中国の教育は厳しいということを聞いたことがあるでしょうか。中国は教育格差が激しく、例えば大都市である北京や上海の学校ならばそれなりのレベルが望めますが、地方の学校だとレベルも低くなってしまいます。そのため、エリート街道まっしぐらという人の場合は都会の学校に通う傾向があるのです。ここでは、そんな中国での教育の厳しさについてお話しします。
夜遅くまで勉強
夜は9時ごろに帰宅
私たちは中国の首都、北京で生活しています。夫が仕事をしている大学の付属の高校では、夜の9時ごろに生徒たちが帰宅していきます。夜遅いからなのかそのようなシステムだからなのかはわかりませんが、正門の前には保護者の車がずらっと並び、子供達を迎えに来ているのです。
聞いたところによると、決して夜の9時まで授業をしているわけではなく、日本でいうと塾のような役割を果たしているそうです。授業そのものは夕方で終わりますが、その後子供たちは夕食を食べ、補習を受けるのです。
日本のような塾というシステムは他の国には見られないと言いますが、塾の代わりに相当するシステムは中国に存在しているのです。
ご飯を買いに出かける生徒たち
日本の学校の場合、まさか夕食は学校では取りませんが、昼食は学校で食べますよね。給食が出るという学校ならば給食を食べますし、お弁当を持参したり、購買で何か買ったりという人もいるかもしれません。いずれにせよ、学校の敷地を出て昼食を取りに行くという事はないと思います。
中国では、昼食や夕食の時間帯になると学校付近のレストランやファーストフード店で生徒たちをたくさん見かけます。休み時間になると、子供たちはお金を持ってレストランやファーストフード店に行き、食事を購入するのです。
定期試験の時
正門の前に張り紙
例えば韓国では、大学入試の日になると家族や先生らが、子供たちが受験をしている大学の周りに集まり、子供たちを応援するという話があります。その日は飛行機等のスケジュールも調整されているとかで、受験戦争とも言われています。
中国では高校で見たような光景を見ることができます。定期試験の日は正門の前に「本日、定期試験」などと書かれた張り紙が貼られ、保護者たちが正門の前で固唾を飲んで子供たちの帰りを待っているのです。その姿は日本の感覚では異様とも言えます。
バスの路線も変わる
具体的に何が起こっているのかは正直よくわからないのですが、定期試験の日はバスの路線にも影響が出ます。1人でも多くの子供たちが素早く学校に行けるように、バスの路線が変化するのです。
定期試験が公共交通機関に与える影響を考えても、いかに教育が重視されているかということがわかります。教育格差が激しい中国において、特にレベルが高い高校に通うという事はその後の大学進学先もレベルが高いということになり、国のエリートとして子供の時から慕われているのです。
先生との関係
小学校から高校まで
日本の学校では、教師が生徒と親しく話ができるということが非常に重視されていますよね。生徒に威圧的な態度を取らず、むしろ友達のように話ができる教師の方が人気があるとも言えます。
しかし、中国の場合はそんな事はありません。むしろ笑顔で教師と話をするという事はなく、教師と生徒の間には確固たる格差が存在するのです。教師は決して友達のような存在ではなく、尊敬するべき恩師、という捉え方がされています。
大学の場合
大学では小学校から高校までのような格差は存在しないように感じますが、それでも大学の教員はそれなりに学生から尊敬されています。日本打倒、学生と教員が親しく話をすることがありますが、中国の学生たちはそれなりに教員と実際に親しくなるまで、かなり距離を置いて話をしている感じがします。
かつて、夫の授業を受講している学生と話をしたことがあります。その学生がなんと言ったかははっきり覚えてはいませんが、彼は「恐れ多くも、◯◯先生の授業を受けさせていただいております。このたびは、奥様とお話しさせていただき、恐悦至極でございます」並みの挨拶をしてくれました。形容詞が長すぎて、「早く本題に入って」と思った記憶があります。
教員のパートナーにさえこうなのですから、中国の学生が教員に対し、どれほどの畏敬の念を持っているかということがわかります。もちろん親しくなると仲良く話をしてくれます。
国が変わると感覚が変わる
私もつい最近まで学生をしていましたが、私が学生の時は教員とはとても距離が近く、冗談を普通に言い合っていたような気がします。もちろん、夫の授業を受講してそれなりに距離が近くなった学生は夫と楽しそうに話をしてくれますが、それでも学生たちが教員に向ける尊敬の意思というものは日本とは全然違うことがわかります。
どちらが良いのかということはわかりません。私は日本のように距離が近い関係性も好きですが、中国のように尊敬の意思をきちんと表すということもそれなりに良いのではないかと思います。国が変わると、教育の厳しさはここまで変わるものかといつも驚きます。
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