LGBTやプライドと言えば、最近アメリカのみならず、日本や諸外国でもよく知られるようになりましたよね。私はアメリカのメリーランド州、ボルティモアで初めてプライドのパレードを見たのですが、その時は規模の大きさに驚きました。しかし、LGBTの人に対する偏見がなくなる一方で確かにヘイトクライムも存在します。ここでは、私が見たボルティモアのプライドパレードと、私の友人が受けたヘイトクライムについて紹介します。
ボルティモアで初めてのプライドパレード
LGBTとは何か
2016年夏、私は夫とメリーランド州を訪れていたのですが、そのボルティモアでプライドパレードを見ました。恥ずかしながら、私はその時プライドとは一体何なのかよくわかっておらず、事前にウィキペディアで調べた記憶があります。
LGBTと言えば、レズ、ゲイ、バイセクシュアル、トランスセクシャル、として知られています。バイセクシュアルというのは男性と女性の両方に魅力を感じている人、そしてトランスセクシャルというのは精神的な性と身体的な性が一致していない人を指します。…と聞くと、「私には関係ない」と思う人もいるかもしれませんが、例えばもしもあなたが女性で、ドラマや映画を見たときにボーイッシュな女性に憧れを抱くならば、バイセクシャルの傾向があると言えるでしょう。そしてそれはおかしなことではありません。
露店が出てお祭り騒ぎ
プライドパレードは多くの人が集まり、LGBTをサポートする団体がパレードに参加します。参加しない人たちも、そこに集まっているということはLGBTをサポートする人たちということですので、かなり盛り上がります。ボルティモア自体が大きな街なのですが、街の一角がパレードのために歩行者天国となっており、様々な露店で賑わっていました。歩行者天国になっている周辺のバーなどにもお客さんたちが多く集まり、その規模の大きさに圧倒されました。
日本ではまだLGBTの人たちに対して大きな偏見がありますよね。しかしこのプライドパレードを見たときには、アメリカにはいかに多様な人たちが集まっているのか、いかに多様な考えが許容されているのか、ということに驚きました。私の友人の中にも同性の恋人と結婚した人たちがいますが、そのような状態を普通に受け入れるアメリカ社会の偉大さを目の当たりにしたような気がしました。
その人の短所なのかパーソナリティーなのか
短所だとは捉えない
LGBTをサポートする人たちと話していると、あることに気づきます。人間には様々な短所がありますが、その人たちはそのような短所をあくまでも性格だと捉えている、という点です。例えば、中には人前でなかなか話ができない、パーティーなどに行っても少数人数ならば良いけれど、大人数になると躊躇してしまう、という人も多いのではないでしょうか。日本では就職試験などでも「あなたの短所はなんですか?」などと聞かれる可能性があると言われており、「見方を変えれば長所になるような短所を述べるように」などと言われますよね。それだけ、日本社会は自分の短所を短所だと受け入れなければいけない傾向があります。
その一方で、LGBTをサポートする人たちと話をしていると、このような短所をあくまでも性格だと問われていることがわかるのです。当時、私はまだ自分の英語力にもそこまで自信がありませんでしたし、夫の友人たちが多く集まるとなかなか話が出来ませんでした。しかし、夫の友人たちは「わかるよ、私も大人数の中に入ると黙ってしまう」「あ、私もそういう性格」といった感じで、あくまでもそれはパーソナリティーの1つであると捉えてくれたのです。これは私の短所だと思っていましたので、この考え方は目からウロコでした。
苦労があるから他人にも優しくできる
アメリカには、やはり白人至上主義の傾向があると思います。私自身、アメリカの様々な地域に行ったことがありますが、アジア人であるということから不当な扱いを受けた経験も少なくありませんし、なんだか宇宙人を見るかのような目で見られたこともあります。
しかし、実はLGBTをサポートしている人たちと話をしている限り、そのような扱いを受けた事は1度もないのです。アジア人だからということで偏見を持たれたこともありませんし、「アジア人?英語話せるの?」などと言われたこともありません。夫の話によれば、LGBTの人たちは自分たち自身がそれなりに社会の中で苦労しているため、人に対して優しくできるとの事でした。また、プライベートについてもしっかり理解している人が多く、不用意に他人の事情に介入することもないそうです。
それでも存在するヘイトクライム
ゲイ・バーの近くで友人が暴行を受けた!?
その一方で、アメリカにはヘイトクライムも存在します。ニューヨークに住んでいるLGBTに理解を示している友人が、カリフォルニアに行った際に友人に会うため、ゲイ・バーに足を運んだそうです。彼自身はゲイでは無いのですが、ゲイの人たちに対する理解があります。
しかしバーから出たところで、彼はLGBTに対して嫌悪感を持っている人々から暴行を受けたのです。彼がゲイ・バーから出てきたということで、彼はゲイと間違われて暴行を受けた、との事でした。
彼はそのまま病院に搬送され、脳神経外科で手術を受けました。しばらく顔が腫れ上がった状態で非常に痛々しい状態が続いたことをよく覚えています。ヘイトクライムがあることは知っていましたが、そのヘイトクライムの規模の大きさにも驚きました。友人は命が助かりましたが、いっぽ間違えばその命を失っていた可能性もあるほどの暴行だったのです。
アメリカでは入院は命取り!?
さらに、そのような入院や手術は友人の仕事にも大きな影響を与えました。アメリカは日本のように全員が保険に入っているというわけではなく、保険に入っていたとしてもどの程度保証されるかという事は保険によって異なります。入院すれば1晩10万円、というような国ですから、そのような国で手術を受け入院するとなれば、金銭的に打撃を受けます。また、そのために何日も仕事を休まなければいけないということで、仕事にも大きな影響を受けました。また、彼はカリフォルニアで暴行を受けて病院に運ばれましたが、そこから自宅があるニューヨークに移動することも大変だったようです。
彼はもともとニューヨークのブルックリンに住んでいましたが、ヘイトクライムの被害を受けた後、小規模のアパートに引っ越したそうです。経済的に困難があったようで、今ではルームメイトと2人で生活しています。何かできることがあればいつでも助けてあげたいと願っています。
視野が広い国、でも危険がいっぱい!
アメリカと言えば、多種多様な人たちが集まる視野の広い国だと思う人もいるでしょう。確かに、多様性ということで言えばアメリカに勝る国はありません。しかしその一方で、やはりそのアメリカにもヘイトクライムがあるということを忘れてはいけません。多様性を認めようとする人々がいる一方で、多様性を認めまいとする人たちがいるということ、そしてどちらにせよ、その規模はかなり大きいということを忘れてはいけません。
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