最近、日本でも小学校から英語教育が始まるようになり、英語を勉強する年数がさらに長くなった一方で、一般的に日本は海外から「英語の通じない国」と言われています。塾に通ったり英会話学校に通ったり、英語を勉強している時間はかなり長いはずなのに、どうして日本人の英語は海外では通じないと言われてしまうのでしょうか。私は高校時代に米国に留学して以来、これまでずっと英語に関わってきました。今回はそんな経験を通じて感じたことを紹介します。
発音がカタカナ英語になっている
カタカナで読み仮名を振る
学校で英語を勉強していたとき、単語にカタカナで読み仮名をふった事はありませんか?例えば、”apple(りんご)”に「アップル」などと書き込んだ事はありませんか?それではいつまでたっても通じる英語は話せません。
カタカナで読み仮名をふってしまうと、その単語を読むときにどうしてもそのカタカナを見てしまいます。”This is a pen(これはペンです)”の読み方(発音)は、「ディス イズ ア ペン」ではありません。しかし、英語の教師によってはカタカナで読み仮名をふるように生徒に教えますし、生徒も単語テストなどをクリアするために、必死でカタカナを書き込んでしまうのです。これでは、単語を覚える事はできても発音を覚えることはできません。
発音記号でおぼえよう
発音が分からないのならば、カタカナではなくて英語の発音記号に頼るようにしましょう。発音記号は一見複雑そうですが、覚えれば非常に簡単です。発音記号で単語を覚えてこそ、カタカナ英語から脱却できます。
英会話本のカタカナ英語を読み上げる
英会話などの本を見てみると、カタカナで読み仮名が分かれており、非常に違和感を持つことがあります。
例えば旅行に行く時に旅行用の英会話の本を購入したとしましょう。アメリカのホテルに着き、タクシーを呼んでもらいたいとします。あなたはフロントに行き、英会話本を見ながらこう言います。”Would you get me a cab ?(タクシーを呼んでもらえませんか?)”しかし、そこにカタカナで「ウッヅュー ゲット ミー ア キャブ?」と書いてあったとしましょう。そのカタカナを読み上げるだけでは、きっと相手には通じません。なぜならば発音が全然違うからです。
カタカナに頼らない!
通じる英語が話せるようになりたいと思うのであれば、カタカナで英語を読むと言うことを止めなければいけません。たとえそこにカタカナで書いてあったとしても、カタカナに頼ることはやめましょう。
文法を気にしすぎ
文法よりも会話
学校で英語を勉強していた頃、”a”と”the”を間違えたり、関係代名詞の”which”を”that”と書いたりして減点された経験はありませんか?日本は、非常に文法重視の英語を教える国家です。そして、文法重視の英語教育を受けてきた日本人は英語をしゃべる際にどうしても文法を気にしてしまい、なかなか英語がしゃべれないと言われています。外国人から何かを問われるとYesかNoかは言えるけれど、その後はいちど頭の中で文章組み立てて、間違いがないことを確認してから発言するために、どうしても時間がかかってしまうのです。それでは会話は成り立ちません。
多少文法を間違えても、英語は通じます。例えば、学校では三人称単数系を勉強したかと思います。主語がHeやShe、Itになるときには動詞の語尾にsがつくと習いましたよね。しかし、仮にsをつけ忘れたとしても、英語は通じます。大切な事は、sをつけ忘れないことではなくて会話をすることです。正しい文法で英語を話そうと努力することが大切ですが、会話の流れを重視する事はもっと大切なのです。
通じなかったらショック
日本人は完璧主義が多いと言われていますが、どうしても自分がしゃべった英語が通じなかった時にショックを受けて、その後の会話を続けることができないという人も少なくありません。相手に通じずに「ん?」と聞き返された際、焦ってしまって頭の中が真っ白になってしまったという経験を持つ人も多いかもしれませんね。
母国語でも間違える
しかし、考えてみてください。あなたが母国語の日本語をしゃべっている時、絶対に日本語を間違えずにしゃべっていると言い切れますか?単語の選択を間違えず、正しい「てにをは」を使い、正しい表現を使ってしゃべっていますか?毎日日本語を1度も間違えずにしゃべることができる人なんて、そもそもいるのでしょうか?
つまり、母国語でも間違えるんです。だから第二言語である英語を絶対間違えずに英語をしゃべることなんてまずできないんです。でも、それでいいんです。相手に通じなかったら、もう一度言い直しれば良いだけなのです。間違えてはいけない、絶対に相手に伝わらなければいけないと自分に負担をかける必要はありません。
わからないことを恥ずかしいことではない
わからないのにYes、OKと言ってしまう
誰かと英語で会話をしている時、相手の質問がわからないのにYesと答えてしまった事はありませんか?これは絶対にやってはいけません。たとえ自分がわかったふりをしたとしても、相手には通じていないことが丸わかりです。そして、わかったふりをしていると言うことにマイナスイメージを持たれてしまうことがあるのです。
さらに、Yesと言うタイミングを誤れば、トラブルに巻き込まれることも考えられます。例えば、空港では「誰かに荷造りを手伝ってもらいましたか?」「知らない人から何かを受け取りましたか?」「過去に強制退去された経験がありますか?」など、Yesと答えたらまずい質問を聞かれることがたくさんあります。そのような時にうっかりYesと答えてしまおうものなら、警備の人に連行されかねないのです。
また、分からないからとOKで済ますこともやめましょう。何がOKなのか相手に伝わらなければ、「意味が分からずにOKと言ったな」と思われてしまうだけです。
わからない事は聞き返そう
相手に「何を言っているのかわからない」「もう1回言って」と聞き返す事は、決して恥ずかしいことではありません。むしろ、会話をスムーズにするためには大切なことです。日本語でしゃべっていても、相手が何を言っているのかわからないことってありますよね。特にお役所などで、「そんなこと聞いてないんだけど!」「日本語分からないの!?」と思う経験などした事はありませんか?
相手が何を言っているのかわからないにもかかわらず、わかったふりをして流してしまう方が問題です。いっそ聞き返した方が相手にとっても良い印象を与えますし、スムーズな会話を作ることができます。
特に自分の英語に自信がないと、どうしても聞き返したら恥ずかしいと思ってしまうかもしれません。しかし、母国語の会話だって聞き返すのですから、第二言語である英語を聞き返しても、何もおかしな事はありません。遠慮なく聞き返して、きちんと会話をしましょう。
自分の考えを伝える努力を!
いかがでしょうか。日本人は小学校から何でも英語を学んでいるにもかかわらず、なかなかしゃべることができないと言う背景にはこのような問題が挙げられます。英語をしゃべれるようになるためには、カタカナ英語から脱却し、文法はあまり気にせず、相手の言い分がわからなかったら遠慮なく質問をするということが大切です。
実際に、海外で英語を母国語としない人と英語で話してみると、たまに文法がぐちゃぐちゃなことに気づきます。それでも通じるのです。私はアメリカで、友人から「あなたの英語の文法は私たちの英語の文法よりも綺麗ね」と言われたことがありますが、ネイティブの人でさえこう言うのです。正しい文法で話さなければと緊張する必要はありません。それよりも、単語を並べてでも自分の考えを相手に知らせようとする努力の方が大切なのです。
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