ベルギーやオランダには12月になると「シンタクラースがやってくる」という言い伝えがあります。民間伝承を元にしたもので、シンタクラースはこれらの国家では重要な存在です。ここではそんなシンタクラースについて紹介していきます。
シンタクラースとズワルトピート
シンタクラースとは
シンタクラースというのは老人で、白髪と顎髭を持ち、伝統的な白い祭服の上に赤いマントをまとった、サンタクロースとよく似た人物です。スペインから船に乗ってやってくると言われており、陸の上では白馬に乗って進んでいきます。
いい子にはプレゼントを持ってきますが、悪い子は麻袋に入れてしまうとも言われています。「シンタクラースの書」という赤い本を持っていると言われており、この本には子供たちが1年間いい子にしていたかどうかという記憶があるそうです。
ズワルトピートと人種差別の論争
シンタクラースはズワルトピートという、顔を真っ黒に塗ったピエロのような家来を2人連れています。16世紀の貴族が着ていたとされる洋服を着ており、このキャラクターは18世紀に誕生しました。
主役であるシンタクラースは白人で、家来のズワルトピートは顔が真っ黒であることから人種差別の論争が起こることもあります。ズワルトピートは黒人というわけではありませんが、やはり白人と黒人の人種差別に関する論争を毎年ヒートアップさせます。そしてこれを人種差別だとする人の中にはズワルトピートを真っ黒な顔のキャラクターにするのではなく、緑色のキャラクターにする人もいます。
12月5日の夜にシンタクラースがやって来る
子供たちは靴とニンジンを用意する
12月5日の夜にシンタクラースがそれぞれの家を訪れ、子供たちにプレゼントを持ってくると言われています。私たちの感覚でいうとサンタクロースのようなものですね。
子供たちは、自分が履いている靴にシンタクラースが乗って来る白馬にあげるためのニンジンを入れ、その靴を玄関に置きます。サンタクロースの場合はクリスマスツリーの下にプレゼントを置いてもらいますが、シンタクラースは玄関に靴を置き、そこにプレゼントを置いてもらうのだそうです。
夜中にやってきたシンタクラースはにんじんを自分が乗ってきた白馬にあげ、子供たちのプレゼントを靴に入れていきます(入りきらない場合は横に置いていきます)。この行事の為、12月に入ると子供にプレゼントを購入する人が増えます。
ニンジンの代わりにビール!?
シンタクラースの存在は私たちが信じるサンタクロースのようなもので、子供たちは「シンタクラースが来る」と信じてニンジンを置きます。しかし中には現実的な子供もいるようで、現実的な子供の場合は「シンタクラースはビールが好きだから」と、ニンジンの代わりにビールを置いておくこともあるそうです。
シンタクラースがやって来たらサンタクロースがやって来る
ちなみに、シンタクラースとクリスマスは何の関係もありません。人々は「シンタクラースがやってきたら次にサンタクロースがやってくる」と思っており、確かにハロウィンが終わると街中はクリスマスのデコレーションで賑わいますが、サンタクロース関連のデコレーションはシンタクラースがやってくるまで存在しません。
中には、シンタクラースがやってくる12月5日まではクリスマスの準備をするべきではないと考えている人もいるらしいです。クリスマスマーケット等は11月末から開催されますが、「サンタクロースの家」には「シンタクラースがやって来るまでサンタさんはおやすみです」などと書かれており、誰もいません。
子供たちはプレゼントがたくさんもらえる
]
シンタクラースがやってくるという事は、子供にとってはプレゼントをもらう機会が1つ多いということになります。12月6日の朝はシンタクラースからのプレゼントに喜び、私たちと同じように12月24日はクリスマスを家族や友達と過ごしてプレゼントをもらい、そして24日の夜はサンタクロースからのプレゼントを受け取るということになります。子供にとっては嬉しいイベントですね。
コメントを残す