ヨーロッパは歴史が深く周辺諸国とさまざまなつながりがあります。日本人から見れば陸続きなので、どの国も文化が近く仲が良いように思っている人がいるかもしれませんが、実際にはとても複雑な関係です。日本、韓国、北朝鮮、中国、と同様に距離が近いからこそ上手くいかないことが多々あります。今回はフランスとイギリス、ドイツの関係について紹介します。
フランスとイギリス
フランスの流行語で « Je t’aime moi non plus »という言い回しがあります。文法上の誤りをうまく利用した微妙な恋愛関係を言い表した表現ですが、あえてそのまま直訳すると、「愛している、私も愛してない・・・」という感じです。これは、フランスとイギリスの関係にとてもよく当てはまる表現だと思います。イギリス人はフランス人の事を「frogsカエル」と呼び、フランス人はイギリス人を「roastbeefsローストビーフ」と呼んでいます。前者は、カエルを食にするフランス人をけなした呼び方で、後者はローストビーフのようにピンク色の顔した貧弱なイギリス人を例えた呼び名です。
長年の恨み
フランス人は、国家的英雄ジャンヌ・ダルクをイギリス人に火刑にされてからというもの、イギリスに対する根強い恨みを抱いていると言われています。ナポレオンがイギリスを毛嫌いしたのもこの辺りに理由があったのかもしれません。その証拠に、彼はすべてイギリスとは正反対の制度や規制を作りました。代表的なものに、食事のマナー(イギリスではスープを手前からすくって飲みますが、フランスでは奥からすくって飲みます)や交通規則(イギリスは左側通行とフランスは右側通行)があります。
イギリスはなんとも思っていない?
では、イギリス人はフランス人をどのように見ているかというと、これは私の全くの個人的な感想ですが、フランス人がイギリス人を嫌うほど、フランス人を嫌っているという気がしません。これはどうも、島国の特徴なのかもしれません。日本と中国や韓国との関係と似ている感があります。日本人はそれほど中国や韓国を嫌っているとは思えませんが、反対に中国人や韓国人は、非常に反日感情が強いような気がするのですが、私の偏見でしょうか?
どちらにしても、この度のイギリスのEU離脱は英仏関係をますます遠ざけることとなるでしょう。
フランスとドイツ
ヨーロッパ経済のエンジンとされるドイツですが、フランスとの関係はほどほどという感がありました。「ありました」と過去形なのは、この両国の関係は第2次世界大戦前と後でガラッと変容するからです。
大切なパートナー
決定的なのは、1963年のエリゼ条約です。独仏両国の友好関係を唱えた条約で、当時のドコンラド・アデナウァードイツ主相とシャルル・ドゴール仏大統領によって署名されました。日本ではあまり知られていませんが、独仏関係を語るとき、このエリゼ条約をさけては通れません。この条約を機にいっきに両国の友好関係が深まっていくからです。
因みに、メルケル現ドイツ主相は、現在までサルコジ氏、オランダ氏、そしてこの度の新大統領マクロン氏と入れ替わり立ち替わり3代の仏大統領の交代を経験しています。3人が3人とも各々、大統領に就任する初めての外国の首脳会見先がメルケル主相でした。いかに、フランスにとってドイツは重要な国であるかを物語っています。
さて、政治面はこれぐらいして、一般的には両国はどのようにお互いの国を見ているのかというと・・・。
ドイツ人からみたフランス人
ほとんどのドイツ人は、国としてのフランスを文化と芸術に長けた国としてみていますが、フランス人は一般に横柄であるとみなしています。しかし、大抵のフランス人は生きることを楽しんでいるというイメージを持っているようです。また、フランス人はオリジナリティーに富み、チャレンジ精神豊かなのですが、仕事上の計画性に欠けるところがあるとも見ています。
フランス人からみたドイツ人
フランス人は、ドイツ人を「ビールとソーセージの大いなる消費者」と呼び、ユーモアと空想力に欠けた国民だと思っているようです。また、偉大な哲学者、音楽家、作家を生んだ国であると尊敬の念を持っているものの、仕事上はあまりにも真面目で勤勉なので、少々近寄りにくいという意見があります。しかしながら、車などに代表するドイツ製品には、自国製品よりも信頼性をおいています。
イギリスのEU離脱により関係は変わる?
ヨーロッパを語るとき、ゲルマン、ラテン、アングロサクソンという3民族を代表する各々ドイツ、フランス、イギリスの3国があり、中心的役割を果たしています。この中で、最近EU離脱を決めたイギリスのヨーロッパでの位置が、今後のヨーロッパの顔を大きく変えることになるかもしれません。
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