フランス生活20年!パリ通信⑩ フランス人にとっての日本文化

このテーマから、まず私の脳裏に思い浮かんだのが、ジャポニスム運動でした。「ジャポニスム」とは、19世紀後半から20世紀前半にかけて、フランスを起点にヨーロッパ中にわき起こった日本趣向ブームのことです。100年以上も前に、すでに私たちの日本文化が海を越えてはるか遠いフランスに多大な影響を与えていたのだと思うと、日本はすごい!と思いません?今回は、日本文化がどれだけフランスに根づいているかを、具体的な例を挙げて紹介します。

日本発フランス着「食」文化

パリには350軒以上の日本料理店があります。エキゾチックっさを通り越して、(特に刺身、寿司に至っては)今ではまさにパリジャンたちの間では日常料理となっています。これは、ダイエット・ブームに乗って油を全くシャットアウトした日本料理に人気が集中したこともありますが、私の考えでは何よりもフランス人の口に合ったからだと思います。

 食に関して大らかな国

日本料理が、フランス人の間で大ブームを巻き起こしたのはごく最近です。火を通した日本料理「天ぷら」や「焼き鳥」は一早くにフランスに上陸していましたが、主にパリに数件しかない高級日本料理店のエキゾチックなおもてなし料理としてあるだけで、それほど庶民の間には一般化していませんでした。寿司、刺身は80~90年代にかけてパリを中心に、後に地方都市でも定着しました。
「魚を生で食べる」なんて、フランス人にはどうしても受けつけられないことだったのですが、フランス人は「食」に関してはとても大らかな民族です。「美味しいものは美味しい」として受け入れるのが、フランス人。今では、刺身は « Sashimi »、寿司は « Sushi »という風に、そのままの日本のオリジナル名で親しまれています。

 懐石料理も人気

また、日本の伝統料理「懐石料理」の影響を忘れてはいけません。後にフランスでは「ヌーベル・キュイジーヌ(新料理)」と呼ばれるようになるのですが、味を抑えて新鮮な素材を活かした懐石料理特有の調理法にヒントを得て、まさに新しい料理としてフランスのグルメ界に大きな影響を与えました。

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日本発フランス着「言葉」文化

因みに皆さんは、数々の日本語がそのままの語形でフランスの一般市民の中に溶け込んでいるのをご存知ですか?さっと頭に浮かぶものを挙げても、「切腹」「神風」「津波」「漫画」「侍」「禅」「盆栽」(フランス語読みだとボン「サ」イではなくボン「ザ」イとなる)「寿司」「刺身」「芸者」等々、数え上げたら切りがありません。そんな中、特に私がいつも感心する日本語が、「ゼン(禅)」です。
私の友人たちはよくこういう風に言います。
「日本人ってみんな落ち着いている。どうしてみんなあんなに静かなのか不思議。顔色ひとつ変えずに黙々と働いている。まさしくミステリー日本。禅の世界!」

 セ・ゼン(C’est Zen)

フランス人が「セ・ゼン(C’est Zen)」という言い回しを使い始めたのはここ数年のこと。人や状況が冷静なことを指して使っています。日本同様、フランスもストレス社会です。毎日イライラして仕事や家事に追われているのは、先進国である私たちの生活の一般パターンなのでしょう。そんな状況の中、フランス人は「禅」という言葉に魅了されています。同じ意味では英語の「クール(cool)」がありますが、どちらかといえばフランス人は好んで « Zen »を使います。この裏には、日本という国のイメージ、静かで落ち着いた冷静なイメージに惹かれているせいかもしれません。また、「禅」のイメージは、日本庭園と重なっています。とりわけ、京都の龍安寺の絵が「禅」のイメージの象徴として受け取られています。たった数個の石と砂利しかない簡素な庭がかもし出す心の平静さは「禅」そのものなのでしょう。

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日本発フランス着「アニメ・マンガ」文化

日本からフランスにポケモンが輸入されてから、すでに20年になりますが、今でもフランスでは « Pokémon »は根強い人気です。スマホ・ゲームの « Pokémon Go »が莫大な人気を博したのはほんの1年前のこと。ゲームに熱中しすぎた若者が道路を見ないで渡るため交通事故が続出、ある町では市中での« Pokémon Go »の使用禁止令が出たほどです。
もうひとつフランス中の子供たちを夢中にさせたのが、「Tamagotchiたまごっち」でした。さすがに今ではほとんど過去のブームとなったものの、一時期は本当にみんなこの小さなおもちゃに釘付けになっていました。

 漫画は根強い人気

フランスにおける日本の漫画ブームは、意外に遅く90年代に入ってから。特に漫画本としてブームの発端となったのが、« Akira »でした。それまでは、数々の日本の漫画がフランスに輸入されたのですが、82年にテレビ放映されたアニメ「キャンディー・キャンディー (Candy)」だけがどうにか人気を博しただけでした。この背景には、フランス語への翻訳不足と廉価な日本アニメが子供番組を席巻することに抗議する声が上がり、急速な発展に歯止めがかかったことが原因とされています。(参考抜粋ウィキペディア)
しかしながら、日本の漫画は « Manga »となって現在でも根強い人気を保っています。フランスでは、毎年アングレーム市(Angoulême)で「世界劇画祭 Festival International de la Bande dessinée」が開催されます。そこで必ず紹介されるのが日本の漫画家たちです。例えば、今年の夏には「Manga no Kamisama」と題して手塚 修のエキスポジションが開催されました。これなどは、日本の漫画の歴史を紹介するものとしてフランスの独自の企画なのです。

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日本発フランス着「映画」文化

日本映画が初めてフランスのカンヌ国際映画祭でグランプリを受賞したのが、衣笠貞之助監督の「地獄門」でした。1954年のこと。その数年前に黒澤明の「羅生門」がイタリア映画祭で金賞。それを考えると、日本の映画も大したものと言いたいところなのですが、残念ながら、フランスで一般的に有名な日本映画は、90年代をピークにほとんど過去のものばかりです。

 オリジナリティ不足

北野武の「花火」が少し話題になったのが私の記憶にあるぐらいです。最近のフランスの映画の傾向としては、アメリカ映画に押されがちながらも、自国映画もなかなか頑張っています。日本映画に興味を示すフランス人は、(私の意見ですが)どちらかと言えば、インテリ階級のような気がします。今後日本映画がフランスの映画界を揺り動かすには、相当なオリジナリティが必要ではないでしょうか?

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エキゾチックな魅力

フランスにおける日本文化の紹介でした。他にも、まだまだたくさんの日本文化がフランスに影響しています。例えば、文化面では俳句や能、生け花、また技術面では、車やカメラはもちろん、最近ではウォッシュレットなどが話題を集めつつあります。
こういう風にみていくと、日本は政治・経済上は西欧諸国より様々な影響を受けたものの、文化面では逆に西欧諸国へ多大な影響を及ぼしてきたのだということが解ってきます。欧米人には日本ははるか遠い国なので、エキゾチックな魅力に惹かれるという理由もさることながら、日本特有の質の高い文化に魅了されるのだと思います。
今後、世界を相手に日本を飛び出していく日本文化。外から眺めてみるのも面白いものです。日本がもっとよく見えるかも・・・?

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