フランスにおける税金?革命的なフランスの確定申告と源泉徴収制度について

フランスでは毎年5月・6月は、確定申告の時期です。源泉徴収制度は日本では当たり前ですが、フランスではサラリーマン(ウーマン)であろうと、フリーランサーであろうと、フランス国民はみんな自分の所得を自己申告する義務があります。フランスに永く住む私はもう慣れっこ、と言いたいところですが、どうしてなかなかそう簡単ではないのです。毎年この時期になると、頭を痛めています。今日は、フランスの確定申告にまつわるエピソードです。

革命的な源泉徴収制度

今年のフランスの確定申告(ネット申告)の締め切り日は、6月4日でした。今年は例年以上に、この確定申告がなかなか厄介な代物でした。というのも、私の場合フリーで仕事をしているためという理由もあるのですが、それにもまして、今年より初めてフランスで源泉徴収制度が導入されたからです。フランスは、ヨーロッパでも源泉徴収制度が導入されていない非常に珍しい国でした。毎月給料日になると所得税を天引きしてもらっている日本のサラリーマンかつサラリーウーマンの方々には、ちょっとピンとこないかもしれませんが、この所得の自己申告というのは、いつもフランス人には、「目の上のタコ」、「靴の中の小石」、と言いたいぐらい面倒くさいものでした。ところがそれが、今年より毎月サラリーを受けている納税者や年金受給者は、自動的に天引きされて受給できるという、フランスの歴史上まさに革命的ともいえる画期的な制度が導入されたのです。

世帯単位申告

さて、ここでちょっと蛇足ですが、フランスの課税制度について補助説明をさせていただきます。そうでないと、日本人は理解に苦しむ可能性がありそうなので・・・。フランスの課税制度は、個人単位ではなく、世帯単位での課税となっています。(因みに日本では個人単位) これはどういうことかというと、夫婦共働きの世帯の場合(現在ではほぼ90%以上の世帯に当たります)、勤務先で天引きするとき、社員の家族構成はもちろん、社員の配偶者の所得までキャッチしておく必要があるという事です。そうなってくると、離婚したり、配偶者が相続した時にその所得を分配したかどうかなども情報収集の対象となります。こんなややこしい個人の所得まで収集管理しきれない!という雇用主側からの不満が、そもそもフランスに長い間源泉徴収制度の導入に二の足を踏ませていた理由でもあります。2年前、新しくマクロン大統領が就任したのをきっかけに、新政府は源泉徴収制度に本格的に乗り出しました。しかも、今年2019年1月よりこれを実施するというから、さあ大変、雇用者も被雇用者もどうなる事かと不安に駆られていました。

白い年 Année Blanche

さて、今年の納税申告のもっとも特異な点は、フランス語で呼ばれているAnnée Blanche アネ・ブランシュ「白い年」です。つまり、今年から源泉徴収されるということは、今年の1月の給与額を元に計算されて徴収されることになり、本来自己申告していた数字、フランスでは前年度の所得を申告し、その年の9月以降に調整された所得税を支払うことになっていたのに、その前年度分がぽっかりなくなってしまう、要するに2018年度の所得は幻のごとく「白い年」となったわけです。私のようなフリーの仕事人にとっては、これがなかなか曲者なのですね、この「白い年」。「白い年」だから所得はなかったというように理解されるのかと思いきや、実はそうではないのです。源泉徴収制度になったからといって、自己申告がなくなったわけではないフランスでは、今年の自己申告の際、この「白い年」の所得額をきちんと申告しなければなりません。そのため別途新しく「白い年」欄というのが設けられていて、そこに「白い年」の所得額を記入しておかないと、昨年度並びに今年の所得額の二重課税を強いられる可能性がある、というのです。(なんとおぞましい・・・!)

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2019.08.18

納税自己申告の利点

因みに、フランスではすでに数年前から、所得のデータ化が普及していました。さすがに合理主義にお国、フランスです。納税者が自分の所得がいくらあったのかをいちいち計算しなくても済むように、各人の所得額が事前にインプットされた納税申告書が送られてきます。頭の痛い納税者の自己申告手続きを少しでも軽減する、というのが目的です。納税者はその数字を確認するだけで良いというのですが、確認するのと、自分で計算して申告するのとどれだけの違いがあるのか、といつも私は疑問でした。というのも、確認するには実際に自分でちゃんと計算しないと確認できません!しかし、ここでちょっと考えさせられるのは、自己申告の利点です。いちいち確認したり、計算したりして面倒くさい!と嘆くより、自分に実際いくらの所得があって、いくらの税金を支払っているのかをきちんと管理し、理解しおく機会をこの自己申告は与えてくれる、このような利点を私は新めて思うのです。ただ漠然と、会社の経理におんぶにだっこされて支払う税金ではなく、自分自身でしっかり計算して申告する税金、これってとても大切?ではないでしょうか?

 

   

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