2020年に東京オリンピックが開催されることになり、ここ数年は東京都内を始め、全国に渡って観光案内所が増えています。それに伴い、町中でもフリーWiFiの設備が整ったり、英語の道案内表示が増加したりと、訪日外国人向けのビジネスも多様化してきました。
私は、訪日外国人観光客に対し、日本全国をご紹介、ご案内する仕事をしてきました。近くの道案内や飲食店を紹介するのみならず、公共交通機関の乗り方を案内し、無計画で訪れた観光客のために予定プランを立て、宿を手配し、お土産物を探し、何でも屋さんのような仕事をしてきたのです。相手から様々な質問を受け、驚いたこともたくさんあります。
ここでは、訪日外国人に喜んでいただいた日本文化について紹介します。
日本文化体験コーナー
日本文化を体験できる場所
私の職場では、案内所のオープン時より無料の日本文化体験コーナーを設置していました。インフォメーションを提供した際、もしも外国人が興味を示すようであればぜひお試しいただくという気軽なものです。
後にこれが口コミで広がり、文化体験を目的に来る人も多くなりました。案内所の宣伝にも役立っていたようです。
着物、書道、折り紙、風呂敷など
もちろん、すべての日本文化を紹介することは困難ですが、日本文化体験コーナーには、着物、書道、折り紙、風呂敷などが体験できるコーナーを設置していました。
また、季節に合わせた工作やイベントが楽しめる催しも開催していました。
着物について
簡易的な着物が大人気
この中で特に人気があったものが着物です。もちろん、本物をきちんと着せるわけにはいきませんので、あくまでも服の上から来て、手の空いているスタッフが作り帯を巻いてあげるという簡易的なものでした。
また、最初は草履や和傘、髪飾りなどの小物を使い、室内や案内状出たところで好きに写真撮影をしてもらうという、お遊び感覚で始めたものでした。
普段着られないものだからこそ!
しかし、これが大好評だったのです。本格的な着物を体験できる場所は観光地にはたくさんありますよね。しかし、本格的な着物を着るとなれば、時間もお金もかかります。また、着物に関心がない人もいるでしょうから、家族や友達、恋人と連れ立って着物を着るという事はなかなか簡単ではありません。
その一方で、20分もあれば簡単に着物体験できてしまうというこの体験コーナーが、多くの外国人を魅了していました。決して本格的ではなかったとしても、彼らは少しばかり非日常である日本を体験できれば良かったようです。
書道について
名前を漢字で書く
体験コーナーに用意してあった書道も常に人気がありました。お手本を数枚用意し、軽く説明をした後に「ご自由にどうぞ」というスタイルをとっていました。
興味のある人には、名前をカタカナや漢字にし、メモに書いて渡しました。中にはそれをお手本に、筆と墨で名前を書いていた人もたくさんいました。
自分で体験することが大切
外国人に日本文化を紹介しようとすると、つい「見せてあげる」ということに集中してしまう人もいるかもしれません。しかし、外国人の人を見ていると、「自分で体験する」ということの方が大切なのではないかと感じました。
もしも自分が外国を旅したとき、その国に根付く文化を少しでも体験できたら嬉しいですよね。もちろん見るだけでも楽しいですが、体験できたらなおのこと、心に残ります。
「その程度で良いの?」が大切
多くの外国人に喜んでもらうためには、本格的すぎない程度に日本文化を気軽に体験してもらう、ということが大切なのではないでしょうか。例えば、高級なお寿司屋さんにご招待するのも素敵ですが、手巻寿司を自分で巻きながら食べる、ということも外国人にとっては嬉しいですよね。日本人にとっては「そんなことでいいの?」と思えるようなものかもしれません。しかし、それくらいがちょうど良いのです。
限りある滞在時間の中で、効率よく、心に残るサービスを提供するということがおもてなしの秘訣だと感じています。
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