中国の首都、北京に住んで3年が経とうとしています。夫が中国の大学で仕事をしていますが、夫の様子を見ていると中国人と一緒に仕事をするためには様々なことを意識しておかなければいけないということがわかります。ここでは、私が夫の様子を見たり、話を聞いたりして感じた中国人と仕事をする上で重要なことについてお話しします。
WeChatは必須
中国版のSNSを使用
中国と言えばFacebookやTwitterが使えないという事でも知られていますよね。そんな中国には、中国版のSNS、WeChatというものが存在します。日本ではウェイボーとして知っている人も多いのではないでしょうか。
WeChatは他のSNSと同じく、「友達」になった人と連絡を取り合うことができます。また、自分のタイムラインに投稿することもでき、友達から「いいね」をもらうこともできます。ただし、自分の友達の投稿を見たとき、自分の友達以外が書いたコメントは見ることができません。そのため、相当共通の友達がいないと、友達の投稿には「いいね」やコメントが殆どないように見えてしまいます。これはFacebookやTwitterとの大きな違いと言えるかもしれません。
職場の人ともWeChatでつながる
最近、若者のFacebook離れ、LINE離れ、などといった現象が指摘されています。最初は若者の間で使われていたものが、だんだんと利用年齢が「高齢化」したことにより、親世代や職場の上司ともつながるようになってしまい、窮屈になってしまったというのが主な理由の1つです。確かに自分が自由に投稿できるなら楽しいですが、親がチェックされているように感じてしまったり、上司に見られたりするということを考えると、なかなか楽しく使えるツールではなくなってしまうかも知れませんね。
しかし中国の場合、WeChatは職場のコミュニケーションツールとしても重要です。WeChatで職場のグループアカウントがあったり、同僚とのやりとりもWeChatで行われることがほとんどです。実は私はLINEを使ったことがないため、最初このWeChatの重要性というものがわかりませんでした。むしろ連絡を取りたいならばSMSでいいじゃん、と思っていたものです。しかし、WeChatを使わなければ情報格差に巻き込まれるとでもいいましょうか、職場で必要な連絡を入手することができません。職場の同僚とSNSでつながるなんて嫌だ、と思う人もいるかもしれませんが、中国ではこれは必須なのです。
直前に連絡が来ることを念頭に置いておく
締め切りの数日前に連絡が…
夫は、最近は「こういうものだ」と割り切っているようですが、慣れるまで大変そうだったことの1つに、いちいち連絡が直前に来るということでした。例えば教授会や研究会、研究費の申請書等に関するお知らせが数日前に来るのです。「明後日教授会があるから」「明日研究会があるから」「この申請用紙を3日後までに記入してください」などの連絡は日常茶飯事です。
日本にいると、例えば研究会の日にち等は数日前に決まるものだろう、大学の建物に掲示されているだろう、メールで連絡が来るだろう、などと考えてしまいますが、少なくともここではそのような事は滅多にありません。研究会なども直前に決まることもありますし、掲示されていたとしても1部にしか掲示されておらず、本当に特定の場所に行かなければ掲示物を見ることがない、ということも普通です。私が大学院生だった時は、数カ月も前からしつこいほどに研究会のお知らせメールなどをもらっていたので、私も驚いています。
1年の予定が明確にされていない?
中国の学校はアメリカなどと同じく、9月から始まって6月に終わります。そのため卒業式が6月にあるのですが、実は卒業式の日にちというのもはっきり決まっているわけではありません。卒業式は大体「6月10日以降に行われます」と言われるだけで、具体的にいつなのか、実際の卒業式の1週間前にならなければ発表されないのです。当然ながら学生たちも知りません。
留学生等の場合、両親が卒業式に参加したいと思ってもなかなかうまくいかない可能性もありますよね。もちろん今は24時間いつでも飛行機のチケットを取る事は可能ですが、卒業式の1週間前に初めて日にちが発表されても、その日に合わせて中国に行けるという人は少ないのではないでしょうか。
このような事は学生にとっても当たり前のようです。何に関しても直前に予定が公開されるため、柔軟に対応しなければいけないということでした。もちろん外せない予定が既に入っている場合、研究会などに参加できないということも珍しくはありません。しかし研究費の申請書などは提出しなければいけませんから、時間がない、という事は言い訳にはならないのです。
中国で働くならば、このように予定が直前に入る可能性がある、自分の思い通りに物事が進まない可能性がある、ということを覚えておいた方が良いでしょう。
英語に期待してはいけない
英語はあまり役に立たない
同じ中国でも、職場によって違うかもしれませんが、少なくとも夫が仕事をしている大学では英語に期待することができないようです。もちろんスタッフは英語を話すことができますし、夫が必要とする助けはそれなりに用意されているのですが、それでも大学関係者がログインできるウェブサイトは全て中国語ですし、学生たちの成績を入力するウェブサイトも中国語です。教授の中には英語が話せない人もたくさんおり、夫が学部長らと話をするときは通訳を介さなければいけないということもあるようです。しかもその通訳も正しいとは限りません。
また、研究会においても英語が使われる研究会はあまりありません。ほとんどの場合はすべて中国語で、中国語がわからない人間が参加しても意味がないような研究会が多いという印象があります。逆に外国人研究者が集まる研究会に行くと中国人がほとんどいないといった状態も珍しくはありません。
敵を作らないことが大切
このような状態ですから、外国人として働くためには様々な助けが必要となります。そのためにも、職場では敵を作らないように努力をすることが大切です。
誰しも職場では得意な人、苦手な人、がいるかもしれません。しかし、たとえ苦手であっても苦手意識を表に出したり、敵を向けたりしてはいけません。お礼をいうときはしっかりと述べ、こまめに連絡を取り合うことが重要です。また、そのような人とはWeChatでつながっている可能性もありますから、WeChatに何か投稿するときには好感度を持ってもらえるような投稿を心がける、ということも戦略の1つかもしれません。
仲良くなれれば強い味方
そんな中国の人たちは、いちど仲良くなると強い味方になってくれます。知り合っても実際に仲良くなるまでには多少時間がかかるかもしれませんが、いちど仲良くなったら信頼できる味方になってくれるのです。
海外で働く以上、外国人なのは自分たちなわけですから、その国の人たちと仲良くして良い関係を築こうとする努力は常に大切だと思います。いつの時代もどこの国も、最終的に大切なのは友達なんだなと感じています。
コメントを残す