イスラムから来る訪日外国人観光客と宗教への対応

私は、日本に来た外国人観光客に日本の文化を紹介するという仕事をしてきました。日本に観光目的で来る外国人は、ほとんどの人が日本に様々な興味を示しています。ここでは私が経験した、外国人観光客と宗教についてお話ししたいと思います。

宗教を大切にする外国人

 宗教は身近な生活そのもの

日本人の中には、そもそも宗教を信じていなかったり、宗教に関する関心がほとんどなかったり、という人も少なくはありません。
しかし私が外国人と接していて感じたことは、外国人は宗教を非常に大切にしている人が多い、ということです。

 食事の問題

外国人から聞かれた質問の多くが、食事に関することでした。まだまだ英語が通じないレストランが多いですし、外国人が英語を話せないということもあります。
また、宗教上の理由により限られた食材を避ける方もいました。そのため、食事に関する問題に対しては日本語で作成したメモを渡し、入りたいお店で提示して、お店の方にイエス/ノーで答えてもらうようにしていました。

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食事に関する問題

 ハラルフード

皆さんは、ハラルフードという言葉を聞いたことがありますか?日本はまだまだ宗教に対する理解度が低いと考えられていますが、訪日外国人ビジネスに力を入れている近年は、ハラルフードという言葉を聞く機会が増えました。
ハラルとはイスラムの教えで「許されている」という意味のアラビア語です。つまり、ハラルフードとは、イスラム教徒であるムスリムが「食べることを許されている食べ物」を指すのです。

 範囲は様々

豚肉をNGとするムスリムの割合は非常に高いですが、実はムスリムの中でもハラルフードの範囲は様々なのです。
例えば、豚肉を避ければ良いという人もいますが、野菜は食べられるけれど、豚カツを揚げた同じ油で揚げた野菜は食べられない、という人もいるといいます。原材料に豚の皮が使われている可能性があるという理由からゼラチンを避ける人もいます。
近年ではハラルフードを提供する店舗も増えましたので、私たちはムスリムの外国人に対し、ハラルフードを提供するお店のリストを作成してコピーを渡していました。

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日本の宗教への関心

 神社やお寺

神社やお寺は常に観光の中心となりますが、伝統の祭りなども宗教と密接に関わっていることがあります。例えば、神輿(みこし)も同様ですね。普段は神社の中にいる神様を乗せ、外にお連れするという意味なのです。
外国人から、神聖な神輿を見たいと言われることも少なくはありません。それだけ日本の宗教や文化、慣わしに興味を持っている外国人が多いということに喜びを感じます。

 相撲

また、相撲観戦も実は外国人に人気があります。相撲は神道とつながっているんですよね。私たち日本人はスポーツの1種として相撲を見ることが多く、相撲が神道だと意識していない人も多いのではないでしょうか。しかし、外国人にとっては、相撲は宗教との関わりがある日本文化なのです。

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お祈りのスペースについて

特にイスラムの人が日本に来ると、「時間に合わせて宗教のお祈りをしたいけれど、日本ではどこで行えば良いのか」という質問をされることがあります。案内所では角の空きスペースをお貸しすることができましたが、1日中動き回る観光中にお祈りできる場所は、正直思いつきませんでした。
海外でも、特にイスラムの多い国家では、例えば空港などにもお祈りする場所がありますよね。イスラムの割合が少ない日本においては、なかなか難しい問題かもしれません。そのため、公園、室内であればそこのスタッフに相談してくださいと答えるしかありませんでした。
宗教を生活の重点に置いている方々にとっても、気を遣わないで済む環境が整ったら良いなと思っています。

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