日本とイタリアで妊娠・出産して感じた両国の違い(妊娠編)

私には子供が2人います。国際結婚の多くの日本人女性は日本での出産を望み里帰りする人が多いようですが、私は、長女を妊娠した時には妊娠8か月まで日本で過ごし、イタリアで出産しました。そして次女を妊娠した時にはイタリアで妊娠中期まで過ごし、日本に帰国して出産しました。ここでは、両方を経験したからこそ体験できた、医療制度の違いや、感じたことをお話します。

管理の仕方が違う

 日本の場合

日本では通う病院を1つ決めたら、全ての検査をそこで行います。途中で病院を変えることは滅多にありません。何か問題が生じた場合や医師への不信感を持った場合など、転院することはないとは言えませんが、病院によっては妊娠初期段階で出産予定日の予約をし、仮払いで部屋を押さえます。のんびりしていると安心して出産できる病院がなくなってしまうという事態も起きかねません。出産難民は深刻な問題になりつつありますよね。

先生と病院を信頼し、カルテの管理は病院側が行い、母子手帳に記載していきます。先生の指示通りに検査を受けて結果を聞き、妊娠が順調であればトントン拍子に進んでいきます。
市町村により多少の差はありますが、妊婦健診は母子手帳に付随の補助券を使用できますから、ほとんどお金がかかりません。出産費用は病院によりますが、普通レベルの病院ならば、普通分娩の場合は40万円前後なのではないでしょうか。更に健康保険に入っていれば出産育児一時金が支給されますので、出費は差額のみとなります。
そして妊婦検診の回数は、初期は2週に1度、安定期には1か月に1度、後期にはまた1週に1度になります。

 イタリアの場合

一方、イタリアでは、公立病院での出産は無料です。もちろんサービスの良さで私立を選ぶのであれば日本以上に費用がかかる場合もありますが、私は公立病院で出産しましたのでお金はかかりませんでした。
しかし、妊婦検診はお金がかかります。まず妊娠を確認したら、血液検査やエコーなどの各検査はそれぞれ別機関に自分で予約を取って行わなければなりません。検査結果が早いなどのサービスを重視してしまえば、血液検査だけでも日本円で7千円から8千円ほどかかります。日本で言う「保健所」ならばほぼ無料で検査を受けることも可能ですが、日程が決まっていたり、予約がいっぱいだったりして、なかなか思うようには進みません。妊婦検診は日本よりもお金がかかります。
また、自分であちこちに出向いて検査を受けるため、カルテも全て自己管理です。日本より面倒なことが多いですが、私は妊娠期間も自分をしっかり管理し、責任を持って過ごす気持ちが強まる気がしました。

そして、これはイタリアに限ったことではありませんが、無痛分娩が主流となっているため、心電図を撮り、麻酔師と面談も必要になります。麻酔ができるかどうかの判断をしてもらい、当日麻酔するかどうかはタイミングや体調、自分の希望により決まります。
また、エコーを撮ったり内診をしたり回数は圧倒的に日本より少ないです。日本は毎回エコーを撮りますが、あそこまで毎回撮る国はむしろ日本だけではないでしょうか。それでも、毎回尿検査はありますし、医師が胎児の心拍を聞かせてくれるため、何かあればすぐに気付けます。

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妊娠期の食事の注意事項が違う

 体重について

医師にもよりますが、日本は妊婦の体重増加に細かく、毎回検診で体重チェックをし、増えすぎるとドクターや助産師さんに注意されますよね。それをストレスに感じている妊婦さんも多いはずです。
イタリアは医師にもよりますが、体重増加の注意も日本ほど厳しくはなく、20kgまでの増加は普通だと聞きました。もちろん、20kgも増やせば産後減らすのも大変ですが…
日本のように体重を管理された方が、減量は楽そうですよね。妊娠中に20kg増やすことは簡単ですが、減らすことは簡単ではありません。

 食事の取り方

食事も日本はバランスよく、和食中心と推奨されています。日本で食べてはダメといわれたものはありませんが、一般的に控えた方が良いのは生魚で特にマグロはメチル水銀という胎児に悪影響を及ぼす有害物質が含まれているので厚生労働省により注意喚起されています。
一方、イタリアは、イタリアで食べられている食材が独特なため、食事にはかなり気をつけなければなりません。イタリアの代表物、生ハム・サラミは食べてはいけません。トキソプラズマで妊婦が感染すると、胎児にも視聴覚機能に悪影響が出る可能性があるからです。

そして非加熱のチーズ類もダメです。美味しいマルゲリータピザにのっているモッツァレッラチーズもダメです。
他に生野菜は必ず重曹で洗うようにとドクターにしつこく言われます。外食では重曹で洗われているかわからないため、パニーニなどの野菜も抜くようにと厳しいです。
イタリアンパセリやバジルも古くは堕胎させるために食べさせたと言われるほど子宮収縮させるので、妊婦は避けねばならない食べ物です。

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お国柄が現れる

 どちらが良い悪いではない

このように見ると、日本は食事制限が厳しくないのにイタリアは厳しい、日本の方が毎回エコーを撮るから丁寧だけれどイタリアはそうでもない、などと思う人もいるかもしれません。
しかし、それはお国柄ですし、簡単に比較できるものではありません。日本の食生活は基本的に誰にでも健康的ですが、イタリアは妊婦に良くない食材が多く使われているため、妊娠すると注意しなければならないことが必然的に増えてしまうだけです。

 精神的な問題

海外で妊娠・出産をする時の一番の障壁は、精神的な問題だと思います。妊娠中はホルモンの影響もあり、不安定になりがちです。そのため、どれだけ海外に慣れている、自分は大丈夫と思っても、海外では特に精神的に参ってしまう妊婦さんも少なくはないでしょう。
このような問題には周りの助けが不可欠です。例えば日本にいる外国人の妊婦さんも同じです。もし周りに外国人の妊婦さんがいたら、ぜひ助けてあげて欲しいと思います。確かに「放っておいて欲しい」と思う妊婦さんもいるかもしれませんが、声をかけてもらって嬉しいと思わない妊婦さんはいません。

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 不安は医師や助産師に話そう

海外で妊娠すると、文化や習慣、言語の違いからストレスも溜まります。私も、今だからこそイタリアでの経験を何事もなかったかのように話せますが、当時はイラついたこともありましたし、夫に八つ当たりしたこともあります。
もし自分の言語に不安があるなら、周りの助けを借りながら対応しましょう。そして何か不安があれば、医師や助産師に相談して下さい。病院には国による違いがありますから、日本のやり方に振り回されても不健康です。
また、先ほども言いましたが、もし周りに妊婦さん、特に外国人の妊婦さんがいたら、ぜひ声をかけてあげて下さい。皆で温かく赤ちゃんを迎えてあげたいですね。

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2017.11.07
   

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