タイに住んで約３年。タイのパンガン島でイタリアンレストラン経営を１年半前に始め、開業にやっとのことこぎ着け約３ヵ月。汚職の当たり前なタイで、開業までにこれまでいくらのお金と時間を費やしてきたか。タイに住む外国人はタイ人がレストランを開業するより５０倍以上の時間と費用がかかると言われます。自ら経営するレストランを無事に開業し続けられるか毎日不安の中、先日、そのときが訪れました。
経験者のはなし
すべてはお金
すでにレストランを経営する外国人オーナーたちからは、色々な話を聞いていました。①警察が営業中に突然やってきて、お客全員のパスポートをチェックして行き、出国日の過ぎているパスポートが見つかれば警察署に同行しなければならなかった。②本来はタイで許可されたシール貼付のアルコール類のみレストランで販売できるものの、自らイタリアから持ってきたシールなしのワインをレストランで売ったら、警察に見つかって約３万円の罰金を支払わされた。③レストラン開業のために、タイ人からお金を借りたら、タイのマフィアであったことが後でわかり、すぐに数倍のお金を返すように脅され数週間で店閉まいとなった。タイに滞在するお金も尽き、祖国のオーストラリアに帰らざるをえなくなった。
どんな手段を使っても
どの話を聞いても、外国人からどれだけお金をとれるかタイ人が考えて、レストランに来ては荒さがしをして、決してタイ人経営のレストランではしないことを平気で要求するのです。タイ警察もお金がないようで、パトロールを強化して何かお金をとれるチャンスがないか見て回っています。車、バイクを運転するのに普段は免許証もいらない、ヘルメットもいらないとされるパンガン島で、突如道路のど真ん中に警察のチェックポイントを作って、ヘルメットを被っていないものは約１５００円の罰金の支払い、などとして通行車からもお金を吸い取っていきます。
ある夜
誕生日会
そんなこんなで、私のレストランにもいつか警察が見回りにくると毎日のようにドキドキしていました。開業して３ヵ月経っても来ないので、少し油断していたとき、その時は来たのです。その夜は、お客の１人が誕生日だったので、レストランは人で溢れていました。すでにこれだけでも警察の目を引いたのでしょう。さらには、誕生日ガールが自分で持ってきたポータブルスピーカーで音楽をかけて踊りだしました。特に大音量でもなく、５人ほど軽く踊っていたくらいで、全く特別なシーンではありませんでした。それでも、そういうときに、警察は見ているのでしょう。突然、３名の警官が夜９時半頃に現れたのです。
警察現る
お客は事態の重さに気づかないのか、真剣な顔をしている人はいません。真剣なのは私と共同経営している彼のみ。まずは、パスポートと労働許可証を見せました。しかしその後、タイ人が働いていないのはなぜかとつっこまれたのです。本来は、外国人１人につき４名のタイ人を雇うこと、そして、レストランの会計はタイ人が行うことと法律で決まっているのですが、その法律に従っているレストランはほぼありません。しかし、お金をほしい警察はタイ人がいないことを知って、心の中でニヤニヤと笑っていたのでしょう。タイ人がいないのは大きな問題だからと、私と彼の労働許可証を持ち去って行きました。その後、なぜダンスしているお客止めなかったかと私は大変後悔しましたが、時すでに遅しです。
悔しいの一言
翌日、弁護士に状況を説明し、警察と話すように連絡しました。そうしてレストランを朝から開店させていると、また警察が現れて、警察署まで来るように言われ代表の彼が連行されたのです。のちに彼から話を聞いたところ、弁護士が警察署に到着するまで、色々と質問され隣の島の刑務所に入るぞと脅され、弁護士が到着したら、どれだけ女弁護士が綺麗かの話を１０分間したあとに、刑務所に行くか、約６万円の罰金を支払えと言ってきました。あり得ない事態ですが、他の外国人オーナーたちも同じような経験をしていたので、彼は冷静に対処したようですが、６万円というタイでは高額な現金を渡したときは、大変悔しい思いでした。そもそもなぜ警察が来たか、お客がダンスをしていたのを見て、タイ人が警察に電話をしたようなのです。道路を挟んだ反対側にタイレストランがあるのですが、お客があまりおらず、私たちにジェラシーを覚えて電話した可能性が大きいのです。外国人嫌いのタイ人、お金に対する考え、嫌がらせ、問題は尽きません。
強い精神力が必要
タイでビジネスをするのは全く簡単なものではありません。辛抱強く、忍耐力がなければ、一つ一つの不条理な問題に付き合ってられません。警察の取り締まりが年々厳しくなる中で、このままでは外国人がビジネスをする機会が減っていくばかりでしょう。ビジネスのしにくさは、タイには全くプラスになりませんし、外国人観光客含め離れていくばかりなのは確かです。
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