フィリピン人とうまく付き合うには?秘訣を紹介

私は、フィリピン・セブ島に17年以上滞在し、その間、ずっとフィリピン人たちと仕事をしています。また、単身でこちらへ渡って来ましたので、こちらで結婚しました。そして、結婚生活は今年で丸15年となり、家内(フィリピン人)との間に長女と長男の二子をもうけました。

そんな中で、私にとっては、外国人と仕事をする事、コミュニケーションを取る事は日常であり、当たり前の事となっていますが、私の労働環境が日系企業にあり、私に期待される機能は、大きくは、日本側と現地フタッフ(フィリピン人)との調整となりますので、常に日本とフィリピンの感覚の違い、ギャップを感じながら仕事をしている毎日です。

フィリピンの言語環境

フィリピンは一般的にフィリピノ語(タガログ語をベースにして標準語)、英語、それに、その地域の方言(方言と言っても一般的には、それぞれ、日本語と韓国語程の違いがあります)が使われる中で、私は元々、所謂、英語屋ですので、現地スタッフとのコミュニケーションは基本的には英語、時には、地方言語(ビサヤ語)も交える感じです。

 フィリピン、或いは、フィリピン人との関わり方

さて、フィリピン、或いはフィリピン人との関わりを持たれるケースは、近年、多様化して来ている気がします。ざっと思いつくだけで下記の通りのケースがあると思われます。

  1. 英語学習の為(オンライン英会話、現地留学の両方を含む)
  2. 仕事として(現地での起業、貿易相手として)
  3. 国際結婚
  4. 観光

と、ザックリですが、大体上記4点に集約されると思います。私の場合は、自己紹介でも述べましたように上記の2)と3)に当てはまります。また仕事としての関わりには大きく分けると、

  1. 出張ベース
  2. 駐在
  3. 在住

と上記1)~3)となり、数字が大きくなるほど、ここでの滞在期間が長くなる事になります。

しかしながら、どのケースにおいても、その程度の問題はありますが、良いコミュニケーションが取れれば、それに越した事はないと言えるでしょう。

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良いコミュニケーションとは?

私がこれまでの経験を通して思うところでは、良いコミュニケーションを成立させるには下記二つの要素がありましょう。

  1. 言語スキル
  2. 文化、風土、風習、宗教他の社会背景の理解

 フィリピン風コミュニケーションを実例で紹介

さて、下記にフィリピン人とのコミュニケーションを考える為の一例として、私がファーストフードチェーン他で、良く出くわすタイプのやり取りの実例を挙げてみたいと思います。

(下記A:私、B:店員さん)

A “I’d like to have one Cheesy Eggdesal with coffee to go” (タマゴチーズサンドとコーヒー1つ、お持ち帰りで)

B “What drink?” (ドリンクは何にいたしますか?)

A “Coffee.” (コーヒーで)

B “For dining?” (お召し上がりですか?-*これはフィリピン独特の言い方です。他の英語圏では通じないかも知れません)

A “To go.” (お持ち帰りで)

上記、ある時のやり取りを出来るだけ正確に再現してみましたが、日本の常識で見れば、ほとんど、コントの世界ですね(笑)

要は、私は最初にオーダーする段階で店員さん側(受注する側)にとって必要な情報を全て一括で言っているのに、店員さん側は、商品名しか捉えられず、ほぼマニュアル通りの通り一遍の対応しか出来ていないつまり、話が噛んでいないのです。そして、これは特殊な事例ではなくて、その他あらゆる場面で、恐らく半数強のフィリピン人は、上記の店員Bさんがする対応と同じことをするのです。

上記の場面、背景を言えば、私は、出勤前の急いでいるときに、交通費を支払う為の小銭が必要で大きなお金を壊すために、そこへ立ち寄った状態であった中で、出来るだけ早く用件を片付けたかったので、オーダー内容を一度に全部言ったのですが、それが全く通じなかった訳です。が、私は、これまで、こうした事態を何度となく経験して来ているので別段、この店員さんの対応に驚く事もなく、(相手に突っ込む事なく)サラリと流している訳です。先のお話、2分の1以上はダメだと言う前提なのですから。

 フィリピンのオーダーはめちゃくちゃ!?

この事、私が外国人だからと言う事ではなく、逆にフィリピン人同士、オーダーする側とされる側を観察していると、双方、オーダーする側が自分の財布の中身でどれだけのモノが買えるのか最初にちゃんと計画していないようなところもあって、オーダーの要領を得ない上、店員さんサイドも上記のような対応になる為、却って話がややこしくなり、ファーストフードでオーダーしてから、ちゃんとモノが出ているまで、平均3~4分程度かかって、カウンター前は何時も行列しているのが実態です。

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フィリピン式のコミュニケーションがストレスに

 覚えておいてほしいこと

さて、こんな事例をワザワザ紙面を割いて上げているには訳がありまして、ここでの生活やら仕事やら、あらゆる場面で、上記のようなモノが存在していて、(つまり、これは、ある種、文化であり社会背景)それに慣れ、理解し、対処法を講じないと、日本人側には大きなストレスになるのだと言う事を説明する為なのです。

例えば、私の勤務先で、フィリピン人従業員に何かを依頼したり、業務命令をしたりするような場面でも、内容が少々、複雑な場合には、私は、その人のレベルにも拠りますが、まず、概要を説明し、その目的に向かう為に最初にやって貰う事の最初のステップを依頼するのが普通です。そして、それが出来た事を確認して次へと言うイメージです。また、その際、口頭だけではなく、メモを使ったり、同じ内容を電子メールで投げたりする事も必要に応じてやります。

 家庭内でも

家庭内でもそうです。家内に依頼する内容が少々、複雑になる場合には、口頭での説明のみならず、メモを使って彼女の理解を確認してから物事を依頼します。

しかし、そこまでやっても、抜け、漏れ、忘れは生じるので、何かおかしいと思ったら、必ず、もう一度、フォローをします。

 ちょっと付け加えておきたいこと

実は、これ、レストランでのオーダーの件に話は戻りますが、他のちょっとハイソなレストランでも同じことで、オーダーし、向こうが復唱し、それでも中々、品がでて来ないこうした場合、不審を感じたら即時、フォローしないとトンデモ無い事になります。また、相手が復唱する事をいい加減に聞いてはいけません。注意深く聞き、そこでミス、誤解があれば、即時、指摘する必要があるのです。そうした事をちゃんとしないで向こうが間違えたなら、諦めるしかないのです。また、逆に、こちらがちゃんとした上で向こうが間違えた場合でも、余程の事でない限り、勘弁するぐらいの度量は必要です。

実は、これも、ある種の文化なのですが、彼らの中には、「過失は免責」と言う感覚が間違いなくあります。要は、何か故意に(悪意をもって)為した事以外(即ち過失)は、罪を問わないのが彼らの文化と言っても差し支えありません。日本のように、「出来て当たり前」「或いは結果が全て」の感覚で彼らの失敗を責めると、彼らは言い訳(即ち過失に対する罰を避ける手段)に必死になり、本当の原因究明が出来ないばかりか、下手を打てば恨みを買う事にもなりかねません。更に言えば、何かしら失敗等があった時、彼らフィリピン人を他者の前で叱りつけるような事は絶対に避けねばなりません。必要があれば、個別で他に分からないような状態の中で諭す事です。そうじゃないと、自分の失敗を反省するどころか、他者の前で恥をかかされたと逆恨みされても仕方がありません。それが彼らの文化なのですから

だからこそ、少々、時間はかかっても、出来るだけ、物事を単純なステップに分け、一歩一歩、進んで貰う、そしてステップ毎に必ず、こちらが親切に確認するこうしたプロセスが必要になるのです。

 おまけ

余談になりますが、ウチの家内とのやり取りの中でも、既に詳細は忘れましたが、彼女に失敗があり、それに対して私がつい、文句をつけた際にも、偶々、ショッピングモール内で、歩きながら、他者の目がある中でやってしまったので、彼女は、「人前で恥ずかしい」と激しく抗議して来ました。私としては、他者が我々夫婦の話に聞き耳を立てる筈もないと思っていましたが、彼女がそうした形で私に抗議して来た事で、フィリピン人の文化背景にある、デリケート且つ、センシティヴな部分をより良く理解できました。

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上から目線ではなく、温かい目で

先のお話の中で既にお気づきになっているかも知れませんが、彼らフィリピン人の行動と言うもの、日本人から見て、

  1. 計画性が無い
  2. 要領が悪い

の2点は読み取って頂けるかと思います。更には、合理性がない(行動原理が感情による)を付け加えても良いかも知れません。

出所がはっきりしないので、参考程度にしかなりませんが、日本人の知能指数の平均が105に対して、フィリピン人の平均は86と言う数字もあります。しかし、日本人の平均については義務教育の就学率がほぼ100%である事から、恐らくはかなり実態を反映した数値ではないかと思われる反面、フィリピンのそれは、ごく最近まで、義務教育は小学校6年までで、しかも、僻地の人々を統計に含んだ場合、その就学率たるや恐らく実態として50%未満(*政府発表の数値とはかい離しています)だった事もあり、この知能指数平均86と言う数値は、かなりの過大評価かも知れないのです。

一説によると、知能指数が30以上、異なった場合、同一言語を話す人同士でも、コミュニケーションが著しく難しくなると言うものもあり、私の実感として、ここフィリピンでは〝そうではないか″と思われる事態に、出会うケースも少なくありません。

確かに言える事は、このフィリピンと言う国家、日本ほどの長い歴史と文化がある訳ではなく、スペインの植民地支配により、やっと国家として成立した、その歴史500年未満の国家で、その文化の形成には、宗主国の都合が色濃く反映されたのだと言う事です。(愚民政策等々)

こうした状況の中で、現在の世界の情勢の中では、この国フィリピンは、途上国と位置付けられ、特に科学技術において先進国である日本とは比較にはならないレベルにあります。学校の教科で言えば理科系、数学系は本当に弱いと言わざるを得ません。

実例として、日本の小学校高学年の算数レベルの文章題を英訳し、入社試験の一環として課したところ、ここの大卒の殆どが50点程度(因みに同じ問題を日本の高卒者に説いて貰った所、平均80点以上)だったとしたものもあります。(ところが、こうしたフィリピン人の中でも、時に別段、名門大学出身でなくても満点を取る人材もおります。傾向として、そうした人材の能力は高く、入社後、各所に、その片鱗が見えますが、チャンスを求めて転職するので定着率は宜しくないです)

さて、ここまでのお話をしますと、人によっては、彼らフィリピン人を恰も劣等民族のように捉えてしまう向きも有るかも知れません。

でも、これは歴史的にやむを得ない事であり、こうした事実を事実としてとらえる事は大事であっても、それをして、彼らを見下す必要なんか、全くないのです。

反面、彼らの英語のコマンドは概して、日本人の標準よりもずっと高く、大卒のレベルであれば仕事で英語を使う事には全く問題がありません。

私が思うに彼らは本当に情緒豊かで、明るく、そして優しいので、彼らからの信頼を得られれば、あなたの為に、本当にびっくりするような力を発揮してくれるかも知れません。

だから、彼らが苦手とするところを、否定、矯正しようとするよりも、そこは日本人側が上手にフォローし、良い部分を生かしてあげる事が、正にWin Win の関係を築く事に繋がるかと思います。

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