週間パリニュース⑦フランス流のセクハラ解釈~誘惑する自由

フランスから週単位で、今話題のニュースや出来事をお送りしています。今回で早や7回目。微力ながら、皆さんのお役に立てればと願っております。さて、今日はフランス版と題して、「フランス版セクハラの現状」、「フランス版地方独立主義-コルシカ島」、そして最後に「フランス版大雪パニック」をお届けします。日本でもあるような社会現象が、フランスではどうなのかを、私自身の独断意見?を交えながら紹介・分析してみます。

フランス版セクハラの現状

米ハリウッド映画界の大物プロドューサー、ハーベイ・ワインスタイン氏のセクハラスキャンダル事件が、世界中にその波紋を投げかけたのは、昨年の秋のことでした。(男性の皆さんにはいい迷惑?な)この事件をきっかけに、ここフランスにも、セクハラ事件の大津波はしっかりと上陸しました。しかしながら、フランスのおもしろい?ところは、このような明らかに「悪」となるセクハラに対して、時には全く違った見解も表明されるということです。

 誘惑する自由?

つい最近、フランス映画界の象徴的女優ともいえるカトリーヌ・ドヌーヴさんを初め、100人のフランス人女性たちが、こんな証言をしたのです。
「強制的な暴力行為という手段以外なら、いつの時代でも男性が女性を、反対に女性が男性を「誘惑する自由」がある。・・・中略・・・また、現在の男性に対するセクハラ糾弾は、まさに「魔女狩り」的な要素が濃く、性の自由化への逆差別となっている。」とまで言い切ったのです。

 捨てる神、拾う神のフランス

後日、カトリーヌ・ドヌーヴさんは、暴漢被害にあった女性に対しお詫びの表明はしたものの、この一件は、さすがにフランス!と私は感じました。正に「捨てる神あれば、拾う神あり」。セクハラを完全にシャットアウトし、全く容赦しないピューリタニズムの国アメリカと違い、フランスのこのような少数派に対する尊重の精神は、大したものだと私は思います。このような精神が生きている以上、フランスは絶対に全体主義の罠には落ちないこと間違いなし。

 政治界を脅すセクハラ事件

さて、今回のセクハラスキャンダル事件の波は、フランス政治界にまで押し寄せました。まず、仏予算大臣、ジェラルド・ダルマナン氏がその人です。次に今週に入ってから、仏環境大臣の二コラ・ユロ氏が引っ掛かりました。どちらも、数十年以上前に遡る暴漢行為に対する告発でしたが、事件当時警察の調査があったものの、どちらの事件も証拠不十分として両氏の無実が確認されていたものです。また、どちらの事件も、両氏が大臣に就任してから再浮上した事実を考えると、告発者側の何らかの思惑があった?とも受け取れます。
ユロ氏は、今回の再発したスキャンダルについて、「私は(無実なので)真実は怖くないが、マスコミのうわさが恐ろしい」と語りました。確かに、マスコミにはその真実を伝達する力もありますが、ありもしないうわさをまるで真実のごとく信じるさせる力もあります。

 SNSの強さが示された事件

因みに、今回の事件を別の角度から見ると、ソーシャルネットワークの強さが大いに明確化されたいい例かもしれません。全世界を大きく揺り動かし得たのは、何よりもSNSのおかげであり、だからこそ女性たちは、この憎むべく悪のセクハラと戦うことができたといっても過言ではありません。でも逆の見方をすれば、SNSのせいで簡単に人を告発できてしまうという、2重刃の性格を持ち合わせたのがSNSとも言えるでしょう。

フランス版地方独立主義

皆さんは、「イル・ド・ボテIle de Beauté (美しき島)」という別名をもつ、コルシカ島をご存知ですか?ナポレオン1世の生誕地としても有名なフランス領の地中海に浮かぶ島ですが、何と今、このコルシカ島で独立運動の気運が沸き起こっているのです。

 根強いフランス地方独立精神

フランス人は、独立志向がどの国よりも強い国民です。フランス革命の落とし子?ともいえるこの独立精神は、特にフランスの地方で如実に感じます。
フランスのブルターニュ地方、アルザス地方、バスク地方、プロヴァンス地方などは、各地方独特の文化と言語を有し、そこで生まれた人はこのような独自の地方性をとても誇りとしています。

 独立を促す動き濃厚に

さて、今話題となっているコルシカ島も然り。昨年12月のコルシカ島議会選挙で、ナショナリスト(民族派政党)が圧勝。この波に乗って、いずれは独立を促す要請を政府に突きつけてきたのです。ちょうど今から20年前の1998年2月6日に、コルシカ島県知事がコルシカ島ナショナリストの反政府グループに射殺された事件がありました。その20周忌式典を機に、マクロン大統領はこの地を訪れました。しかし真の目的は、ナショナリストたちのこの独立気運に釘をさすことにあったようです。

 ナショナリストの要請とは?

では、コルシカ島のナショナリストたちは何を政府に要請しているかというと、次の3点が主なものです。
① コルシカ語をフランス語と同等の公式言語とする。つまり、島内のすべての公的機関で働く職員は、コルシカ語も話せることを義務とする。
② コルシカ島に住んでいる囚人家族の便宜を図るため、現在禁固中のコルシカ出身の政治犯 (特に20年前の県知事射殺事件の犯人)を島内の刑務所へ移管させる。
③ 少なくとも5年以上在住しているコルシカ島住人に対して、島内の不動産取得権を優先する。これは、コルシカ島を観光客用のセカンドハウス化から守るため。
いずれも、将来コルシカ島が独立もしくは自治権を取得することを根底としています。

 マクロン大統領の回答

これに対し、この度のコルシカ島訪問中の演説の中で、マクロン大統領はほぼ完全にこれらの要請を拒否しました。唯一1点だけ彼が譲渡したのは、コルシカ島のもつ島国であるという特異性を考慮するというものでした。具体的には、フランス憲法におけるコルシカ島の位置を考え直す必要性を示唆したことです。すなわち、仏海外県の在り方を決めた憲法第74条の改定です。
因みにご参考まで、フランス国民全体の89%がコルシカ島の独立に反対しています。内59%が島内の独立同調者でもあるのです。どうも理解しがたいことです。

フランス版大雪パニック

年末年始にかけての暴風雨、次に大洪水、そして今度は大雪と、フランスとりわけパリは不安定な気候に右往左往しています。

 呪われた国道118号線?

パリの大雪災害は、当然今回が初めてではありません。8年前にも大雪のため交通機関を初め、飛行場、道路などが完全ストップとなる出来事がありました。
さて、パリの南西部を走る国道118号線は、毎回大雪に見舞われるたびにドライバーが雪止めの犠牲になっています。「呪われた国道118」という悪名までついたこの国道、前回の大雪による被害は2010年でした。今回も約1500~2000台の車が釘付けとなり、ドライバーは車をその場に放置し、近くの管用施設で一晩を明かす羽目となったのです。

 避けられたパニック

すでに先週の天気予報で大雪予想が出ていたのに、なぜこのような状態になるまで、事前対応がされなかったのか、パニックを避けられたはずと、被害者たちは抗議しています。
確かに、たった5~20cmの積雪で、こんな風に混乱するのはおかしいですよね。国道118号線の場合、大型トラックが雪で転倒して道路を封鎖したのが主な原因でしたが、事前にトラックの進入を禁止すべき標識を掲げておくべきだったとの声も上がっています。(賛成!)
スカンジナビア諸国やカナダなど雪国の人たちから見たら、さぞかし面白い光景なのではないでしょうか?