくなりますが、同じ理由で再度申請することは基本的にできませんので注意が必要です。
基本的には翻訳は必要ない
海外に提出する書類であるため、犯罪証明書の海外語訳が必要になると思う人もいるかもしれません。しかし、犯罪証明書は日本語だけではなく、英語、スペイン語、ドイツ語、フランス語でも記載されていますので、基本的に翻訳は必要ありません。提出先に出し、先方から翻訳をするように指示があった場合のみ翻訳をすれば良いのです。提出先の指示がないにもかかわらず、「翻訳が必要かもしれない」などと気を利かせて開封しないようにしましょう。
アポスティーユ等が必要な場合
提出先にしっかり確認して!
提出先によっては、その犯罪証明書に外務省のアポスティーユが必要となる場合もあります。アポスティーユの他にも公印確認というものがあり、これらは外務省が「これらは確かに日本国内で正式に発行された書類である」という証明になります。提出先がハーグ条約に加盟している国であればアポスティーユが必要になりますし、ハーグ条約に加盟していない国であれば、公印確認が必要になります。
例えば少し話がそれますが、外国人と結婚して婚姻届を出した場合にはその証明書にあたる婚姻届記載事項証明書を外務省に持参し、その婚姻届記載事項証明書が確かに日本の正式な書類であるという証明のためにアポスティーユか公印を取得しなければなりません。アポスティーユであれば手続きはそれで終わりですが、公印を受けた場合は、今度はそれを日本国内にあるその国の大使館や領事館に持参して認証をもらわなければいけません。なお、外務省のアポスティーユや公印は無料ですが、相手国の大使館や領事館で認証をもらう場合は有料になるケースがほとんどです。
中国で就労ビザを取得する場合、犯罪証明書には外務省の公印と中国大使館の認証が必要でしたので、私は日本で犯罪証明書を取得した後、外務省の公印と大使館の認証を取得しました。外務省は持参することもできますし、郵送も可能です。また、交通費や時間等の問題で東京の外務省まではいけないという場合、大阪にも分室がありますので、そちらならば持参できる場合もあるかもしれません。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/todoke/shomei/index.html
必要ない場合もある
ただし、犯罪証明書を取得したからといって全ての犯罪証明書に外務省のアポスティーユや公印が求められるというわけではありません。犯罪証明書を提出すれば良いという機関もありますので、これは提出先に確認する必要があります。
大使館で犯罪証明書を取得する場合、申請をすれば外務省のアポスティーユや公印までは取得してもらえるようですが、場合によっては自分でやらなければいけない場合があります。しかし、外務省は海外からの郵送でのアポスティーユ申請を受け付けませんから、自分でやるとなればかなり大変です。
そのような場合は行政書士にお願いしても良いかもしれません。行政書士は海外から犯罪証明書をEMSなどで郵送すれば良いケースが多く、数日でアポスティーユや公印、認証を受けてくれます。さらに、それをEMSで送り返してくれますので極めて安全だと言えるでしょう。もちろんお金はかかりますが、時間をかけずに全ての書類を揃えることが可能になります。
余裕を持って行動することが大切
犯罪証明書が必要ならば、早めに申請しておきましょう。もちろん有効期限がありますので何年も前に申請しておくなどという事はできませんが、日本国内でも取得に10日はかかる、ということを知っておく必要があります。そして絶対に開封しないように気をつけなければいけません。日本人は大学の成績証明書のような感覚で開けてしまう人が多いと聞いたことがありますが、開けてしまったら無効になる、その場合は再度申請できない可能性がある、ということを念頭に置いておく必要があるのではないでしょうか。
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