イタリアといえば、石造りの教会や綺麗なステンドグラス。ヨーロッパの中でも有数の建築物が多く、何千年も前にタイムスリップしたような感覚になります。4世紀にローマ帝国により布教されたキリスト教ですが、現在も約70~80%超がカトリック、その他は無信教、ギリシャ正教などとなっています。移民の増加に伴い、イスラム教なども増えていますが、ドイツなど他のヨーロッパの国と比べると移民政策の違いから、増加の割合は多くないようです。また、キリスト教カトリックの総本山バチカン市国がローマ市内に存在することで、さらにイタリア自体の宗教色を強くしていると言えるでしょう。今回は、実際にイタリア人と日々過ごす中で感じた彼らの宗教感をご紹介します。
カトリックと言えどいろいろ
イタリア人の信仰心は?
カトリックと言えど、どの国もそうですが、敬虔な信者もいれば、全く信じていないわけではないけど、日々特に意識することがないという人まで様々です。半年ほどローマのレストランで働いていた際に、居候させてもらっていた家族は、毎日曜日に欠かさず教会のミサへ出かけていました。娘が生まれた際も教会へ行って洗礼を受けさせたとのこと。そして最近、娘さんが結婚されましたが、これも教会で結婚式を挙げていました。クリスマスも、家に大きなクリスマスツリーを飾って、プレゼント交換をして、家族で一緒に食事するなど、クリスマスの伝統的な過ごし方を私も一緒に経験しました。
かと思えば、私と同じくらいの年齢20代後半の娘さんに宗教についてどう思うか尋ねてみると、家族がある程度信じているので、両親に従って色々とやっているけど、本人的にはそこまで意識することではないとのこと。
こんな家族も
また、高校時代から仲良くしているサルディーニャ島のイタリア人家族はどうかと言えば、クリスマスは伝統的にやるけど、日々の生活や人生の考え方は仏教的な影響を大きく受けている家族です。なるべく自然なものにこだわったり、食生活を小麦粉料理やお肉より野菜中心にしたり、瞑想やヨガなどもよくやっていました。
また、ナポリの友人は宗教の存在自体に反対だと言います。キリスト教がこの国を悪くしたとまで熱心に語られたこともありました。このように、宗教と政治の関係が、イタリアの経済発展の大きなしこりとなっていると考える人が多いことも事実です。マフィアと政治のつながりにより、政治の腐敗が進む、さらに宗教と政治とマフィアの関係性が取り返しのつかない大きな権力を作り出し、国民の生活にも影響を与えているというのです。世論の調査結果は色々とあると思いますが、人がどれだけ信じているかを数字にするのは簡単ではない中で、実際のところは本当に心から信じている人って大分少なくなってきているのではないかとの印象を私は持っています。
宗教について話すこと
宗教の話は慎重に!
イタリアにいると、よく何を信じているの?と聞かれます。海外では宗教について安易に話すと、友人だと思っていても急に冷たくされたり、態度が変わることがあり、私はなるべく話さないようにしています。一度正直に話して、関係が悪くなった経験があったからです。話すとしても、どんな宗教だとしてもリスペクトした上で、私はこうだ、と考えを言うことで、あくまでも私は敵でもなんでもないし、宗教がどうであってもあなたとの関係は変わりません、ということをアピールしないと、日本人が思っているほど宗教は簡単なものではないようです。イタリア人は結構オープンに話す人が多いと思います。聞かれたら、私は正直に、自分を信じている、と答えます。
日本はお金教?
イタリアでは、日本は仏教の国ではあるけど、無信教の人が多い、ということも結構知っている人が多い。というか、日本の神はお金でしょ?と何度か言われたことがあるのも事実です。確かに、そういわれると、日本人はお金を貯めることに固執して、お金さえあれば長生きできると考えている人が多いと思うんですね。でも、イタリア人は人生はそうじゃないって、言うんですね。お金は大事だけど、神の存在にしてしまうと、人生の目的を失ってしまうと。今どきの考え方だと言われるのも承知ですが、ミレニアム世代の私はこういうの、やけに納得してしまいます。
広い視野で相手を受け入れる
海外に出ると、宗教について考える機会が多くなると思います。日本にいるときは意識しないことの一つだと思います。どんな考え方を持っていても、もちろんいいと思いますが、これだけは心に留めておくべきと思います。相手と違う宗教や考え方でも、攻撃しないこと。生まれてこの方信じているものって、なかなか変わらないものです。相手の考えを変える必要もないし、考えを聞いてあげてこんな人がいるんだ、くらいの気持ちでいることが大事だと思います。そうやって、自分の視野を広げることの方が大切なのではないでしょうか。
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