グローバル化が進み、日本国籍以外の人と結婚すると言う人も増えてきました。外国人と結婚するとなると、婚姻届を出す際にも様々な書類が必要となります。私の夫はベルギー人なので、私たちも結婚する時には、様々な書類を揃えました。ここではその手続きについてお話ししたいと思います。
書類を揃える前にやるべきこと
日本と相手の国のどちらに先に提出するか
日本国籍を持つ人と日本以外の国籍を持つ人が結婚する場合、両方の国に書類を提出する必要があります。その際は、両方の国に同時に書類を提出するわけではなく、片方に書類を提出した後で、その届け出が受理されたことが証明できる書類を相手国に提出します。つまり私たちの場合は、先に日本に提出するかベルギーに提出するかと言う選択肢がありました。どこの国の人であれ、国際結婚をするのであれば、私は日本に先に提出することをお勧めします。というのは、日本の行政は仕事が早いです。
これから説明していきますが、国際結婚においては、市町村役場と外務省に必要書類を提出しなければいけません。しかし、日本の市町村役場や外務省は、書類の処理に何日かかると言うことを明確にしてくれます。海外はこの辺りがいい加減な場合があり、2週間で終わる場合もあれば数カ月かかるという場合もあるようでした。私が調べた限りでは、先に相手国に書類を提出してしまうと、どれだけ時間がかかるか予測がつかず、その後の計画が立てられないと言う経験をした人が多い印象がありました。そのため、先に日本に出す方法を好む人が多いようです。
市町村役場に書類の確認をする
国際結婚する場合は、自分が書類を提出したいと思っている市町村役場に電話をかけ、どの書類が必要なのか事前に聞いておく必要があります。これは市町村によって変わるため、他の市町村役場の話を聞いても参考にはならないからです。さらに相手の国籍によって提出する書類も変わります。
私がお世話になった担当者の話によれば、アメリカや中国、韓国の人と結婚するパターンが非常に多いため、それ以外の場合は、市町村役場側もしっかりと調べなければならないとの事でした。どうやらベルギーはマイナーなようで、配偶者となる人の国籍を聞かれた時、「ベルギーです」と答えたら3秒ほど沈黙があり、それから「あ、チョコレートとビールの国ですね!」と言われたことを覚えています。
婚姻届を提出する前にやるべきこと
必要書類を集める
日本で先に書類提出を行うことが決まったら、次に必要な書類を集めなければいけません。日本人が用意しなければいけない書類は、婚姻届の用紙と戸籍謄本です。夫がベルギー側で用意しなければいけない書類は、出生届、婚姻要件具備証明書、そしてパスポートのコピーでした。日本で言う婚姻届は出生届の代わりにもなりますが、海外には戸籍というものが存在しないため、出生届が存在します。
そして、この婚姻要件具備証明書が非常に厄介でした。重婚が禁止されている国家においては、入籍する前にお互いが独身であると言う証明を出さなければいけません。日本人同士が結婚をする場合は、お互いに戸籍謄本を提出することで、お互いに独身であると言う証明ができます。しかし外国籍の者同士が結婚するとなると、それぞれの国が認める形でお互いが独身であるということを証明しなければなりません。この独身証明書が、婚姻要件具備証明書なのです。
婚姻要件具備証明書の取得の仕方
婚姻要件具備証明書を取得する際には、大使館に申請をします。私たちは日本の市町村役場に書類を提出すると決めていましたので、在日本ベルギー王国大使館より発行してもらいました。
しかし、夫は独身時代アメリカで暮らしており、アメリカでいわゆる住民登録を行っていた時期があったために、在アメリカ合衆国ベルギー王国大使館より「アメリカ在住時に婚姻した形跡がない」と言う証明をしてもらった上で、日本のベルギー大使館で面接を行い(当時夫はベルギー、私は日本にいたため、スカイプで面接を行いました)、婚姻要件具備証明書を発行してもらいました。婚姻要件具備証明書の取得の仕方を調べ始めてから実際に取得するまでに、ざっと3ヶ月ほどかかったと思います。
書類を市町村役場に提出する
すべての書類が揃ったら、婚姻届をすべて記載した上で、先に市町村役場に書類を持参し、不備がないことを確認してもらうことをお勧めします。婚姻届を出す日にはそれなりにこだわりがある場合もあるでしょうし、スムーズに提出するためにも、事前に見てもらうと安心できます。提出する際に私たちが直面した問題は、提出時に夫が日本にいないと言うことでした。国際結婚をする場合、日本国籍ではない人は国籍証明書として、パスポートを持参しなければなりません。
私たちの場合、夫が日本にいなかったため、パスポートがありませんでした。市町村役場で相談したところ、夫の出生届が原本なのでそれで大丈夫と言っていただけました。夫と私の双方の書類を持参し、婚姻届その他の書類を提出することができました。また、相手が日本にいない場合は国際郵便で婚姻届を郵送し(一番確実なEMSがお勧めです)、相手に署名をしてもらわなければなりません。また送り返してもらうことを考えると時間がかかりますので、そこも注意が必要です。
婚姻届を提出した後にやるべきこと
婚姻届記載事項証明書を取得する
婚姻届を提出したからといって、手続きがすべて終わったわけではありません。今度はこの書類を外務省に持参/郵送し、「この書類は確かに日本国が認めたものである」と言う証明をもらい、それをベルギーの公用語(私たちの場合はオランダ語)に訳した上で、ベルギー政府に提出します。そのため婚姻届が受理されたら(受理証明書が取得できるようになったら)、今度は婚姻届記載事項証明書と言うものを取得します。これは、婚姻届など提出した書類すべてのコピーに市町村の印鑑が押されたものです。これは日本人同士の婚姻では取得することができません。取得の際は事由を聞かれますので、「外務省に提出するため」と応えれば大丈夫です。
私の両親が結婚した時、婚姻届は一晩で受理され、翌日には受理証明書や新しい戸籍謄本の取得が可能だったそうです。しかし、私の時には婚姻届が受理され、これらの書類と婚姻届記載事項証明書の取得が可能になるまで1週間かかりました。何日かかるかということは事前に市町村役場で教えてもらえます。
婚姻届記載事項証明書を外務省に持参/郵送する
婚姻届記載事項証明書を取得したら、今度はこれを外務省に持参します。ベルギーと日本は、「この国家が認めたものは私たちの国も認めます」と言う内容のハーグ条約に加盟しているため、外務省がこの婚姻に関する書類を「確かに日本国が認めたもの」と証明することによって、ベルギーの政府もこれを認めることになるのです。
この外務省の証明を、「アポスティーユ」と言います。外務省にてアポスティーユを受け(持参すると翌日受け取りが可能です)、そのコピーを夫に郵送し、法廷翻訳人に訳してもらい、ベルギー政府に提出して、私たちの婚姻は完了しました。ちなみにアポスティーユは無料です。
ハーグ条約に加盟しない国家の場合
私たちの婚姻では関係ありませんでしたが。もし相手国がハーグ条約に加盟していない場合、外務省での手続きが変わってきます。例えば中国など、ハーグ条約に加盟していない国に書類を提出する場合は、外務省ではアポスティーユではなく公印と言う形の証明を受け、今度はそれを日本にある大使館に持参して認証と言う証明を受けます。大使館での認証を受けて、初めてその書類を相手国に提出することができます。
ハーグ条約に加盟している国家の場合は、その国の大使館の認証を必要としません。このように、ハーグ条約に加盟しているか加盟していないかで、外務省で受ける証明はアポスティーユなのか公印なのか、そして大使館の認証を必要とするかしないかと言うことが変わってくるのです。公印は有料のことが多いです。
国によって異なるので先ずは役所に相談しよう!
私たちは結婚する準備を始めてから、いざ婚姻届けを提出するまでに4ヶ月弱の時間を有しました。そして、上記の一件はベルギーの場合であり、相手の国籍によっては提出する書類も変わってきますし、市町村役場によっても違いがあります。例えばアメリカの独身証明書は婚姻要件具備証明書ではなく、裁判所にて聖書の上に手を置き、自分が独身であることを誓って証明書を発行してもらうと聞いたことがあります。
このように国家によってシステムが異なりますし、また、法律等は徐々に変化することもありますので、国際結婚を考えている人はブログなどを鵜呑みにせずに早めに市町村役場に相談し、書類の準備を始める必要があります。特に、相手の国によっては書類の取得にいちいち時間がかかる場合もありますから、とにかく早めに動くことが大切です。
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