夫の仕事の都合で、中国の北京で生活をしていたことがあります。私たちはどちらも中国語がわからないためなかなか大変なこともありましたが、思い起こすと「面白いこともたくさんあった」と感じることがあります。ここでは中国で思わず絶句した、びっくりしたことを紹介します。
中国の北京では包丁を買うのに一苦労
包丁が店頭に並んでいない!?
私たちが北京でアパートを決め、家具などを購入して生活を整えていた時、あることに気づきました。店舗で包丁を見かけることがないのです。鍋やフライパン、お箸等はあちこちで見るのにもかかわらず、包丁を見かけることがないのです。
そんな時、包丁が鍵のかかったガラスケースに入れられていることに気づきました。アメリカの南西部に行くと、普通のお店のど真ん中にガラスケースがあり、その中に銃が展示されている、ということもあります。本当にそんな感じで、包丁が入ったケースに鍵がかけられているのです。
2013年の事件で包丁が売られなくなった
いろいろ調べてみると、面白いことがわかりました。2013年、北京で包丁による殺傷事件が起こったのです。何人もの人が殺害されたなどという大規模なものではありませんでしたが、それでも包丁は多くの人にショックを与えたようでした。
そのため、北京の店頭では包丁を売ることができなくなってしまったのです。包丁を購入するためには身分証明書を提示し、なぜ包丁を購入するのか理由を伝え、鍵を開けてもらって購入しなければいけないのです。もっとも、誰であっても包丁を購入する場合は「料理で使う」と言うでしょうから、このやり方がどれだけ犯罪抑制につながっているのかは謎です。
友人に必要事項を紙に書いてもらって包丁を購入
当時、私たちは中国に行ったばっかりで中国語は全然わからず、包丁を買うには身分証明書が必要だと知ったときには「もしも外国人2人が包丁購入して怪しまれたらどうしよう!」などと不安に感じました。そのため、友人にお願いして夫のパスポートの情報、職業や「料理で包丁を使用する」といった内容を中国語で紙に書いてもらい、私たち2人のパスポートを持参してお店に行ったのです。
とにかく怪しまれてはいけないと思いましたから、2人で(実はかなり笑いをこらえながら)お店のスタッフに紙を渡し、パスポートを見せました。するとスタッフは笑顔になり、普通に鍵を開けてくれました。もっと深刻に審査されるのかと思っていましたので拍子抜けした位です。
今でも中国の北京で包丁を買う場合、同じようなステップを踏まなければいけないようです。日本のように100円ショップでさえ包丁を買うことができるなんてありえない状態です。
ホステルでは自分の持ち物をしっかりと管理して!
ロッカーが全て埋まっていた!
私たちが北京で生活をしていた時、私の古くからのイギリス人の友人が私たちを訪ねて北京にやってきてくれました。彼女は自分で北京のホステルを予約し、北京での滞在を楽しもうとしていたのです。
彼女を駅まで迎えに行き、そこでホステルから迎えに来てくれたスタッフの人と一緒にホステルに行きました。そのホステルというのはホテルとは異なり、まるで学生寮のような感じで1つの部屋に8人ほどの女性が泊まっているという状態です。寝室には2段ベットが4つ置かれており、それぞれがカーテンで仕切られていました。彼女が泊まったのは8人部屋でした。
そこには女性が7人いたのですが、8個すべてのロッカーが使用されていたのです。8個とも鍵はかけられておらず、鍵はロッカーに刺さったままでした。ホステルのスタッフは彼女に「残念だけどロッカーはすべて使われているから、貴重品は自分でなんとか持ち歩くなりして管理して」といたのです。しかし彼女は空いた時間に仕事をするためパソコンを持参しており、パソコンを持ったまま遊びに行くという事は考えられませんでした。
ロッカーの中身が勝手に出されてしまう!
こちらはロッカーを含んだ宿泊費を払っているのだから、ロッカーが利用できて当たり前ではないかと私の夫が追求すると、スタッフはロッカーを見ながら考え込み、ある1つのロッカーを開けて中身を取り出し始めたのです。ロッカーを空にし、彼女は私の友人に「ほら、これでここを使えるわ!」と言ってくれました。
つまりこのスタッフは無言で宿泊者のロッカーを開け、中身を取り出したということになります。そして中身を取り出された宿泊者が複数のロッカーを使っていたとは限りません。しかし、ルール違反をしていた宿泊者がいたため、そして鍵がかかっていなかったため、ロッカーの中身が取り出されてしまったのです。なんとも日本ではありえない状態に、私たちは驚きました。しかし、ロッカーに鍵さえかかっていればこのようなことはあり得なかったのです。
鍵が鍵としての役割を果たさないこともある
鍵が扉に刺さって折れた!?
イギリスの友人が北京に滞在している時、私たちはよく私たちのアパートで一緒に夕食を取りました。それから彼女はタクシーでホステルに戻る、というやり方をしていたのです。
彼女にはホステルに着いたら必ず連絡をするようにと言っていたのですが、ある夜、彼女からなかなか連絡が来なかったのです。心配して電話をしてみたところ、「ホステルに戻って鍵を開けようとドアの鍵穴に鍵を入れたら、鍵がぽきっと折れてしまい、ちょっとした騒ぎになっていた」と答えが返ってきました。どうやら彼女が外から扉を開けるために鍵を刺した際、そこで鍵が折れてしまって鍵を開けることができず、中にいた宿泊者にドアを開けてもらったとの事でした。彼女は宿泊者達とすっかり仲良くなっていたため、それ自体は何の問題もなかったそうですが、さすがに宿泊者全員で「この刺さったままの鍵はどうするのか」と揉めていたそうなのです。
中にいる宿泊者に扉を開けてもらわなければいけない
最終的に彼女たちがスタッフに連絡し、翌日スタッフが鍵の修理にやってくることになったそうです。もちろん、それまでにホステルに帰ってきた場合は鍵を開けることができませんから、中に入る宿泊者に開けてもらわなければいけません。なんとも日本ではありえない状態でした。
友人はとても貴重な経験ができたと喜んでいました。ちなみに翌日しっかり鍵は修理され、彼女も新しい鍵を受け取ったそうです。とは言え、まだ古い鍵も使われているそうですから、同様のアクシデントが起こるのは時間の問題かもしれません。
とにかく日本の常識が通用するとは限らない
よく日本の常識は世界の非常識といいます。世界の非常識というかどうかは分かりませんが、少なくとも日本の常識では考えられないことが当たり前のように起こる、という感じがしました。もちろん国によっては日本の常識が通用することもありますが、全く通用しないということもあるということを覚えておかなければいけません。だからこそ、海外旅行などに行くときには自分の持ち物はしっかりと管理し、危機感を持って行動するということが必要です。
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