4年ごとにワールドカップが盛り上がりますが、普段サッカーに関心があるわけではなかったとしても、ワールドカップは好きだという人も多いのではないでしょうか。サッカーと言えばブラジルやドイツ、ベルギーを思い浮かべる人も多いかもしれません。
2018年にワールドカップが開催された時、私は家族と別に引っ越した直後だったのですが、ワールドカップの勢いに圧倒されました。私の夫はベルギー出身で、息子はベルギーと日本の両方の国籍を持ちますが、2018年にはちょうどベルギー対日本戦が行われたということもあり、周りから「息子はどっちを応援するの?(ちなみに、息子はまだ1歳にもなっていませんでしたが笑)」「やっぱり弱い日本だよね?」「強いベルギーだよね!」と聞かれたものです。ここでは、その時に経験したベルギーでのワールドカップについて紹介します。
とにかくサッカーに燃える国、ベルギー
サッカー関連グッズがあちこちで販売
日本もワールドカップのシーズンになるとそれなりに侍ジャパンやなでしこジャパンのグッズが販売されるのではないかと思いますが、ベルギーのそれは日本の比ではありません。あちらこちらのお店でベルギーの旗やサッカーのユニフォームが販売されており、「この国ではサッカーの観戦以外にやる事はないの!?」と思うほどの需要と供給を誇ります。食料品の所でもブルーベリーと桃とイチゴを利用したベルギー国旗のデザインのケーキが売られているなど、どこにいても、ワールドカップの存在を思い知らされます。義父の家にも、この時は壁に大きなベルギー国旗が飾られていました笑。
お店の中のデザインもベルギーの国旗などが飾られ、嫌になるほど、あちらこちらでワールドカップの存在を思い知らされます。その一方で、シーズンが終わると販売されているベルギー関連のグッズは値引きされていきますので、なんとなく悲しい雰囲気になります。
サッカーのユニフォームを着た子供が多い
日本でも、ワールドカップのシーズンになると侍ジャパンなどのユニフォームを着ている子供を見かけますが、その子供の数もこちらではとにかく多いです。サッカーのユニフォームは普段着なのかと思うほど、買い物に行くと、とにかくベルギーのサッカーチーム、Red Devilのユニフォームを着た子供たちを見かけました。大人の中にもユニフォームを着た人がいたように思います。
ベルギー戦が行われる日は家でサッカーを楽しむ人も多いですが、バーなどに集まって大型テレビでサッカーを見る、という人も多いようです。バーには大型テレビが設置されており、普段からサッカーの中継が流れていることも多いのですが、ワールドカップの時期はサッカー一色になります。
ベルギー流ワールドカップの楽しみ方
日の丸を持ってバーに出かけよう
実は、うちの夫はサッカーに関心がありません。そのため、ベルギー対日本戦が行われる時は「日本の国旗を作ってバーに行こう」と言っていました。幸い日本の国旗は簡単に作れますので、試合の日は画用紙に日の丸を書いてベビーカーにあちこち貼り付け、近所のバーに行きました。私は総スカンを食うのではないかと思っていたのですが、ベビーカーに日の丸がついているからなのか、それとも日本に負けるわけがないという余裕なのか、かなり歓迎されました。バーで働いているお姉さんが「その子はベルギー国籍も持っているんだから!」と、息子に小さなベルギーの旗を渡してくれたのですが、渡されて5秒で息子はそれを破っていました。
試合はとにかく盛り上がりました。この時の日本戦は侍ジャパンがかなり活躍し、実は「もしかしたらベルギーに勝てるかもしれない」という瞬間が何度もあったのです。侍ジャパンがシュートを決めた時にはバーのあちこちからがっかりした声が漏れ、ベルギーがシュートを決めた時には大きな歓声が上がりました。しかし、侍ジャパンがシュートを決めたとしても私たちが怒られるという事はなかったです笑。
日本のプレーに敬意を払うベルギー人
最終的に、ベルギーが1点差で勝ったように思います。本当に惜しい試合でしたが、侍ジャパンの活躍もあったからか、試合が終わるとバーにいた人たちが「日本、良かった!」と言ってくれたり、私たちに向けて親指を立ててくれたりと、温かいムードがありました。義父はサッカーが大好きで日本戦の時にも「絶対にベルギーが勝つ」と容赦がありませんでしたが、この時は「日本の試合は良かった」と言っていました。「ベルギーが買ったけどね」とも言われましたけれど!
ちなみに、日本に勝利した後ベルギーはフランスに負けました。しかし、この時はフランス側の試合の仕方にはモラル上の問題があると批判が高まり、アントワープではフランスを批判するためのストライキ?が起こっていました。この時は、ベルギーに住んでいるフランス人がそれなりに嫌な思いをしたのではないかと思います。
ワールドカップとなればルール違反もOK!?
試合の後の街の中
その一方で、やはりワールドカップに盛り上がるからなのか、ワールドカップの試合が行われた後、特にベルギーが勝利した後の街の中はかなり混乱するように感じました。
例えば、喜びを表現するためにクラクションを鳴らしながら通り過ぎる車もたくさんいましたし、ホーンなどで大きな音を立てながら通り過ぎていく車もいました。窓から紙吹雪を振りまきながら通り過ぎる車もいましたし、とにかくビールの空き瓶など、ゴミもたくさん落ちていました。試合に勝った日は花火も鳴り響いていたように思います。
つまり、ワールドカップで勝利をした日は法律も尊重されないということになります。さすが世界屈指の強い国だから仕方がないのかもしれませんが、やはりルールが守れないのはいかがなものか、と思います。
ちなみに、ベルギーの人からも「日本人がブラジルでのワールドカップでゴミ拾いをしていたことが有名だよね」と何度か言われました。褒められたのかもしれないですし、実際にそうなのかもしれないです。しかし試合の後、平気でゴミを捨てていくような人々にこのように言われると「日本人はこういうゴミも拾うんでしょう?」「拾っておいてね」などと言われているような気がして、矛盾しているのかもしれませんが、不快に感じた記憶があります。
サッカーが命という国
ベルギーでは、子供たちもサッカーをするというのが当たり前のようです。もしも我が子がサッカーを得意とすれば、「もしかしたら将来は我が子がワールドカップで活躍できるかもしれない!」などと考える親も珍しくは無いそうです。サッカーが強い国の背景には、そのようなサッカー教育が存在するのかもしれません。
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