旅好きにとって、普段の生活が次の旅行の準備期間であるように感じるときがあります。旅行するために一生懸命に働き、旅行が始まったら、普段の生活を忘れて、全身全霊で旅行気分を味わいます。日常の生活の間は、旅行で使うパワーを溜めているような感じです。
旅好きの中には、計画中がイチバン盛り上がる人、旅を終えて「わが家が一番」と思い出の品を眺める時間が好きな人もいますが、わたしは断然、旅行している間が最高に幸せです。そんな何よりも大好きな旅行を成功させるためには、自分なりの「旅行の心得」を持っている必要があります。今回は世界中を旅した私のちょっとした心得を紹介させて頂きます。
現地到着後からスタート
旅行の計画
渡航前の段階では、旅先で見たいと思うところを一つか二つだけ挙げておくだけで、深くは調べません。ガイドブックも持たず、現地に着いてから、ホステルやホテルのレセプションで場所を調べたり、観光案内所で地図をもらったりして情報を集めるようにしています。同じように旅をしている人と話す機会があれば、彼らにお勧めの場所や、その移動手段、そして危険な目に遭ったかどうか等を教えてもらいます。そのうえで旅行の計画を立てています。
観光名所のなかには、すでに入場チケットが売り切れてしまっていることもあるので、そういった事態を避けるためにも、本当は旅行前にきちんと調べておいた方が確実と言えます。ただ、わたしは行程を楽しむタイプなので、ロールプレイングゲームの主人公気分で情報を集めながら、目的地を目指すような旅をしています。現地計画型の利点は、情報がリアルタイムのものなので、ガイドブックやインターネットで事前に調べるよりも、間違いや変更が少なく、「予定していた状況と違う」と戸惑うことが少ないところです。
持ちもの
旅行に必要な持ちものも基本的には現地調達で賄うことが多いです。到着が夜になってしまう時は別ですが、スーパーの開いている時間でしたら、シャンプーやコンディショナーなども現地で買うようにしています。旅行中に体調を悪くすることがあまりなく、乗り物酔いもしない体質なので、常備薬も鎮痛剤や胃腸薬をいくつか持って行くだけです。
日本から必ず持って行くものは、化学繊維の大きな布と、室内履きのゴム製サンダル、歯磨きセット、衣類です。化学繊維の布は乾きやすいので、ビーチの敷物として使った後でもベトベトになりませんし、洗濯後もすぐ乾くので、一枚あれば旅行中は充分です。わたしは少し潔癖なところがあるので、眠るときはベッドの上に敷いていました。それ以外にも風呂敷のように物を包んだりできるので、大きな布はかなり重宝します。ゴム製のサンダルは、洗った後も拭くだけで水分を取り除けるので、布製スリッパよりも清潔に使えるのが気に入っています。
長期滞在になるときは、宿泊先や旅仲間と連絡を取り合うこともあるので、SIMフリーのシンプルな電話を持って行くようにしています。プリペイド型のSIMカードを購入すれば、現地での電話番号が手に入るのでとても便利です。
旅の楽しみ方
時間を贅沢に遣う
旅行中は常に時間をゆったりめに取って行動しています。寄り道をしたり、ベンチに座って行き交う人の様子を眺めるなど、ちょっとした時間の無駄遣いを楽しむようにしています。あれもこれもと欲張らずにじっくりと過ごし、五感をフル活用して旅先の雰囲気を吸収すると、通りすがりの旅人ではなく、そこの住人になったような錯覚になります。どこかへ行くにしても下調べをしすぎず、行き帰りの方法だけをしっかり確認すれば、あとは「観光名所を見落としてもいい」くらいの気分でいるようにしています。それよりも、現地の人々と接する時間を作ったり、街や国の様子を分析し、それらを旅の経験として記憶したいと思っています。完璧主義にならず、ちょっと怠け者になるくらいが、リラックスできて心から旅を楽しむことができます。
旅行中はその土地のものを食べるという楽しみもありますが、わたしは食べものにそれほど興味がないので、レストランに行くことはあまりありません。それよりも、スーパーへ買い物に行き、店内の商品からその国の様子をうかがい知ることの方に面白味を感じています。
人との出会い
人々との交流も旅の楽しみの大きな部分を占めています。現地の人と仲良くなるのは実は簡単ではなく、友人に紹介してもらったり、住宅地のなかにあるカフェに入ったりと機会を作って交流しています。一方、同じような旅人とはすぐに仲良くなることができます。お互いに知っている情報を伝え合い、今まで行ってきた国や、これから行こうとしている国、お互いの出身国のことなど、旅に関することが共通の話題なので、話は尽きません。周遊中はこの情報をもとに、次に訪れる場所を決めることが殆どでした。
現地の人のなかにも、旅仲間のなかにも、日本が好きだという人に出会うことがあります。そういう人にあったときは、色々と質問を受けるのですが、自国のことは意外に説明できないものもあり、もっと日本について知り、それを説明できるようにしなければと思うことがあります。武術を日本のイメージとして持っている人もおり、「空手の形の一つでも嗜んでいれば喜んでもらえたのに」と後悔することもあります。
素晴らしい出会いがあれば、当然、別れも経験しなくてはなりません。再会する人もいるでしょうが、大多数の人とは一度きりの出会いとなります。もう二度と会えないというのは死別と同じで、とても悲しく、何度経験しても慣れることができません。ソーシャルメディアで繋がれる人であれば、会うことはなくても、その後の様子を知ることができます。しかし、連絡先も分からない、住所もはっきりしていない現地の人とは、例えもう一度その場を訪ねることがあっても、再会できる可能性はほぼないのです。旅先から帰るときは、別れの余韻でいつも切なくなってしまいます。
危険回避法
好奇心より身の安全を優先
観光地では、バーでサルサパーティーがあったり、建物のライトアップをしていたりと、夜に魅力的なイベントが開催されることがあります。参加したいものや見たいものがいっぱいあっても、わたしは暗くなったら一人では出歩かないようにしています。もったいないことをしているかもしれませんが、自分の身を危険にさらす可能性が高いものには、「せっかくの旅行だし」などと思って飛び込まず、大人しく部屋でゆっくりする方を選びます。
日中でもひと気のないところへは行きません。面白そうな建物が見えていて、近づいて観察したいと思っても、その道中がひっそりとしていれば足を踏み入れず、遠くから見るだけで満足するようにしています。また、バーグラーバーという鉄格子の付いている住居が並ぶ地域は、基本的に治安が良くなく、さらにバーグラーバーにぐるぐると巻かれた鎖や南京錠が付いているなど、防犯レベルが住人の利便性を損なうほどに厳重な場合は、治安が悪い地域だと判断して、速やかに立ち去るようにしています。
隙を見せない努力
治安の悪い地域では、お財布やカメラはもちろん、スマートフォンも窃盗の対象になります。そのため、スマートフォンを持っていることを知られないようにすることが防犯になります。しかし、見知らぬ場所を移動している際はスマートフォンで情報を確認する必要も出てきます。少し怪しい行動かもしれませんが、わたしはバッグのなかに入れた状態でスマートフォンを操作しています。歩くときも意識して一歩一歩をいつもより少し広めにして、スタスタと歩くようにしています。
旅の思い出は大切な宝物
わたしの旅行は「女性の一人旅」となることが多く、その為、自分なりに色々と制限して、無茶をしないようにしています。失敗しても、メインの名所を見逃しても、健康で安全にいられることが最優先です。健やかでいられるからこそ、旅の出来事に素直に感謝ができます。そうやってできた素晴らしい経験と思い出は自分だけの宝物です。
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