ベルギーで生活をしています。コロナウィルスのためにスーパーなどのお店には一家族一人しか入れないルールがあり、買い物に行くにも大変です。
先日、スーパーで白人男性から怒鳴られる経験をし、ちょっと嫌な思いをしました。その時のことをお話ししたいと思います。
買い物をしない人用の出口
買い物をしなければ基本的に出られない
日本では滅多にないことですが、こちらのお店は、基本的に買い物をしなければ出られないような仕組みになっています。というのは、入り口と出口が分かれており、出口はレジのみ。つまりレジを通らなければ出られず、もしも買い物をしない場合はレジに並んでいる人の間をくぐり抜けて行かなければいけません。
しかも、今はコロナウィルスのために「お店に入る場合は必ずカートを押してください」というルールがあるため、買い物をしなければ何も買わないにもかかわらず、レジに並んで自分の番を待たなければいけないという理不尽さがあります。
買い物をしなかった人用の出口
近所の少し大きな規模のスーパーには、買い物をしなかった人のための出口があります。数多く並んでいるレジのど真ん中に設置されたサービスカウンターの真横がその出口になりますが、そのすぐ横にはレジに並ぶ人たちの列ができるため、基本的にその「買い物をしなかった人用の出口」は塞がれていることが多いです。
日本人なら、仮に道を塞いでしまっていたとしても、誰かがそこを通ろうとしていれば気づきますし、「すみません」と言われればすぐに道を譲るのではないでしょうか。しかし、こちらの国には残念ながらそのような配慮がほとんど存在しません。
そもそも他人のことが目に入らない
50センチの距離で気づいてもらえなかった
その日、どうしてもそのお店でなければ見つからないものを買いに、私は娘を連れてそのお店に行ったのです。娘をカートに乗せてお店に入り、欲しいものが見つからなかったので早々に退散しようと思い、「買い物をしなかった人用の出口」からお店を出ようとしました。しかし、案の定列に並んでいる人が見事にその道を占領し、そこから出られなかったのです。
サービスカウンターにはスタッフがいましたが、そのスタッフは知らんぷり。私の道を塞いでいるカートの持ち主は老夫婦で、奥さんは私の50センチ離れた程度のところにいたのですが、明らかに道が塞がれて動けない状態でいる私の方は見向きもしませんでした。当然ながらそのレジのスタッフもこちらに気づく事はなく、1メートルほど離れたところにいた旦那さんも私のほうは見ませんでした。繰り返しますが、ベルギーにはコロナウィルスのための「一家族一人しかお店に入ってはいけない」というルールがあるにもかかわらず、このように平気でルールを破る人はあちらこちらにいます。
「すみません」と言っても聞いてはもらえなかった
当然ながら私は「すみません」「通してください」とオランダ語で言ったのですが、その声は届きませんでした。マスクをしているからどうしても声が小さくなってしまうこともあります。でも、結構大きな声で言ったのですが、お店が賑やかだからなのか、彼らに聞く気がないからなのか、そもそも私はいないものとして扱われているのか、50センチの距離でも聞いてもらえませんでした。発音が悪いのかと思い、英語でも言いましたが、その声も届きませんでした。私の真横にいたサービスカウンターのスタッフも、見向きもしませんでした。
「ここはベルギーなんだからオランダ語を」
そのカートを少しだけ押した
確かに、私も辛抱強く待つべきだったのかもしれません。しかし、このコロナウィルスが蔓延し、コロナウイルスの死亡率が最も高い国の1つと言われているベルギーに置いて、すぐ真横にサービスカウンターのスタッフ、50センチ離れたところに老夫婦の奥さん、1メートル離れたところに旦那さん、などという環境で、娘をカートに乗せて待つわけにはいきませんでした。その夫婦が購入する商品は山のように多く、まだまだ時間がかかりそうで…
サービスカウンターの人に頼んで、その人たちに声をかけてもらうべきだったのかもしれません。しかし、何せこのような客がすぐそばにいても気づかないサービスカウンターの人間に私の状況を伝えるだけのオランダ語の能力は私には備わっておらず、何よりもマスクをつけていない小さな娘の為にもその場から離れたかったんです。そのため、私は道を塞いでいるカートを少し押して、自分が通れるだけのルートを作ろうとしました。
いきなり怒鳴られた
すると、旦那さんからいきなり怒鳴られました。何を言われたのかよく分かりませんが、「人のカートを押さずに『すみません』と言え」と言われたように感じます。何度も何度も繰り返し言ったんですけどね(笑)そして、言語のわからない国で生活するが故の辛いところですが、いきなり頭ごなしに怒鳴られ、冷静に説明するだけの言語能力も忍耐力も私にはありませんでした。
「『すみません』とは言った、どかなかったのはそっちだろう」と言い返しても聞いてももらえず、それ以上のオランダ語は話せなかったので、今度は英語で言い返しました。すると、「ここはベルギーなんだからオランダ語を話せ」と怒鳴られました。結構大きな声で怒鳴られたように思うのですが、それでもサービスカウンターの人やレジの人はこちらを見ることもなく、私も早くお店から離れたかったので、男性はまだ私に向かって怒鳴っていましたが、早々にお店を出ました。
私にも悪いところはあった
本当は待つべきだったのかもしれない
コロナウィルスで「一家族一人しかお店に入ってはいけない」というルールが存在する中、ためらいもせずに夫婦で買い物に来ていて、それに対して何も言わないお店の人たち。だからこそ、この国のコロナウィルスは世界でも最悪の域に入るのです。そして、そのような国だからこそ、私ももう少し余裕を持つなり、「買い物をしない人用の出口」が明らかに空いているタイミングを狙って出るなりするべきでした。
しかし、「買い物をしないで出たい」と思っている人間がいるにもかかわらず、真横のサービスカウンターの人間はそれに気づかず、50センチの距離で気づいてもらえず、どれだけその国の言語で「すみません」と声をかけても気づいてもらえない。その上で「ここはベルギーなんだからオランダ語を話せ」などと怒鳴られたら、もう嫌になってしまいます。
日本で同じことが起こったらどうだろう?
例えば、日本で同じことが起こったらどうなるでしょうか。ショッピングモールで、日本人男性が子供をカートに乗せた外国人女性に対して怒鳴り始め、「ここは日本なんだから日本語を話せ」なんて言っていたら...?今の日本なら、それはセクハラ、パワハラ、しかもマウントだとみなされるのではないでしょうか。
そんなことがあれば、おそらくスタッフが動くでしょう。また、その男性を止める事は難しかったとしても、怒鳴られている女性に対して「ちょっとこっちにおいで」などと声をかけるお客さんが絶対にいるのではないでしょうか。必要に応じて「ちょっと警備員を呼んで」などと言い出す人もいるでしょう。日本のお店なら、そのような状況を放ってはおけないと思うのです。
一部のヨーロッパにはアジア人への差別が根強い
今回の一見はアジア人への差別と偏見だと思っています。例えば、アメリカやカナダであれば一般的に「アジア」と聞くと、中国や日本などの経済大国を思い浮かべる人が多いですが、ベルギーにとっての「アジア」は東南アジアのイメージが強く、彼らは東アジアと東南アジアの人間を見分けることもできません。私自身も、よくタイ人かと聞かれます。
自分たちの国よりも発展していない東南アジアの人間だと思い込んでいるからこそ、簡単に上から目線で怒鳴りつけるんです。アジア人だからこそ嫌な思いをした経験はすでに何度かありますが、今回の件は明らかにアジア人への差別だと感じました。このような傾向はブリュッセルやアントワープにもありますので、ベルギーに旅行に来る人は気をつけてください。
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