留学や海外研修でホームステイをする時、トラブルに巻き込まれてしまうということがあります。考え方の違いからトラブルに巻き込まれるということもありますし、英語の誤解が生じてしまい、ホストファミリーとうまくいかないということもあります。ここでは、ホームステイのときのトラブルの例をいくつか紹介します。
ホームステイ先の子供とのトラブル
子供が部屋に入ってくる
ホームステイをする時、多くの場合、ホストファミリーは留学生に1つの部屋を与えます。確かにプライバシーは守られなければいけませんが、場合によってはそうはいかないこともあるのです。
ホストファミリー先に幼い子供がいる場合、その子供たちは日本からやってきた留学生に興味津々です。自分たちはスーツケースなんて見たことも無い、ということもあるかもしれません。そんな時、遠い日本という国から留学生が大きなスーツケースを抱えてやってくるのですから一体どういう人なんだろう、一体どういう国から来たんだろう、などと興味を持って近寄ってくるのです。
そのため、子供たちが自分の部屋に入ってくるということも十分に考えられます。もちろん自分の部屋に鍵があれば良いですが、鍵がない事の方が多いです。いきなり子供たちが部屋に入ってきた、自分がいない間に子供たちが自分の部屋で遊んでいた、などということは決して珍しくありません。
貴重品の取り扱いについて
子供たちは善悪の判断がつかず、留学生のカバンやスーツケースを開けてしまうこともあります。そして、パスポートやお財布など、留学生にとっては大切なものでさえ取り出してしまうということがあります。特に大金やクレジットカードなどを持っている場合、金銭的な問題にまで発展してしまう可能性があります。
そのため、貴重品は必ずスーツケースにしまい、鍵をかけるようにしましょう。また、スーツケースに鍵をかけたからといって安心し、その鍵を部屋の分かるようなところに置いておいてはいけません。おそらくスーツケースには2つの鍵があるでしょうから、1つは部屋のどこかに隠しておく、1つは持ち歩く、といったように別々に扱うということも大切です。2つまとめて隠してしまえば、なくすときには2つ同時になくしてしまいます。
尚、ホストファミリーに預けるという方法が推奨されることもありますが、やはり大切なものは自分が分かる場所に置いておいた方が安心です。
バスルームの電気を消されてしまった!?
私が高校1年生の時、カナダで1ヶ月のホームステイをしました。その時、同じくホームステイをしていた友人のホストファミリー宅で、幼いホストブラザーが、彼女がシャワーを浴びている間にバスルームの電気を消してしまった、ということで大騒ぎになったことがありました。もともと自分の部屋に入ってきてしまうホストブラザーに対し危機感を抱いていた彼女は、バスルームの電気を消されてしまったことで大きなショックを受けてしまったのです。
その時、彼女は「あなたなんて大嫌い」と叫んでしまいました。今度はこれがホストファミリーの怒りを呼び、コーディネーターも同席しての話し合いが行われました。このように、トラブルがさらなるトラブルを呼んでしまうこともあるのです。
ホストファミリーの家族問題とのトラブル
夫婦関係、親子関係が良くない
ホストファミリーの家族によっては、夫婦関係や親子関係に問題があるということもあります。仮にもホームステイをするという事はそのお宅の家族の一員として滞在するわけですから、そのような問題が生じてしまうと巻き込まれてしまう可能性もあります。
私が高校1年生で1年間のアメリカ留学をした時、最初の1ヶ月はワシントン州に滞在していました。その時のホストペアレンツは双方とも3回の離婚歴があり、その時点での夫婦関係にもすでに亀裂が生じていました。お互いがお互いの連れ子のことをよく思っておらず、家族関係さえいつ破綻してもおかしくない状態でした。
早めにコーディネーターに相談を
私の場合は1ヶ月だけの滞在でしたから、私自身は巻き込まれないように、余計なことを言わないように、そして自分の意見を言わないように気をつけながら対応していました。しかし、実際に留学経験者の話を聞くと、ホームステイ中にホストファミリーの関係に問題が生じ、ホームステイ先を変えなければいけなかった、などという事は決して珍しくありません。
もしもホームステイをしている最中にホストファミリーの関係に問題が生じた、自分にとっては明らかに居心地が悪い、自分の居場所がない、と感じた場合は早めにコーディネーターに相談しましょう。留学生には決められた時間しかないのですから、時間を無駄にしていてはもったいないのです。
ホストファミリーの対応によるトラブル
あまり深く考えないホストファミリー
ホストファミリーとして留学生を受け入れる場合、自分の子供のようにして扱わなければいけません。しかし、中にはどうしても自分の子供との間に明らかな差をつけてしまうホストファミリーもいます。
私がコーディネーターをしていたとき、小学校6年生の男の子が「毎晩夕食を1人で食べている」と言ってきたことがありました。話を聞いてみると、子供たちの勉強は夕方5時に終わる予定だったのですが、彼のホストファミリー宅は極めて遠く、車で1時間かかるとの事だったのです。ホストマザーは4時に家を出て、6時に家に着くとの事でした。
家庭には幼い子供たちが3人いて、6時は夕食の時間としては遅すぎると考えたホストマザーは、4時に家を出る前に子供たちに夕食を食べさせ、自分もそこで夕食を一緒に取り、6時前に帰宅するホストファーザーは自分1人で食事を取っていたため、その日本人の子供が家に帰る頃には、家族全員食事をとり終わっていたのです。その子は1人で、ダイニングルームで食事をとり、その間ホストファミリーはリビングルームで過ごしていたようでした。
ホストファミリーとの話し合い、あるいはコーディネーターに相談を
この話を聞いたとき、さすがにこのままではいけないと思ったので、その子のホストファミリーと直接話をしました。ホストマザーは本当に深く考えていなかっただけのようで、「これからは自分がそばにいるようにする」と約束してくれました。
このように、こちら側の感覚では「なんでそうなるんだろう」と思うようなことであっても、ホストファミリーが深く考えていないが故にトラブルとなってしまう場合もあります。そのような時は可能ならばホストファミリーと直接話し合っても良いですし、ホストファミリーには話しにくいと思うのであればコーディネーターに相談しましょう。
主観で決めつけないことが大切
慣れない環境で一生懸命努力をする留学生にとっては、ホストファミリーとうまくいかないと「みんな私のことが嫌いなんだ」「どうせ私のことなんて考えてくれてないんだ」とマイナスに考えてしまうこともよくある話です。しかし、そこには意外と深い理由もなく、ただの誤解であったり、ただの勘違いであったり、ということも少なくはありません。
もしも何かに対して不愉快だと思ったら、主観的に決めつけてしまわず、冷静に対応しましょう。みんなが自分のことを嫌っているのかもしれない、と悲観的に考える前に、ホストファミリーやコーディネーターに相談することが大切です。話し合いをしてみたら「なーんだ」、ということもあるかもしれません。トラブルが生じたと思ったら、遠慮なく話し合いをしましょう。
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