フランス生活20年!パリ通信⑦海外に住むプラスとマイナス

長年外国に住んでいると、その短所と長所がみえてくるものです。数十年以上、フランスで生活している私には、その違いをはっきりと肌で感じることができます。今回は、私自身の経験を交えながら、長期に海外で生活するプラス面とマイナス面を紹介します。これから長期に渡る海外生活を計画されている方のため、このブログが何かのお役に立てれば大変光栄です。

プラス面

 日本をグローバルに理解できる

これは大きなメリットです。自分自身のことは、意外に自分ではわからないものです。これと同じで、常に日本にいると案外日本が見えないもの。
例えば、日本では売店が夜間遅くまで、中には24時間休みなく開店しているのはごく当たり前のことです。まして日曜日閉店、何てほとんどあり得ません。あまりにもあたり前で、そのありがたさが日本にいるとややもすると忘れられがちですが、フランスでは、そんなお店は皆無です。

反面、日本のものはほとんど完璧なのですが、すべて日本風に作り変えられているような気がします。イタリアのピッザも、アメリカのハンバーガーも、フランスのカマンベールチーズでさえ、どういうわけか、日本人の舌に合うように再生されている?という気がするのですが、これは私だけの意見でしょうか?その国独自の良さをそのまま受け入れないで、すべて日本式に変えてしまう魔法の国 、日本。
どちらにしても、良いも悪いも、外国にいるとグローバルに(客観的に)日本を観ることができることは長所なのではないでしょうか?

 人種・国籍・文化の違う人々との交流

パリのメトロに初めて乗ったとき、様々な人種の違いに驚いたものです。私のすぐ横に座っていたカップルが英語で話していたと思うと、後ろから中国語が聞こえてきたり、背中に赤ちゃんをカラフルな布で包んでおぶっている黒人ママがいたり、頭をスカーフで覆い隠したアラブ人の女性が乗り込んできたりと、とにかくありとあらゆる国籍、人種、文化、言語が混ざって生活しているのです。まさにカルチャー・ショックの世界です。こんな風景は、日本ではあまり見られないですよね。「日本全国、皆日本人」の中で暮らしていると、こういう多文化との交流が少ないのは仕方のないのことなのかもしれませんが、自分は日本人という自覚に乏しくなる気がしませんか?

 外国語が上達する

ごく当然のことですが、毎日どっぷりフランス語の世界で暮らしているので、自然にフランス語が上達します。第一、フランス語が話せないと生きていけません。因みに、これは私の個人的な経験から言えることですが、どんな外国語でも、まず文法をしっかり頭にたたみ込んでおく方が上達が断然早いです。後々での日常会話がとても楽になります。

どちらにしても、多文化、多人種の社会で生き抜いていくには、その国の言葉を話せることは必須条件です。日本ですと、日本語ができない外国人には優しい国ですが、フランスではフランス語ができないと無視されることも多々ありです。

 外国旅行が便利で気楽

フランスから外国へ旅行するのは、日本から海外へ旅行するのに比べて、すごく簡単です。とりわけ、パリにいるととても便利。ベルギー、スペイン、スイス、イタリアなど 、隣接諸国は陸続きなので鉄道を利用をできますし、英仏海峡を挟んだイギリスでさえ、ロンドンまでヨーロー・スターが直行。「汽車に乗ると、翌朝ヴェニスにいた!」なんて言えるのは、フランスにいる特権かもしれません!また、欧州共同体圏内の旅行なら、どこもヨーロー圏なので、わざわざ外貨を準備しなくてもいいし、入国許可に長い列を作って待たされることもありません。とにかく、外国へ旅行する上で、無駄なエネルギーと心理的ストレスのないのがとても便利です。

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マイナス面

 日本語を忘れる

これは、なかなかゾッとすることです。私は何も日本語に誇りを抱いているわけではありませんが、母国語を忘れるというのはどうもありがたくありません。この間、友人たちとおしゃべりしている時、ある友人が、
「○○って日本語で何て言うの?」と軽く聞いてきました。
一瞬、「ええっと日本語で何て言うんだっけ?」と私は言葉に詰まったまま、日本語が出てきません。皮肉なことに、後でフランス語から問題の日本語を辞書で探さなければならないという有様です。日々外国で生活するということは、その国の言語を習得する上ではとてもメリットがありますが、逆に母国語を忘れるというデメリットがあるということを忘れないでおきましょう。日頃から日本語で書いたり、読書をする心がけが必要です。フランス人はよく「言語は生きている」と言いますが、正にその通り。言葉は毎日使っているからこそ役に立つのです。ぜひ、肝に銘じておきましょう。

 日本の流行に遅れる

これは、もう避けがたいデメリットです。幸いにして、現代はインターネットという情報網があるので、ほぼタイムリミットなしに日本での情報をキャッチできますが、流行は現場にいて肌で感じとるものなので、外国にいるとその臨場感が乏しくなります。日本の最新流行のファッションや今人気のテレビドラマは?と聞かれても、スタイル名や題名などは言えても、それがどうして、どんな風に日本人に人気があるのかピンとこないところがあります。前記の「言語は生きている」ではありませんが、「流行も生きている」のです。

 時差や為替レートの影響に左右される

これをマイナス面に入れるかプラス面として取り扱うか、正直なところ少々悩みました。私は、このように日本語のブログを書いて日本へ紹介している立場上、デメリットとしましたが、現在のところ、ヨーローが円に比べてはるかに強いので、帰国するときは断然メリットです。しかしながら、日仏間の時差が夏は7時間、冬は8時間ありますので、ほぼ半日以上の誤差があるという環境の下で従事しなければなりません。
どちらにしても、地球の裏側で日本と関係を保つ場合、時差と為替の影響を考慮しておく必要があるでしょう。

 四季感がなくなる

世界地図を眺めていただくとわかりますが、フランスは日本に比べて相当北に位置しています。因みに、パリは北海道より北にあります。ゴルフ湾海流のおかげで、日本とほぼ同じ気候で暮らしていますが、私は春と秋の短さに慣れるまでは相当時間がかかりました。当然、四季感がなくなります。日本では、春夏秋冬を3ヶ月ごとにじっくりと味わうことができますが、フランスでは、冬から春、夏から冬への変わり目がほぼなく、ある日突然気がついたら夏、冬は秋を待たないで駆け足でやってきます。但し、フランスは広いですから、南フランスへ行けば少々事情が違ってくるでしょうが、それでも、日本のはっきりとした四季には勝てません。パリにいる場合、冬の気配は11月から4月下旬までととても長く、5~6月と春かなという感じで、7~8月が夏(カラッとしているので夕刻は肌寒いぐらいです)、マロニエの並木道が落ち葉でいっぱいになり始める9~10月が秋、というのが私の個人的な季節感です。(しかし、地球温暖化のため、30年前に比べて冬の厳しさが柔らんでいるということですが・・・・。)

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プラスと捉えるかマイナスと捉えるか

長期外国で暮らす長所と短所でした。最近では、私はフランス語で夢を見るようになって、内心少々不気味な気分です。しかしながら、長い外国での暮らしを長所にするか、短所にするかは、あたな自身のとらえ方次第だと思います。慣れない移住者として暮らす中では、数々の不自由さがあるのは当然、それをどんどん長所に変えていくバイタリティがあれば、あなたの外国生活は半分以上成功したようなものです!

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