すでに何年も前から日本でも、インド映画作品を映画館で見られる時代となりました。そのインド映画の約半数を製作しているのが、インドのボリウッドです。まだまだ日本では、大人気とまではいかないと思いますが、多くの航空会社の機内でもインド映画が見られるようになり私もインドへ旅行をしたのをきっかけに、インド映画をよく観るようになりました。ボリウッドとは、ムンバイ(前都市名ボンベイ)とハリウッドを合わせた造語です。事実、ボリウッドは今や世界一の映画作品生産数を記録し、2017年には1986本を世に送り出してきました。そこで今回は、現代のインド映画の特徴とおすすめの作品をご紹介したいと思います。
インド映画の特徴
①もはやダンスだけではない
インド映画はダンスばかりしていると思っていませんか?確かにほとんどのインド映画がダンスシーンがあり、この21世紀になってもまだ踊り続けているのは確かです。でも最近はダンスシーンが大分少ない映画も出てきているのが事実。ダンスよりも内容重視のもの、ザ・ダンスシーンを作るのではなく、少しずつダンスを要所要所にいれていくもの、様々です。
②お金持ちの生活
日本の映画は、ごく一般的な市民の生活を映したものがたくさんあると思いますが、貧富の格差が大きいインドでは一般市民が到底手の届かないようなお金持ちの生活を描いたものが多くあります。素敵すぎる家に、高級車での移動、素敵すぎる家族、皆が羨むような人生がスクリーンに映ります。インドに行っても実際にこんな家を見たこともありません。
③俳優、女優
これもまた普段の生活で見ることがないもの。それが俳優や女優並みの人たちです。特に女性に言えることですが、街を歩けば女性たちは貧しそうな見た目で焦げ茶色の肌にキラキラとしたサリーを着て、化粧っけのあまりない人が多いの実情。しかしスクリーンの中の女優は、真っ白な肌に、欧米系の顔にスタイル抜群のボディ、綺麗にカールされた髪の毛に現代の映画ではサリーよりも洋服を着ています。2か月間インドを旅しましたが、本当に本当にこんな人一度も見かけたことはありませんでした。経済都市であるムンバイへ行けば、人々の様子が違うとよく聞くので、もしかすると女優に近いような方と街中ですれ違うこともあるかもしれません。でも10億人いるインドの人口の中で、どれだけこの女優並みの女性がいるでしょうか。それもそのはず、カースト社会で上の階級の人しか女優になれる権利もないので、階級が中から下の場合は良い美容院に行くお金もないわけです。
おすすめのインド映画
2012年公開、アヌラーグ・パフ監督作品の「バルフィ」です。
ストーリー
ランビール・カピールが演じる、主人公バルフィは生まれつき耳が聞こえず話すことができないのですが、大変明るく身振り手振りで人々を笑わせ街中の人気ものでした。そこで資産家との愛のない結婚を迫られていたイリアナ・デクルース演じるシュルティは、バルフィに思いを寄せていました。しかし、そこで家族の愛情を受けずに育ったプリヤンカー・チョープラ(ミスワールド2000)演じる、ジルミルもバルフィに好意を持って、心を開いていく物語です。色とりどりの映像と心躍る音楽に、言葉がわからなくても十分楽しめる映画です。
これまでのインド映画の印象とは大違い!
私は、現地インドの映画館で観ました。字幕がなくヒンディ語の細かいところはわかりませんでしたが、演者たちの表現豊かな演技と繊細はヒューマンストーリーに十二分楽しめた映画でした。しかも、ダンスシーンや男女が見つめ合って愛を歌い合うシーンはほぼない、モダンインド映画で、インド映画初心者でも楽しめる作品だと思います。インドがちょっと苦手、インドに興味がないけど、映画が好き、という方にこそぜひ観て頂きたいですね。
現代風のものからトライ
やはりインド映画は癖のある映画、とのイメージを持っている方が圧倒的かと思うのですが、現代のインド映画は欧米系に大分寄せてきているので、日本人としても見やすい内容のものが多いです。これまでにない感覚を味わいたい方、アメリカ映画にはちょっと飽きてきた、という方、次はインド映画を観てみましょう!
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