皆さん、いかがお過ごしですか?そう言えば日本は今、梅雨の季節ですよね。こちらに長く住んでいると、四季がはっきりしている日本の季節が懐かしくなります。
さて、今日の話題は、「地中海を放浪するアクアリウス号」、「やあ、元気?マニュ!」、「パリで大麻ショップ!?」、「サッカー会場を掃除する日本人」の4本です。
地中海を放浪するアクアリウス号
アクアリウス号は、フランスの非政府組織の難民救援船です。アフリカ、主にスーダンやナイジェリアの難民が、内紛や飢餓、貧困を逃れて、地中海リビア沖で定員を完全にオーバーした小さなゴムボートで放浪しているのを救助し保護するのが目的です。今までにも 何隻ものこのような船が、ヨーロッパの港に入港し、難民たちを救助してきました。
難民を完全拒絶したイタリア
さて、こうして救助された難民を受け入れる玄関国は、イタリアでした。「でした」と過去形なのは、新しく発足した極右派のイタリア政権が、難民受け入れをきっぱりと拒絶したからです。イタリアに続いて、地理上最も近ったマルタ政府もこれを拒否。難民630名を乗せたアクアリウス号は、入港許可を求めて地中海を彷徨う羽目となったのです。
遅いフランスの反応
イタリア、マルタの入港拒否後、アクアリウス号が助けを求められる最も近い国は、フランスでした。しかし、フランス政府からの積極的な救援反応はなく、マクロン大統領に至っては、「シニカルで無責任な国」とイタリアを批判したに終わっただけで、具体的な救援案はないまま、時間が過ぎていきました。船内の食料と飲料水も限界という状況にまでなっていました。
仏国内意見分かれる
さて、今回のイタリアの難民拒否にあたり、フランス国内では、これに対するフランス政府の消極的な態度に、野党や難民救済ボランティア団体はもちろん、国民の間でも様々な論争を呼び起こしました。世界中の難民をすべて受け入れることは不可能とする反面、地中海を放浪し生死に関わる人命を救うことは当然とする2派に別れました。フランスの興味深いところは、何についても決して意見が一致しないことです。
助け舟、スペイン
このような中、助け船をだしたのが、スペインでした。奇しくも、スペインは、中道左派のサンチェス首相率いる新政権が成立したばかりでした。1週間以上もかけて、アクアリウス号はやっと無事に、スペイン東部にあるバレンシア港へ入港しました。
今回のイタリアの難民船拒否は、今まで難民問題をイタリアやギリシャに押しつけ、おんぶにだっこし続けてきた欧州連合国(EU)に対する新しい課題として、大きな波紋を投げかけています。
やあ、元気?マニュ!
6月18日、あるセレモニーに参列したマクロン大統領。中学生グループに歓迎されたのですが、その内の1人が、「やあ、元気?マニュ!Ça va Manu ? 」とマクロン大統領を気軽に呼びかけたことから、今回の話題が大きくフランス中で取り上げられることになったのです。
さて、その理由は・・・・?
「ムッシュー・プレジデントと呼びなさい!」
「マニュ」というのは、マクロン大統領の名前であるエマニュエルを省略した、至って馴れ馴れしい呼び方です。ある中学生がこの呼び名でマクロン大統領を呼んだから、さあ大変。マクロン大統領は、この中学生に向けて「ノン。君は全く間違っている。ムッシュー・プレジデントと呼びなさい!君は今、公なセレモニーの場にいる。その場に見合った態度をとるべき。」とお叱りの言葉をピシャリ。それだけならまだしも、続けて「バカ騒ぎもいいが、今日はフランス・レジスタンスを誇る歴史上とても大切な日。君は、私をムッシュー・プレジデントと呼ばなければならない。時と場所をよくわきまえるべきだ。わかったね?」と言い、続けて「君はまず、何よりもよく勉強して資格を取ることに集中しなさい。」と付け加えたのです。叱られた中学生は、「ウィ、ムッシュー・プレジデント」と言って渋々謝りました。しかし、マクロン大統領のお叱りは静まらず、
「それでよろしい。君は物事を順序立てて行わなければならない。君がある日、革命を起こしたいならば、まず資格をとり、自分自身を高めなさい。わかったね? 人に忠告するのはそれからだ。」と注意をうながし、彼の腕を軽く叩きました。
その時の様子が詳細にテレビで放映され、フランス中の話題を巻き起こしました。単に、大統領に直接会えて興奮しただけの1人の中学生に、これだけの時間と力量を込めて注意を払うマクロン大統領という人に、またしてもその夜、ケンケンガクガクの議論がフランスのテレビニュースを沸かしました。
パリで大麻ショップ!?
オランダでは「コーヒーショップ」と呼ばれている、いわゆる軽度の大麻を購買するブティックが、この度初めてパリで開業し、開業第1日目から、大勢のパリジャンたちが押し掛けました。これに対し、フランスのアニエス・ブザン厚生大臣は、直ちにこれらの大麻ショップを禁じる決意を発表しました。
法律の隙間を狙った大麻ショップ
元々の発端は、大麻要素が0.2%以下ならば、薬品利用として大麻を利用しても良いというフランスの新しい法律の隙間を狙ったことから始まりました。この大麻の法律上のグレーゾーンを利用して、軽度の大麻入り商品を売り出すブティックができたのです。合法化された大麻は、大麻愛飲者、とりわけ若者たちには夢のような話し。瞬く間に、これらのブティックは大繁盛。朝から長い行列が店の前に並ぶようになりました。
さて、いつまでパリの大麻コーヒーショップは開店しつづけるでしょうか?厚生省と大麻ショップの合・非合法戦は、始まったばかりです。
サッカー会場を掃除する日本人
ロシアで開催されているサッカーW杯2018、日本対コロンビア戦は、フランスでもテレビで放映。フランスのサッカーファンにとって、「今日の勝者は、明日の敵」とばかり、日本選手の活躍ぶりを関心をもって見守っていました。みごと、日本はコロンビアを2対1で倒し、次回のセネガル戦が興味深くなったばかりでした。
さすが!日本人
しかし、この時フランス人の関心を引いたのは、日本代表選手の活躍ぶりだけではなく、日本応援団の態度でした。サッカー会場を後にした日本応援団の何人かが残って、ゴミや空き缶などを拾って掃除しているのです。確かにフランスでは、日本人は礼儀正しい国民としてよく知られていますが、このように実際にテレビで目の当たりに紹介され、改めて日本人の律儀さに拍手。因みに、このエピソードは、敗れたコロンビア応援団にも影響したらしく、彼らも日本人に習って、会場をせっせと掃除していたので、思わず微笑んでしまいました。
長らくご愛顧いただきました「パリ・ニュース」は、今週が今年前半の最終回です。フランスの慣習にもれず、長い夏期休暇 をいただきます。次回は9月からの予定。また新たに、たくさんのフランスの話題を意外な驚きと関心を交えながら、紹介させていただきます。
日仏文化の違いを通じて、改めて自国日本を振り返るお手伝いが出来ればと願いつつ・・・。
引き続き、どうぞよろしくお願いいたします!
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