「すべてのゴミはローマへ通ず」… ゴミだらけのローマにしないために!

今、ヨーロッパでは「すべての道はローマへ通ず」ではなく「すべてのゴミはローマへ通ず」というのが当たり前の謳い文句となっています。イタリアの首都、ヨーロッパ観光旅行のメッカのひとつと誰もが信じていたローマは今、ゴミの山。さて、一体何がローマに起こったのでしょう?イタリアをこよなく愛する私は無関心ではいられません。

事の始まりは・・・?

事態は実は、すでに昨年12月から引き続いています。12月11日の早朝4時、ローマ北部にある大ゴミ処理場が大火事に見舞われました。このため、数千トンに上るゴミ廃棄物が燃え上がり、黒々とした分厚い黒煙が高さ15メートルにまで舞い上がりました。ローマ中心地にまでその煙と悪臭が届いたとメディアは伝えています。この日から、ローマ市内のゴミ収集機能が完全にシャットダウン。東京だと夢の島が燃え上がるというイメージを描いてみてください。なるほど、これはそう簡単には処置できないのかもしれません・・・?でも、すでに半年近くが過ぎようとしている現在、どうしてまだ改善できないのか、不思議な気もします。あの凄まじい福島原発事故でさえ、数か月後にはそれなりの改善策がなされていたような気がします。

さて、その理由は・・・?

日本でもそうなのでしょうが、ゴミ処理の責任は各市町村にかかっています。ですので、今回の後始末は、当然ローマ市が責任を負わなければならないわけですが、それがそう簡単ではないのですね、ことイタリアという国となると・・・。因みにローマ市のこのゴミ問題は、今回だけではありません。過去にも何度もゴミ処理問題に悩まされています。理由はただ単に、予算不足です。また、市民の廃棄物処分への態度も問題です。毎日回収されることになっているローマでは、常時ゴミを捨てても平気、というのが人々の感覚なのです。日本やフランスのように、ゴミ回収日が週に1度などという決まりがないわけで、昼夜、中断することなく捨てられるゴミ、ゴミ、ゴミ・・・。当然、回収トラックは、すべてのゴミを回収できないまま、ゴミをそこに置き去りです。翌日、また同じことが繰り返される、という悪循環。そして、この度のゴミ処理場の大火事、まさに「泣きっ面に蜂」というのが現実なのでしょう。

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国境を超えるゴミ

毎日5千トンものゴミが出るローマですが、その内半分がきちんと回収されないまま、道にあふれています。つい最近、ローマへ出張に行っていた友人が、「町中に悪臭がして、ゴミの山をかき分けて通らなければならないほどだった」と嘆いていました。ついに国は、ローマ近隣の3地方や、国外のオーストリアやドイツにまでもゴミを輸出するという最終手段にまで陥っています。

さて、先にも書いた通り、ローマのゴミ問題は今に始まった新しい事件ではありません。有名な観光ガイド書「地球の歩き方」の仏語版フォーラムを読んでいてわかったのですが、2016~17年にも同じような問題が起きています。「観光客はみんな、鼻をつまみながらエキスプレッソを飲んだり、ジェラート(アイスクリーム)を食べ歩きしている」と書いてありました。

果たせなかったローマ市長の意気込み

2016年にローマ市長候補として出馬したヴィルジニア・ラッジ氏、第34代ローマ市長にみごと選出されました。市のゴミ処理問題に同氏は、ゴミ回収方法を改め、リサイクル処分を応援し、不法なゴミ廃棄者への重い罰金制度の施行などを掲げ、ローマ市を綺麗に掃除する、とその野望と意気込みは大きかったのですが、結局、期待していた大型投資の白紙により、予算不足のまま現在まで至っているというのが現実のようです。

ローマへ観光旅行を計画の日本人の方々は、ゴミのローマ観光になることを覚悟してください。ナポリのゴミも有名ですが、ローマにまで上ってきたゴミ処理問題、いつまで続くのか溜息が出てしまいます。ゴミ餌を目当てに、ネズミやカラス、近くの山から下りてきたイノシシまでいるということです。トレビの泉の横でイノシシと記念写真を撮ったなんて、なんとも情けないローマのイメージだと思いませんか?

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