留学生活は経済的に楽じゃない!?友達に支えられて取得した博士号

アメリカに留学すると言えば、とても華やかな印象を持つ人もいるのではないでしょうか。奨学金等を受け取り、お金の心配をせずに勉強に集中できる、などと考えている人もいるかもしれません。もちろん、人によってはお金の心配をせず、留学生活を送れる人もいるでしょう。しかし、その中には常にお金の心配をしながら、勉強と仕事を両立している大学生もいるのです。ここでは、アメリカの大学に7年半通い、博士号を取った夫の話をしたいと思います。

フルブライトによる奨学金

 フルブライトは国によって支給額が違う

日本国内でも、フルブライトの奨学金をもらってアメリカに留学する人が多いのではないでしょうか。フルブライトプログラムというのはアメリカの学者や教育者頭を対象とした国際交換プログラム、奨学金制度です。160カ国がこのフルブライト制度を採用しており、これを利用して世界各国からアメリカに留学生が旅立っていきます。

実は、このフルブライトの支給額は国によって異なります。例えば日本からアメリカに行く学生は人数が多く、さらに日本は世界的にも経済力が高いということもあり、日本におけるフルブライトの支給額は極めて高いと考えられています。しかし、夫の出身国であるベルギーは世界的に小さな国ですし、そもそもベルギーの学生がアメリカに留学するということも珍しく、支給額がかなり少なかったそうです。夫は2007年からアメリカに向かいましたが、その時の支給額は年間7200ドル、それは日本円にすると約80万円になります。この金額では生活できないですよね。

 フルブライトの許可を得ればアルバイトが可能

フルブライトの奨学金を得ている場合、アルバイトをする場合はフルブライトの許可が必要になります。もちろん学業優先ですので、勉強に支障があるような働き方はできないというルールがあり、許可制になっていたそうです。しかし、そもそも年間7200ドルで生活できるわけもなく、夫は仕事をしなければいけませんでした。

さらに、ビザの関係でその仕事というものは大学関連の仕事に限られています。例えば、マクドナルドでアルバイトをしようなどという事はそもそも許可されません。しかし、確かに大学内にも様々な仕事がありますが、フルブライトの許可を得なければいけないということがかなりのネックになったそうです。というのは、どれだけ良い求人を見かけても、そこからフルブライトに許可を得る手続きに時間がかかってしまい、許可を得たときにはすでに求人が終わっている、という状態が起こったそうです。そのため、フルブライトの許可を得れば仕事ができるという事は単なる建前であり、簡単なことではなかったそうです。

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働く時間がいきなり削られてしまった!?

 1週間に20時間、夏場ならば40時間の労働が可能

夫は5年間フルブライトの奨学金をもらっていましたが、残りの2年半は自分で学費や生活費を稼がなければいけませんでした。しかし、アメリカに留学する学生はビザの関係で1週間に20時間しか働いてはいけないというルールがあり、そのために収入も限られてしまったのです。

夏場であれば働きたい人が少ないということで、許可さえあれば40時間働くということが可能でした。しかし、実際はそれだけ働いてしまうと、そもそも研究する時間がなくなってしまい、博士論文の執筆に支障が出てしまいます。その一方で、働かなければ生活ができませんので、夫は許可を得た上で最大限の時間を仕事に当てていました。

 「来週から就業時間が半分にするから」

そんな時、夫が働いていた事務所の上司から「来週から就業時間を半分にするから」と言われたそうです。夫は夏の間、研究する時間を削って40時間ほど働いていました。夏が終わり、新入生を迎えた忙しい時期が終わった後、いきなり上司からこのように言われたそうです。つまり、忙しい時期が終わり、人員が必要なくなったために雇用を切られてしまったのです。

夫はその上司に直談判し、学費や生活費を稼がなければいけないという事情を説明したそうですが、それが考慮される事はありませんでした。新しい仕事先を探そうと思っても、新年度が始まっている状態では大学で新たな仕事を見つける事は簡単ではありません。これはアメリカに滞在して7年後、博士論文を提出する半年前のことでした。夫はいっそヨーロッパに帰り、仕事をしながら論文を執筆しようか、それともいっそ博士号取得を諦めようか、と本気で悩んでいました。

 友達に救われ、博士論文を取得

そもそも家賃が払えない、生活するだけの収入がない、という状態ではアメリカに滞在することができません。しかしそんな時、夫が仲の良い友人にその話をしたら、友人家族が「それならば博士論文を書き終えるまでうちで暮らしなさい」と提案してくれたのです。「うちには部屋があるし、1人ぐらい増えたって大丈夫、家賃も食費も何も気にしなくていいから、すぐにでも家に引っ越したらいい」と言ってくれたのです!

その言葉に甘え、夫は友人宅にお世話になることに決めました。仕事時間が減ってしまい、たいした収入は得られませんでしたが、できる限り食費を負担したりと夫も工夫をしていたようです。この友人は、決して金銭的に豊かな家庭というわけではありません。奥さんの足が悪く、最近は車椅子で生活をしなければならないにもかかわらず、アメリカの杜撰な保険制度で十分な手当ても受けられず、苦労しているような家庭なのです。それなのに「1人ぐらい増えても大丈夫」と夫を半年も受け入れてくれた彼らの寛大さには本当に助けられました。夫が博士号を取得できたのは彼らのおかげだともいえます。

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経済的に大変な思いをする留学生もいる

留学するとなると、なんだか華やかだと思う人も多いでしょう。確かに留学生の中には生活するのに困らない位の奨学金を受け取っている人もいますので、すべての留学生が経済的に悩んでいるとは言えません。しかし、海外で学位を取った人の中にはこのように経済的な困難を抱え、学位の取得をあきらめなければいけないかもしれないという状態に陥る人もいるのです。もしも海外に留学して学位を取得したいと思うのであれば、このような状態になる可能性も考えておかなければいけません。

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