アメリカにも教科書検定ってあるの?テキサスやカリフォルニアが重視される理由とは

中学や高校の時に学んだ歴史なんて覚えていないという人も多いかもしれませんね。しかし、人間の歴史的な感覚を作り上げる教材の1つが歴史教科書です。歴史教科書に書かれているかいないか、などという事が国際関係に大きな影響を与えることもあります。日本で歴史教科書問題と言えば中国や韓国を思い浮かべる人もいるかもしれません。しかし、日本と大きな関係を持つ国の1つにアメリカがあります。ここでは、そんなアメリカの歴史教科書がどのように作られるのか、ということについて紹介していきます。

アメリカは誰でも教科書が出版できる

 アメリカには教科書検定がない

日本の教科書と言えば、どれも教科書検定をクリアしたものばかりです。文部科学省が教科書を審査し、教科書として適切な表現になっているかどうかチェックしなければいけません。例えば、山川出版社や東京書籍は教科書の出版社として有名ですよね。

実はアメリカには教科書検定がありません。言い換えれば、誰でも簡単に教科書が出版できるということになります。日本であれば教科書検定をクリアしていなければ教科書として出版できないため、誰でも教科書が出版できるという事はあり得ませんが、アメリカには教科書検定がありませんから基本的には誰でも教科書が出版できてしまうのです。

 アメリカの教科書の採用状況について

日本であれば、教科書検定にクリアした教科書の中からそれぞれの学校が教科書を選びますが、アメリカにはそのようなものがいません。基本的には学区ごとに教科書が選ばれており、教師が好きに教科書を選ぶということも珍しくありません。あるいは、中学校は学区ごとに教科書が選ばれているけれど高校は教師が好きに選んで良い、などという場所もあります。これらは州によってルールが異なります。

教師によっては、教科書以外にインターネットを利用したり、テレビ番組を利用したり、ということもあります。日本は基本的に教科書を使って授業をしなければいけませんが、アメリカにはこのようなルールも存在しません。教師は自分が好きなように教材を選び、授業をするケースが多いです。

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出版社にとってカリフォルニアとテキサスが重要

 なぜカリフォルニアとテキサスが重宝されるのか

誰でも好きな教科書が出版できるからといって、本当に出版社が好きに教科書を出しているというわけではありません。出版社にとっても教科書産業は大きなビジネス分野であり、とにかく売り上げを伸ばす必要があるのです。そのため、売れないような教科書等は出版社が出すはずもなく、出版社は売れるような教科書を出すことに躍起になっているといえます。

そんな出版社にとって、アメリカで最も大きな州であるカリフォルニアとテキサスは非常に重要なバイヤーとなります。カリフォルニアとテキサスはそれぞれ州が教科書を選ぶ仕組みになっており、最も学校の数が多いため、出版社にとっては非常に重要な存在になるのです。カリフォルニアとテキサスで教科書が採択されれば、それだけでも出版社にとっては大きな利益になります。

 教科書の執筆について

カリフォルニアのテキサスで採択してもらうため、出版社たちはこれらの州で受け入れてもらえるような教科書を執筆します。カリフォルニアは革新的な州であり、テキサスは保守的な州ですから、それぞれ求める基準が異なります。カリフォルニアは多様性を求める場所ですが、テキサスは「古き良きアメリカ」を重視する場所であり、それらのガイドラインはそれぞれ異なります。しかし出版社たちはどちらの州でも売れるような教科書を採択したいと思うため、何とか妥協できる場所を見つけ、執筆していかなければなりません。

まず、教科書を執筆したらそれぞれの州に提出し、チェックをして貰います。それぞれから受けたチェックを見直し、新たな教科書を作り上げ、また確認してもらい、再度修正を加える、という繰り返しを重ねてどちらの州にも切れてもらえるような教科書を作成します。

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教科書を売るための工夫

 様々な得意分野の学者を集める

教科書にもよりますが、出版社は何とか教科書を得るために、様々な工夫をしていきます。例えば歴史教科書であれば歴史学者が教科書を執筆していくわけですが、何とか売れる教科書を作り上げるために、教科書の出版社が執筆チームを選ぶことがあるのです。

歴史教科書といっても、1人の歴史学者が教科書を執筆するというわけではありません。それぞれの歴史学者には得意分野がありますので、多くの歴史学者が集まり、それぞれの得意分野を執筆して教科書が作られるのです。

 出版社が執筆チームを採択する

教科書によっては、出版社が執筆チームを採択することがあります。つまり1冊の教科書を作り上げるためにどの学者を採択するか、出版社が事前に選んでいるのです。

学問分野の多様性は当たり前のことですが、それ以外にも男性ばかりのチームにならないように女性を加えたり、白人だらけのチームにならないようにアジア人や黒人の学者を加える、ということもあります。周りから見て偏ったチームにならないよう、出版社は執筆者たちを選んでいきます。また、より売れる教科書にするために、人気のある学者を選ぶこともあります。たとえその学者が既に亡くなっていたとしても、「この学者の名前があれば売れる」と思われれば、その学者の名前が利用されます。もちろん、明らかに過去の学者名を利用する事はありませんが、すでに亡くなった学者の名前を教科書に掲載するケースは珍しくありません。

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国によって教科書は採択方法が異なる

日本や中国は教科書検定がありますので、歴史教科書というのはあくまでも国が認めた見解が書かれているということになり、だからこそ国際関係につながります。しかし、国によってはそのようなものが存在せず、あくまでも学者の考え方が重視されるケースも珍しくありません。日本とアメリカも、例えば第二次世界大戦に関しては全く違った記述がなされています。そのような記述の違いを学ぶことこそ、お互いの歴史観を学ぶきっかけになるのではないでしょうか。

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