中国の北京在住です。昨年日本の大学院を修了したので、せっかくだから中国で仕事をしたいと考えていました。私は過去、中学と高校で非常勤講師をしていたことがあり、最初は中国でも学校で働きたいと思っていました。その後、ある転職エージェントの力を借りて外資系の企業の試験を受け、採用されることが決まったのですが… 前編では、私が仕事を探そうと思ってから内定をもらうまでの流れを紹介死体と思います。
中国の学校で日本人が働く事は難しい
中学や高校のインターナショナルスクール
私は社会科と英語科の教員免許を持っています。大学院生時代は非常勤講師として中学と高校で教えていたので、その経歴を生かして北京のインターナショナルスクールで働けないかと考えました。実際に周りからも「北京には沢山のインターナショナルスクールがあるから、きっと働き口が見つかるよ」と言われていました。しかし、それは周りが思うほど簡単なことではなかったのです。
英語の授業にはネイティブが求められる
確かにインターナショナルスクールでは外国人の教員を応募していますが、英語教員を募集する場合、悲しきかな、英語を母国語とする外国人が好まれます。もちろん多くの場合、望まれるのはアメリカ人とイギリス人です。応募の条件にも、多くに「英語を母国語とする人」と書かれていました。もちろん、その他の科目の外国人教員も募集していましたが、日中関係を考慮し、日本人の社会科教員はまず求められていないようでした。
大学教員への道はイバラの道
私は学位を取ったばかりだったので、大学の就職も少し考えましたが、私の専門は社会科の中でも歴史なので、なかなか難しいのではないかと感じていました。日本人が歴史学を教えるということになりますから、日中関係を考えるとあまり現実的ではないと今でも思います。北京のとある大学の学部長が、同大学の歴史学部に応募してみたら良いと推薦状を書いてくださったのですが、最終的にはうまくいきませんでした。
大学で日本語を教える講師の道もあるということで、現地の学生が自分の指導教員に仕事を探す方法などを聞いてみてくれました。しかしその指導教員が言うには、どうやら日本政府が日本語講師を北京の大学に派遣しているそうです。そのため、北京の大学の日本語講師は既に間に合っており、新たに人を採用する必要は無いようです。日中関係は複雑なのに、政府が政府でちゃっかりしていると思った記憶があります。
偶然見つけた外資系企業への採用案内
たまたま見つけた求人
結局就職を諦めて数ヶ月経った頃、インターネットを検索していた時に、北京にある日本の転職エージェントの広告を見つけました。実は転職エージェントの採用案内はいろいろ見たこともありましたが、どれも中国語が話せる必要があったため、特に真剣に考えてはいませんでした。
しかしこの時、もう一度見てみようと思ってその転職エージェントの北京市内での採用案内を覗いてみたのです。そこにあった1つの外資系企業への採用案内がとても魅力的でした。中国語を話せる必要はなく、英語が話せれば良くて日本人が欲しいと言うことでした。業務は経済的な英語の資料を用いて日本語のニュースを作成するという内容であり、興味があったため、特に深く考えず、転職エージェントのサイトに登録し、求人に応募してみたのです。
採用試験を受けるまで
その後、転職エージェントの方から電話をいただき、直接お会いして、私の学歴や職歴、資格などをお話ししました。エージェントの方からも充分採用される可能性はあるだろうと言われ、その後顔写真をつけた上でエージェントの方からその企業に応募していただきました。
そして、その5日後、エージェントの方から採用試験と面接が翌日に決まったと連絡を受けたのです。
特にエージェントの方と面接の練習はされていません。私はずっと学部の時は大学院進学希望でしたし、最終的には学生結婚だったため、いわゆる就職活動というものは経験がなく、そのために面接準備等もしたことがありませんでした。夜、面接経験の多い夫に手伝ってもらいながら、様々な想定問答に応えられるよう、準備をした覚えがあります。
採用試験と内定通知
筆記試験
翌日、心臓をドキドキさせながら事務所に到着すると、会議室のような場所に通されてパソコンを1台渡されました。そこには、経済に関する英語のニュースが5つほど書かれており、それをすべて90分以内で日本語に訳すように言われたのです。わからない単語はパソコンを使って調べて良いから、とにかく適切な日本語に訳すようにと言われました。
翻訳は、経済のでは略語が多くて大変だった覚えがあります。略語は文脈によって様々な捉え方ができますので、文脈に沿った意味合いを探さなければなりません。初めて見る略語もあり、さらに中国はインターネットが規制があるため、検索をしても全てのサイトが開けるわけではありません。そのためになかなか開けないサイトも多く、単語の意味を探すよりも開けるサイトと開けないサイトを見分ける方が大変でした。今でも覚えているとても印象的だった略語は、MWです。ありとあらゆる意味合いを探したのですが、とあるサイトを開いたら「MW=マジ笑える」と書かれていました。1番最後まで頭を抱えた単語だったため、「全然笑えない!」「人の時間を無駄にして!」とかなりイラっとした記憶があります。
面接試験
筆記試験の後はすぐに面接がありました。採用された場合に配属される部署の上司2人と、3人での面接でした。
自己紹介をした後は、違う業界で仕事をすることについてどう思うか、と言うことを聞かれましたが、後は「重要なニュースなどがあれば、休日出勤があり得るけれどもそれは大丈夫か」「チームの人が急病になり、自分がその人の業務をこなさなければならなくなったらどう感じるか」「長期休暇で海外に行こうと航空券を取った後に速報が入り、仕事をしなければならなくなったらどうするか」などといった業務に関する質問をされました。その後は、「例えばあなたにこれとこれとこれの3つの仕事があったら、どれを1番最初にやるか」など、仕事の効率性を求める質問をされました。1時間半ほどかかったと思います。面接は英語でした。
最終的には「あなたは責任感を持って仕事ができそう」と言う評価をいただき、通知が出るまで2週間待つようにと言われました。
内定通知を Get!
2週間後、エージェントの方から採用されることが決まったと連絡をいただき、とても嬉しかったです。実は私は、女であることと年齢を踏まえると、採用は躊躇されるかなと思っていました。実は20代半ばの時、非常勤講師をしていた学校から何故かいきなり「あなたを採用したいけれど、あなたはまだ独身だからいつ結婚するか分からないし、いつ妊娠するかもわからないし、そうなればいつこの職場を離れるかどうかもわからないからから、あなたを専任では採用できない」と言われたことがあったのです。厳密には、女であることを理由に採用をしないと言うのは男女雇用機会均等法に反します。そもそも専任働きたいとは思っていませんで深くは考えていませんでしたが、妊娠や結婚というのは難しい問題だなと感じたのです。しかし、それにもかかわらず北京で採用が決まり、「さすが外資系の企業ともなると、性別や年齢は気にしないのかな?」と驚きました。
職探しの次は就労ビザの取得
提出書類が多い
そして、次の課題が就労ビザでした。海外で働くためには、就労ビザが必要です。夫が就労ビザを持っており、私は家族ビザで北京に滞在していますから、この家族ビザを就労ビザに切り替えなければならず、そのためにはいちど日本に帰国し、ビザを取るための書類を揃えなければなりませんでした。採用通知が出たのが12月中旬だったのですが、書類を揃えるためには大学や私が働いていた職場、警察や外務省にも行かなければならなかったため、日本の官公庁などが年末年始に閉まることを考慮し、可能な限り全ての書類の申請を年内に終わらせるため、12月25日に日本に帰りました。
現地で働きたければ現地語を身に付けよう
海外で働くための1番の壁は、現地の言語だと感じています。どれだけ海外で働きたいと思っても、現地の言葉が分からなければなかなか採用されることは難しいと思います。実際に日本の転職エージェントが紹介している採用情報には、多くが中国語必須という条件が載せられていました。私が受けた企業では、たまたま中国語が話せなくても問題のないと言うポストでしたから本当にラッキーでした!
就労ビザを取るために集めた書類やその結果については後編でご紹介したいと思います。
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